神去なあなあ夜話 神去なあなあシリーズ (徳間文庫) [Kindle]

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  • 「神去なあなあ日常」の続編。
    都会から山奥の村に放りこまれ、林業の修行を始めてから1年がたった。自分のことだけで必死だった勇気が、次第に周りの人々と絆を深めていく成長物語。

    特別なイベントも事件もないけれど、日常の中のちょっとした出来事から、「周りにいるフツーの人々」にも、深い悲しみや物語があることに気づかされる。それから、「信頼」と「愛」の意味についても。

    作品のおわりで、勇気は「自分が死んだあとも、その人が幸せに暮らせますようにと願うこと。(略)そういうのがきっと、愛なんだと思う」と語り始める。私はこのくだりが大好きだ。百年後を見据えて、山に木を植え続ける村の人たちのように、私も「今ここでできる」何かを大切にしたいと気づかせてくれた。

  • 前作のような、林業を中心にした話ではなく、田舎の暮らしに焦点を当てた続編。
    前作から感じていたけど、大峰山が出てきたり、自分もやった(やらされた)岩から吊るされる修行が出てきたりと、前作より親近感が湧いた。
    なあなあという名の通り、特に進展も何もない話ばかりでのんびりしていたけど、年始休みに息子を見ながら読む分には良い気分転換になった。

  • 自分達の孫の世代のために木を植える、この辺りでも林業をされている人たちから聞いたことがある。
    そういうスパンで考え、暮らしている人たちがいる。
    ほんとうはどんなことでも同じだと思う。
    そう考えたら自然を破壊したり、環境を汚染したり、ましてや、戦争なんかできないんじゃないかと思う。
    シリアスな話じゃないけれど、勇気という主人公や個性的な登場人物の暮らしぶりから、そんなことも考えられる物語。

  • 森林業を営む神去村の物語。

    恋話がほとんどだったわけだけど、これはこれで読みやすくて楽しかった。

    寝る前のこの1ヶ月のちょっとした楽しみでした!

  • 2021.1.3

  • ずっとKindle版のセールを待っていて、やっとこさ来たので購入。前作読了済み。
    必ず前作を読んでから手にすることをお勧め。
    神去村の雰囲気というか空気というか世界観というか(笑)、そういうのが理解できていないとこの文章のノリについて行けないと思う。

    ハチャメチャに生きてるように見えるヨキにも悲しい過去があった。多かれ少なかれ、人はどこかに悲しみを抱えて生きて行くもんやと思うけど、それを乗り越えて明るく生きてる人は尊い。
    私もその人の悲しみを知った上で変わらず接することができる人でありたいと思う。

  • 再読。kindle。大きな出来事はなく、日常が細やかに描かれる。神去村の悲しい過去も明らかになる。1回目はこの読者を想定したわざとらしい語りかけ口調がイヤだなあ、と思ったけど、今回は懐かしさを感じて、勇気との再会を単純に喜べた。さすがに続編はないだろうけど、「勇気、ガンバレ」と応援し続けたい。

  • 高校を卒業するにもかかわらず、進路を決めていなかった男子。
    親と教師に強引に、山奥で「林業」の仕事に就職させられてしまう。

    そんな若者が林業従事者として奮闘する姿を描いた小説、『神去なあなあ日常』。
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4198936048

    ユニークな設定とユーモアあふれる筆致が話題となり、映画化もされました。
    その続編が文庫化されていると知って、電子書籍版を探して読んでみることにしました。

    20歳になった主人公、勇気が、「誰にも知られずこっそりと」村での生活を記録している、という設定で書かれています。

    前作のように大きなイベントが起こるというわけではありません。
    村で暮らす日々に起こったことや、居候先のお婆さんに聞いた、村に伝わる神話などを書き連ねていく、という形で進んでいきます。

    今回も、軽快に読み進めることができました。
    そして林業という、なかなか想像がつかない職業の日常を、垣間見るような感覚を味わえました。

    数十年百年単位で、樹木を育てていく、林業という仕事。
    時間が流れるというのはどういうことなのか、神話や物語、さらには八百万の神様といった存在はどのような意味を持つのか、考えさせてもらいました。

    続編があるような終わり方だったので、その発表を楽しみに待ちたいと思います。
     
    『光』三浦しをん
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4087451216
     
     .

  • 強引に神去村で林業をやらされることになった平野勇気の
    バタバタ劇を描いた『神去なあなあ日常』の続編。

    とは言え、今回は林業要素は少なめ。
    神去村に伝わる昔話についてだったり、主要人物を少し
    掘り下げてみたものだったり、勇気の恋を描いたもの
    だったりと、お仕事モノから群像劇に変わった印象。

    そのためか、前作よりもなんだか軽い印象だったな。
    読みやすいし面白いんだけど、読み終えてもあっさりで、
    あ、もう終わってしまったという感じ。

    今度は勇気の林業における成長を重点的に描いた続編を、
    という期待をしてしまう。
    今作はそのための橋渡しの一冊ということなら、十分に
    その役割を果たすんだけど。

  • 今日も明日も明後日も、

    ん十年後や百年後を見据え、

    木を植え木を伐り手を入れるのだ。

    山の神様もやさしく見守っていてくださる。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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