死すべき定め――死にゆく人に何ができるか [Kindle]

  • みすず書房
4.67
  • (10)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 75
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (337ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いくつかの終末期の具体的な話があり、読み進めるのがしんどい本だと思う。しんどいが、それだけ読む人によっては価値のある本でもあると思う。少なくとも自分にとっては様々な示唆を与えてくれた。

    可能ならばこのしんどさに向き合わないで住む世界線にいたかったが、少なくとも現在の科学技術では大多数の人が向き合う必要があるのだろうし、向き合うべきであると思う。

    緩和ケアは大事、本人が残された時間をどう過ごしたいかの意思は大事、それを現代医療は奪ってしまうリスクも十分にあるということも理解はできる。様々なリスクを十分に検討しても結局どうなるか、何が良かったのかは後になってみないとわからない。こういった示唆に富む話を頭に入れつつも、実際にその現場に自分が立った時はまたいろいろとのたうち回るのであろう。ただ、その時に、この本で得たものが少しでも自分の判断をより後悔しないものにしてくれるような気はする。

  • 哲学の本ではなく、米国の外科医による終末治療を如何に受けるかという本です。現代の多くに人たちが、病院で治療の為にほとんど意識もなく苦しんで死んでいきます。私の父も家内の母もそうでした。特に癌の時は、転移などして完治が難しい場合に、治験等で見込みが薄くても、最後まで頑張るのか、在宅ホスピスなどで緩和ケアをして、楽な状態で家族と過ごすかは、よく考えた方が良いということです。
    癌でない人も、延命治療はしないと決めていても、延命治療の定義はとても難しく、具体的に、自分が意識がない時に、判断する配偶者や子供たちときちんと話しておくことが大切だということです。
    例えば、チョコレートアイスを食べれて、フットボールの試合をテレビで見れたら、四肢まひになっても、生き延びていたいと、大きな手術のリスクを取った人が、10年後、食事が食べれなくなりチューブがなければ家に帰れないときに、在宅ホスピスを選んだという例が書いてありました。
    私の親が生きている間に、この本を読んでいればよかったと思いました。今度は、家内や自分の為に、家族と良く話し合っておこうと思います。同じ年の皆さんも是非。

  • アドバンス・ケア・プランニングの本。

    人は必ず(老いて)死ぬということを、医療者の観点で捉え書き下ろした本。実話。

    決定権を持つ人が変わること。情報提供と判断、をむやみに求めないこと。目標達成により近いほうを選ぶこと。
    社会情動的選択理論、ピーク・エンドの法則。

    P205
    ・患者に意味を伝える最も良い方法は、その情報が医師自身にとってどういう意味があるかを伝えることだ
    ・相手が聞きたいことは何かを質問し、相手に伝え、それからどう理解したかを尋ねる。

  • エデンの園の代わり。

  • 終末期に、死にゆく人とどう向かいあうべきかを、真摯に問う外科医の心の記録・人間ドラマ。外科医で「ニューヨーカー」誌のライターでもある著者が、実体験・実名で、描く医療ノンフィクション。インドに生まれアメリカに渡り医師となった父の最期の姿や、治療を進めてきた人の最期の姿を、抑えたトーンで、感動的に描く。終末期にあたり、「置かれた状況とこれからの可能性を本人がどう理解しているか?」「恐れていることと望んでいることは何なのか?」「何を犠牲にしてもよく、何を犠牲するのが駄目なのか?」「そしてこの理解を深めるのに役に立つ最善の行動とは何か?」。死にどう向かうかを描くことで、生にどう向かいあうべきかを問う書。描かれている姿・場面が詩的でもあり、映像として浮かんで感動的。死ぬまでに読んでおくべき名著。

  • 非常に内容が濃い作品である。
    医学生としての視点しか持ち合わせていない自分にとっては 何十年 、数多くの症例を経て到達する ベテランドクターの視点があるように感じられた 。手元に置いて医師人生の節目節目で何度も読み返したい 作品。勿論、医療者だけではなく死を迎える全てに人に読んでほしい。

  • 医療ジャーナリストの村中璃子氏推薦の図書ということで読んでみる。ノンフィクションの物語の中で、終末期医療、介護の問題を個別にリアルに描いている。素直に読み進められ、且つ今後の医療福祉政策を推し進めていく際の根本となる、重要な考え方に触れられた気がする。それぞれ医師の家庭の話もでてくるので、とても説得力がある。
    また機をみて読み返したい。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1965年生まれ。ブリガムアンドウィメンズ病院勤務、ハーバード大学医学部・ハーバード大学公衆衛生大学院教授。「ニューヨーカー」誌の医学・科学部門のライターを務め、執筆記事はベスト・アメリカン・エッセイ2002に選ばれ、2010年に「タイム」誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出されている。著書 『コード・ブルー』医学評論社 2004、『予期せぬ瞬間』みすず書房 2017、『医師は最善を尽くしているか』みすず書房 2013、『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』晋遊舎 2011、『死すべき定め』みすず書房 2016)。 [個人サイト]Atul Gawande http://atulgawande.com/

「2017年 『予期せぬ瞬間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アトゥール・ガワンデの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
スティーブン・ピ...
ダニエル カーネ...
ジェームス W....
ヴィクトール・E...
アンデシュ・ハン...
ダニエル カーネ...
マシュー・サイド
リチャード・ドー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×