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- / ISBN・EAN: 4988013054592
感想・レビュー・書評
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天然ボケな主人公の黒木華に、監督の岩井俊二が悪意のある災難をしかける様子をハラハラ観ているような気分。
ミステリアスで不穏な空気なので、なんだか続けてみるのが辛い。
受動的で危うげな主人公は、濁流の中の木の葉のようなんだけど、ひらりひらりと運命の過酷さを一瞬でかわして、生き延びていく。
黒木華と綾野 剛の魅力を最大限に表現したキャラクター映画なのかもしれない。
岩井俊二の映画は少女に対して純粋さを求めているところがあって、それは本来非現実的なんだけど、痛々しさの表現によって、リアリティに昇華される、岩井演出マジックなのではないかと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
- これもこだわりなのかもしれないが、この映画は予告で何も伝えようとしてこない。それもあって、お気に入り登録はされつつなかなか見なかったのだが、ようやく見た。
- https://www.youtube.com/watch?v=uhF5bqHTkA4
- アムロは結局どんな魂胆だったのだろうか。マザコン旦那の母から離婚に仕向けるようを依頼されたのは分かったけど、もともとそれありきで七海に近づいたのだろうか。真白にはその一件が終わって、行き場がなくなった七海をたまたま紹介したのだろうか。重なったのは偶然だったのだろうか。とはいえ真白のお母さんと泣きながら真っ裸になって酒を飲んだりするし、最後はなんかいいやつだったりする。それ全部含め、サイコパスなんだろうか。
- 最初は圧倒的に冴えてないんだけど、黒木華がだんだんかわいく見えてくる不思議な映画。七海と真白がウェディングドレスを試着して、写真撮って、そのまま買っちゃうシーンとかは本当に幸せそうで。岩井俊二の美的センスが爆発している。
- 最初に出てきたキャバ嬢の昔の友達ってどういう伏線だったんだろう。
- 途中野田洋次郎出てくるし、最後にAV女優めっちゃ出てくる。
- 長いのに飽きずに見れていい映画だった。 -
黒木華の純真無垢さが前半は災いし、後半は愛されるという温度差もよく、さらに綾野剛の一貫したわけのわからない魅力全開も、3時間半近い長さを感じさせない荒唐無稽な面白さに昇華させていました。
特に黒木の、真白と出会ってどんどん素直になっていく様が美しい。
圧巻は、真白の遺産を実家に納めに行った時の母親りりいと綾野が裸になるシーンと黒木が脱がないでただひたすら酒を飲むだけのシーン、結局は憎しみ切れない親子の絆が泣かせる。
やはり、岩井俊二監督の手腕、おそるべし。 -
なかなかどうして岩井俊二監督は相変わらず感想が難しい(分かりやすくなく、ある意味でシンプルとも言える)作品を撮るなぁ〜と、改めて実感。
小説も読めはまた、イメージが変わるかも。それでも、直感的に感じたことを言語化するのが難しい。
常に受け身で、主体性が感じられず、周りから見ればイライラ・ヒヤヒヤし、それまで波風立てずに流させれて生きてきた一人の女性が、なんでも屋のような「謎の男」と、女優を名乗る「ある女性」との出会いと別れを通じて自立するお話。
って書けばそれっぽいけど、それだけじゃない映像美(演出)が確かにありました。 -
舞台は東京。派遣教員の皆川七海(黒木華)はSNSで 知り合った鉄也と結婚するが、結婚式の代理出席をなんでも屋の安室(綾野剛)に依頼する。
新婚早々、鉄也の浮気が発覚すると、義母・カヤ子から逆に浮気の罪をかぶせられ、家を追い出される。
苦境に立たされた七海に安室は、月100万円も稼げる住み込みのメイドのバイトを紹介した。
そこで謎めいたメイド仲間と出会い…。事件や不条理に出逢いながら成長していく物語。
臨時教師をやりながら教師を目指しているが自分に自信がなくて上手く気持ちを表現出来ない七海が何でも屋の仕事を通じて成長していく展開を、SNSなどの人間関係や自分を表現することや人間関係の危うさなどを絡めて描いています。
流されるように生きてきたけど何でも屋の仕事を通じて成長していく七海を演じる黒木華のナチュラルな好演、何でも屋で探偵で得体のしれない何でも屋の社長・安室を演じる綾野剛の得体のしれない魅力、何でも屋で心を通わせるバイト仲間の真白を演じるCoccoの豪快で包容力のある魅力、七海と真白の女同士の友情、七海と真白の理想郷の御屋敷から現実へ踏み出す切ないけど希望が見えるラスト、リリカルでユーモラスでユニークなガールズストーリー映画です。
「この世界は幸せだらけなんだよ」 -
終始梅雨の中のような映画で、見終わったあと起き上がれなくなってしまうくらい、何か自分の中から持っていかれてしまうような映画だった。
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久しぶりに岩井俊二作品。約3時間と長い映画ですが前半最高!後半はなんだかよくわからんのでつまらなかったです。『リリイシュシュのすべて』+『花とアリス』みたいな感じで、『スワロウテイル』のCharaや『リリイシュシュ』のSalyu的なポジションにCocco。
私の中での岩井俊二の評価は、「作品はあんまり好きじゃない」「けど本人が映画について言ってること聞くと、こいつけっこう良い奴じゃんって感じで好き」です。
『Love Letter』が丁度高校生の多感な頃でして、フツーに良い恋愛映画だったなーと。『Love Letter』はヨコハマ映画祭で1位、キネ旬その他でも高評価。
その後の『スワロウテイル』ぐらいからなんか嫌な感じがあって、私が当時買ってた漫画からの盗作疑惑なんかもあったりしまして。
数年前にようやく『打ち上げ花火…』を観たけどあんまり好きじゃなく…これよりも5ヶ月前に公開された相米監督の『お引越し』の方が名作でした(脚本は細田監督と組んでた奥寺さん、音楽はZガンダムの三枝さん)。
ついでに『スワロウテイル』で美術をされた種田陽平さんが映画の世界に入るきっかけが合田佐和子さん(寺山修司の『上海異人娼館』)、武蔵美つながり。合田さんの弟子が横山センセで、センセも『上海異人娼館』にたしか参加されてたはず…。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』に話を戻しますと、前半最高!なのは「学校のあのイヤーな感じ」や「結婚式のあのイヤーな感じ」がとても良かったからです。学校ネタ、インターネットネタなんかの源流は『リリイシュシュ』からかと。前半はミステリとしてのワクワク感もあって(まあ展開は読めるんだけどw)良い。
けど後半は違うふたつの映画を合体させたような感じで、あんまり…。この映画のCoccoは良かったです。
『女の一生』とか書かれてたけど私は『西鶴一代女』を連想しまして、前半は黒木華ちゃんをどんどん追い詰めていくところが良いです。
しかし黒木華ちゃんがもしガンダムを観てたらオルフェノク綾野剛に騙されなかったのになと。ガンダムをちゃんと観とくのは大事だという教訓でしょうか笑。まあガンダムも「アムロをただひたすらに追い詰めていく話=修羅の連続」なのだけど。
それと、「リップヴァンウィンクル」ってのが作中で大した意味を持たないのがなんだかなぁーって感じ。黒木華ちゃんの方の宮沢賢治は、彼女はたぶん国語の教師だからすんなり行けたのだけど。ガンダムネタも特に意味がないし(このへんの妙にオタク気質な点が岩井俊二の気持ち悪いところ。1963年生まれだからその辺を通ってきてる世代)。
黒木華ちゃんは顔があんまり好みじゃない(長くて薄い)から特に好きではないけど、『舟を編む』でのキャラクターが好きでした。
それで、他のドラマ『みをつくし料理帖』や『凪のお暇』を観ると、だいたいキャラが同じで似たようないじられ方をされてるのが「う〜ん」となります。
私は『重版出来!』を観てないけど面白いよと勧められているので、これのキャラは違ったら良いのに…と微かな期待を持っております。 -
ドラマ「重版出来!」ですっかり黒木華が気に入ってしまい、彼女の出演作品を配信やDVDで次々と観ている。
『小さいおうち』の女中・タキ役も、彼女らしくて素晴らしかった。白い割烹着がなんと似合うこと。
『舟を編む』も、映画としては面白かったのだが、これはどちらかといえば宮崎あおいを観るための映画で、黒木華はほんの脇役だった。
で、この『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、監督の岩井俊二が黒木華のために書いたという脚本であるだけに、彼女の魅力が最初から最後まで全開だ。メイド服・ウェディングドレス・喪服のコスプレがそれぞれ堪能できるうえ、シャワーシーンまであるという鬼サービスぶり(笑)。
2ちゃんねるの「重版出来!」スレを見ると、黒木華はブスだブサイクだブサカワだと言われ放題だが、私は彼女はとても美しいと思う。日本人に生まれてあの美しさがわからないなんて、カワイソウな連中である。
映画としても、よい意味で予想を裏切りつづけるストーリーが魅力的で、なかなかの好作。
準主役級で登場するCoccoの自然な演技と存在感にも驚いた。デヴィッド・ボウイから泉谷しげるに至るまで、シンガーは総じて演技がうまい。それは一つには、人前で歌う行為そのものが俳優の演技に近いからだろう。わざわざ演技を学ぶまでもなく、効果的な発声法や間の取り方などを、彼らはすでに体得しているのだ。
奇しくも、この映画ではりりィがCoccoの母親を演じているのだが、言うまでもなくりりィもシンガーである。
「重版出来!」のヒロイン・黒沢心と、『リップヴァンウィンクルの花嫁』のヒロイン・皆川七海は、あらゆる面で対極にあるキャラクターである。その両方を見事に演じきるのだから、黒木華はすごい女優だと思う。 -
相変わらず岩井監督の美的センスが光る。音楽も映像も一流。傑作だと思う。
最初の1時間ちょっとは、ナナミの境遇がひどくて可哀想で、フィクションだからと処理できない辛さで、最近私がそういう暗い映画や小説を受け止められない体質になってしまっているせいもあって、かなりしんどかったけれども、Coccoが現れたあたりから風向きが変わっていく。Coccoがとにかく只管素晴らしい。Coccoが救ったのはナナミの気持ちだけじゃなくて見ている私たちも、なのかもしれない。AV、レズビアン、お金、孤独、生きづらさ。直接的な描写はほぼないが、これをこんなにも美しく映像にできるのはすごいと思う。
堀潤とかRadwinpsの野田洋次郎とかAV女優とか、いろいろ予想外の人がたくさん出てくるけど、新郎・紀里谷監督はちょっと悪ふざけというか内輪ノリだったかなー、、、という気がしなくもない。それでも素晴らしい作品。