〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則 [Kindle]

  • NHK出版
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感想・レビュー・書評

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  • 未来予測系の本に対する俺の判断基準の1つに、新サービスの紹介で終わらないか、というのがある。この本はこの基準をパスしている。例としてサービス名は出てくるが、あくまでも例としてであり、話の本質はこれから向かう先についてである。

    大雑把に言ってしまえば、今の流れは今後増すばかり。データはより増え、コピーされ、繋がっていくということである。そのため今の潮流に逆らおうとするのではなく、むしろ利用していく方法を考えるのが正しい。

    これを踏まえて自分の振る舞いを振り返って見ると、スマホ普及以降に生まれた文化に抵抗を感じる事がある。例えばスクショでシェアする文化とか。しかし全体の視点で考えると、これもまたシェアしやすい方法が尊ばれるということであり、止めるのではなく乗らないといけないのかもしれない。

  • 限界費用が無料になっていくなかで、価値を生み出すのがサービスの要素
    無料で手に入るのに、お金を払いたくなるのは
    「即時性」「解釈・教育」「信頼性」「アクセスの利便性」「実態としての存在」

  • まだ、これから世の中が変わっていく。自分も置いていかれないように変わっていかなければならない。どのように変わっていったらよいのか、とりあえず情報化についていかなければならない。自分は、リアルの世界にとらわれ過ぎではないかと思う。

    〇均質な条件なら、テクノロジーを規定する物理的・数学的な法則は、ある種の振る舞いを好む傾向があるのだ。基本的にこうした傾向は、テクノロジー全体を規定する集合的な力として存在し、個々のテクノロジーやその状況には影響を与えものではない。
    〇われわれはあまりに早く変化していて、新しい機能を発明する速度がそれを文明に取り入れる速度を超えてしまっている。あるテクノロジーが出現すると、それが何を意味するものか、それを飼い馴らすためにどういうマナーが必要かという社会的な同意ができるまでに、10 年はかかってしまう。
    〇既存産業はこれまでのビジネスモデルが働かなくなりつまずくことになるだろう。
    〇デジタルによる変化のルーツを明らかにすることで、それを取り込めるようにするために努力する。
    〇われわれはそれらのテクノロジーを取り入れていかなくてはならない。テクノロジーを妨害することなく、協働することによってのみ、その果実を得ることができるのだ。
    〇サービスが分散化することは不可避であって、それを禁止するようなことはできないし、あってはならない。
    〇われわれの新しい時代には、プロセスが製品を凌駕する。
    〇手で触れられないデジタル世界では、静的で固定されたものなど何もない。すべては、〈なっていく〉のである。
    〇本書の目的は、これら最新のテクノロジーに作用する傾向を集めて、その軌跡を目の前に並べてみることだ。
    〇この広範で動きの速いテクノロジーのシステムは、文化の進む方向を少しずつ確実に曲げていくことで 12 の力を増幅させるのだ ── ビカミング(なっていく)、コグニファイング(認知化していく)、フローイング(流れていく)、スクリーニング(画面で見ていく)、アクセシング(接続していく)、シェアリング(共有していく)、フィルタリング(選別していく)、リミクシング(リミックスしていく)、インタラクティング(相互作用していく)、トラッキング(追跡していく)、クエスチョニング(質問していく)、ビギニング(始まっていく)
    〇存在するということは、主にメンテナンスをするということなのだ。
    〇マシンは陰に隠れて自らをアップグレードし、時間と共に静かに自らを変えていくのだ。これは徐々に行なわれるので、われわれはそれらが何かに〈 なっていく〉ことに気がつかない。
    〇年齢や経験と無関係に、永遠の初心者こそが、誰にとっても新たなデフォルトに対応できる。
    〇われわれは心に渇望感を持たない限り、自分や集団の自我を拡張することができない。だからテクノロジーによって自分の境界を拡張し、アイデンティティーを収容する器を拡げ続けていく必要がある。
    〇現実のディストピアは『マッドマックス』の描く世界というよりソビエト連邦に近く、そこは無法地帯というより息が詰まるような官僚主義が支配している。
    〇ユートピアもディストピアも、われわれが向かうべき方向ではない。テクノロジーはむしろわれわれを「プロトピア」に向かわせる。より正確に言うなら、われわれはすでにそこに着いている。
    〇シンギュラリティー〔 人工知能が人間の能力を超える技術的な境界〕
    〇われわれは現状も、これからも、永遠の初心者なのだ。起こりそうもないことを信じないといけない場面がこれからもっと増えるだろう。
    〇革命の中心にあったのは、新しい種類の参加の形であり、それはシェアを根本原理とした新しい文化へと発展していった。
    〇われわれはウェブがどうなるかを想像できなかったのと同様、今日の姿もきちんと把握してはいない。
    〇ウェブのページの総数は、一時的に作られたものも含めて 60 兆を超える。
    〇われわれが過去30年で学んだことがあるとすれば、それは、不可能と思えるものも、見かけほどにはそうでもないということ。
    〇インターネットはまだその始まりの始まりに過ぎない。それは何より〈なっていく〉ものなのである。
    〇歴史上、何かを発明するのにこんなに良いときはない。いままでこれほどのチャンスや、いろいろな始まりや、低い障壁や、リスクと利得の格差や、収益の高さや成長が見込めるタイミングはなかった。いまこの瞬間に始めるべきだ。いまこそが、未来の人々が振り返って、「あの頃に生きて戻れれば!」と言うときなのだ。
    〇今日こそが本当に、広く開かれたフロンティアなのだ。われわれは皆〈なっていく〉。人間の歴史の中で、これほど始めるのに最高のときはない。まだ遅くはないのだ。
    〇人工知能(AI)が安価で強力でどこにでもあるようになったとき、これに匹敵するような「すべてを変える」力を想像することは出来ない。
    〇人工的な思考は、本書に描く他のあらゆる破壊的変革を加速させる。
    〇未来の力の源。
    〇現在の速度でAIのテクノロジーが進化していけば、いま生まれたばかりの子どもが大人になる頃には、病気の診断のために医者にかかるということはほとんどなくなるでしょう。
    〇一般企業によるAI分野への投資は、ここ4年ほどで平均 70%もの伸びを示しており、この勢いが当分続くと考えられている。
    〇いま姿を現しつつあるAIは、どちらかというとアマゾンのウェブサービスのようなもので、安価で信頼性が高く、あらゆるサービスの裏に隠れている実用的でスマートなデジタル機能であり、作動している間はほとんど気づかれることもない。
    〇実際に、これから起業する1万社の事業計画を予想するのは簡単だ。それはただ、 XにAI機能を付ける というものだ。オンラインの知能を加えることで良くなるものを、ただ探せばいいのだ。
    〇最近のスマートフォンのカメラは何層もの厚いガラスの代わりにアルゴリズムと計算と知性によって、物理的なレンズがいままで行なっていた仕事を代替する。
    〇コグニファイした音楽 ── ビデオゲームやバーチャル世界用に、アルゴリズムを使ってリアルタイムで楽曲を生成する。あなたの行動に連動して音楽が変化する。AIが各プレーヤー用に何百時間分もの音楽を作曲してくれる。コグニファイした洗濯 ── 服が洗濯機にどのように洗ってほしいかを指示する。スマートになった服たちによって、毎回そのときの洗い物に合わせた指示が出され、洗濯時間も最適化される。コグニファイしたマーケティング ── 個々の読者や視聴者が広告にどれだけ注目したかの総量を、その個人の社会的影響力(どれだけの人にフォローされ、その人たち自身がどれだけ影響力があるか)と掛け合わせ、1ドル当たりの注目度や影響力を最適化する。何百万人規模で行なわれるので、AIに適した仕事だ。 コグニファイした不動産 ──「この物件を気に入った人はこういう物件にも興味があります」とAIによって表示して、売り手と買い手のマッチングをしてくれる。個人の実情に合わせて、融資計画なども提供してくれる。コグニファイした看護 ── 患者にセンサーを付け、生体情報を24 時間監視することで個人に合わせた治療ができ、日々その精度を高めて最適化してくれる。コグニファイした建設 ── プロジェクト管理プログラムが、設計の変更に加えて天気予報や港湾の交通渋滞、為替変動や事故までをきちんと計算に入れて動いてくれる。 コグニファイした倫理 ── 自動運転車は、その行動の優先順位についてのガイドラインが必要だ。例えば歩行者の安全はドライバーのそれより優先されるかもしれない。プログラム言語に従って真に自律的な動きをするものは何であれ、スマートな倫理プログラムも必要となる。 コグニファイしたオモチャ ── オモチャがよりペットに近づく。スマートなペットのようなオモチャになる。
    〇最近になって起こった三つのブレークスルーが、ついにAIの扉を解き放ったのだ。
    1. 安価な並列
    思考することは本来、並列したプロセスだが、変化が訪れたのは 10 年以上前、ビデオゲーム用に何百万もの画素を毎秒何回も並列に計算する必要から、画像処理ユニット(GPU)と呼ばれる新しいチップが考案されたとき
    2. ビッグデータ  
    どんな知能にも教育が必要であり、AIのイノベーションが起きた裏には、学習に必要な、実世界に関するデータが堰を切ったように増えているという事情がある。
    3. アルゴリズムの改良  
    デジタル方式のニューラルネットは1950年代に発明されていたが、コンピューター科学者がこうした100万から億にまで及ぶニューロン間の天文学的な数の組み合わせにどう対処すればよいかを学ぶには何十年もかかった。
    〇安価な並列処理機能とさらなるビッグデータ、そして深化し続けるアルゴリズムによるこの巨大な嵐によって、60年間もかかったAIが、あっという間に実現することになった。
    〇クラウド・コンピューティングは収穫逓増の法則を強化する。これはネットワーク効果とも呼ばれるもので、つまりネットワークの規模が拡大するにつれて、その価値はそれ以上に速く増大する、という法則だ。
    〇AI機能を持ったクラウドも同じ法則に従う。AIを使うユーザーが増えれば増えるほど、より賢くなっていく。賢くなればなるほど、より多くの人が使うようになる。
    〇われわれのAIの未来は、二、三の大きな汎用クラウドベースの商用知能に寡占的に支配されることになりそうだ。
    〇われわれがほしいのは、自意識を持つAIより、人工的な賢さだ。われわれは進化するAIに自意識が生じないように設計すべきなのかもしれない。最も高価なAIサービスは、自意識がないことを売りにすることになりそうだ。
    〇われわれが自分の知能に対してさえ現実的に定義できていないからで、最近までこうした定義が必要とされなかったこともその一因。
    〇もし自分が唯一無二の道具職人でないなら、あるいはアーティストや倫理学者でないならば、人間を人間たらしめるものはいったい何だろう。
    〇信じ難いことかもしれないが、今世紀が終わるまでにいま存在する職業の70%がオートメーションに置き換えられるだろう ── あなたの仕事も含めて。
    〇ロボット化は不可避であり、労働の配置転換は時間の問題なのだ。
    〇われわれはすでに変曲点に来ている。
    〇典型的な工業用ロボットの運用にかかる本当のコストは、本体のハードウェアではなく運用コストだったのだ。
    〇今は製造業といえば中国ということになっています。でもロボットのおかげで生産コストが下がるにつれ、輸送コストの方がはるかに大きなものになるでしょう。近場で生産した方が安くなるのです。そこで私たちは、地域のフランチャイズ化した工場のネットワークを作り、納品先から5マイル以内で生産できるようにするつもりだ。
    1.人間ができるが、ロボットの方が上手にできる
    以前は非常に高度な専門家が高い料金で行なっていた税金対策やレントゲン画像解析や事前のチェックもコンピューターに移行していく。
    2.人間にはできないが、ロボットができる
    われわれはロボットに「おいしい仕事」を与えたりはしない。だいたいにおいて、絶対自分ではできない仕事を投げているのだ。ロボットがいなければ、その仕事は手付かずのままである。
    3.われわれが想像もしなかった
    2050年に一番儲かる職業は、まだ発明されていないオートメーションやマシンによるものだと予測しておけばまず間違いないだろう。つまり、そうした仕事を可能にするマシンやテクノロジーがまだ分からないので、そうした仕事がどんなものになるかはいまは見通せない。ロボットはわれわれがかつては望みもしなかった仕事を生み出しているのだ。
    4.まずは、人間にしかできない
    人間にできてロボットができないこと(少なくとも当分の間は)の一つが、人間がしたいこととはそもそも何なのかを決めること。
    〇こうしたポスト工業化社会の経済は、新しい仕事を発明することが個々人の仕事(の一部)になる一方、その新しい仕事もそのうちロボットの反復作業になっていくことで、ずっと拡張し続けるだろう。
    〇誰もがパーソナル・ロボットを使えるようになるだろうが、ただ持っているだけでは成功はない。
    〇われわれ人間の役割は、ロボットのために仕事を作り続けることになる ── この作業は決して終わりがないだろう。だからわれわれの仕事も少なくとも一つはずっと残るのだ。
    〇これはマシンとの競争ではない。もし競争したらわれわれは負けてしまう。これはマシンと共同して行なう競争なのだ。
    ロボットたちには仕事を肩代わりしてもらい、本当に大切な仕事を頭に描くのを手助けしてもらおう。
    〇われわれの文明を支えていたかつての経済は、定番の物品が並ぶ倉庫といっぱいの積荷が備蓄された工場から成り立っている。
    〇コンピューター化の第一の時代は、工業化時代から借用したものだった。デジタル時代の第二段階はオフィスの真似事をやめ、ウェブの原理によって体系化された。いまではコンピューター化の第三段階に移行中。期待される時間軸があまりに早く変わったので、多くの組織がついていけなくなった。リアルタイムで処理するには、すべては流れていかなくてはならない。
    〇こうしていまでは、これから30 秒以内に読み始めるつもりの本以外は購入しないようになった。こうしたジャストインタイム式の購入法も、リアルタイムのストリーミングの自然な結果なのだ。
    〇工業化時代に企業は、効率と生産性を上げることで自分たちの時間を最大限活用していた。今日ではそれでは不十分だ。今や組織は顧客や市民の時間を節約しないといけない。つまりリアルタイムでやり取りできるように最大限努力しなくてはならないのだ。
    〇デジタル時代の第三段階の基盤となるのは、流れとタグとクラウドなのだ。
    簡単に言えばこうだ ── コピーが超潤沢にあるとき、それは無価値になる。その代わり、コピーできないモノは、希少化して価値をもつ。
    〇われわれは信用できる相手と付き合おうとするので、その恩恵を得るためなら追加の金額を払う。それを「ブランディング」という。
    即時。あなたがほしいと思うどんなものもいずれは無料コピーを手に入れられるが、それが製作者によって発表された時点や、さらには製作された時点で自分の手元に届いていたら、それは生成的な価値になる。コンサートを録音した一般的な盤は無料になるだろうが、あなたの部屋の音響環境にぴったりに調整されて、まるで家のリビングルームで演奏されているような音が出るなら、かなりお金を払ってもいいと思える。
    〇それがどんな意味を持ち、何ができて、どう使えばいいのかという解釈 ── いわば遺伝子のマニュアル ── が高価なものになる。
    信頼。流行のアプリを裏ネットで無料で手に入れることはできるかもしれないが、仮にマニュアルは要らなくても、そのアプリにバグがないことや、マルウェアやスパムでないことは保証してほしくなるかもしれない。
    〇本は無料だが、身体性を伴う講演は高くなるのだ。ライブコンサートのツアー、生のTEDトーク、ラジオのライブショー、ポップアップのフードツアーなどはすべて、ダウンロードすれば無料な何かに一時的な身体性を付加することで力や価値が加わることの証なのだ。
    〇われわれはこの流れを開始したばかりだ。デジタルメディアのいくつかでは流動化の四つの段階がすでに始まっているが、ほとんどにおいてわれわれはまだ最初の段階にいる。
    〇アメリカの繁栄や自由は、読み書き文化によって花開いた。われわれは本の民になったのだ。人々が文字を読む時間は 80 年代と比べてほぼ3倍になった。
    〇われわれのこの新しい活動は、読書というよりは「 画面で読む」と呼ぶ方が正しいだろう。本とは実際のところ、読書中に心が赴くバーチャルな場なのだと主張する文学者もいる。それは「読書空間」とでも呼べそうな、想像力の概念的なありかただ。近い将来には電子本のテキストもようやく解放され、本に備わった本当の特性が花開く時代が来るだろう。これはとても巨大な図書館だ。シュメール人が粘土板に記録を残してからというもの、人類は少なくとも3億1000万冊の本、 14 億の記事やエッセイ、1億8000万の曲、3兆5000億のイメージ、 33 万本の映画作品、 10 億時間の動画やテレビ番組や短編映画、 60 兆の公開されたウェブページを出版してきた。書かれたものすべてを地球的規模で閲覧可能とするテクノロジーはその一方で、われわれがいま本と呼ぶものやそれを収容する図書館の性質も変容させる。
    〇リンクとタグは、過去 50 年で最も重要な発明かもしれない。あなたがリンクを張ったりタグ付けしたりするたびに、あなたは人知れずそのウェブの評価を上げ、よりスマートにしている。
    〇優れたコレクションをキュレーションするユーザーは評判になり、それで商売できるようになるだろう。
    〇本とは注意を引く単位なのだ。本は熟慮する心を養成するのに良いものだった。
    利用するものを所有する、ということが年々少なくなって、所有することは昔ほど重要ではなくなっている。その一方でアクセスすることは、かつてないほど重要になってきて、高度に進んだテクノロジーのおかげで、こうした魔法のようなレンタル店が実現する。それこそ、インターネットとウェブとスマートフォンの結び付いた世界だ。このバーチャルな棚は無限に、アクセスへと向かい、所有から離れていくこうした長期的な動きを加速させる、五つのテクノロジーのトレンドが、非物質
    現在の最新のプロダクトは概してこうした非物質化が進んで
    GDPの金額当たりの物質の量は少なくなっており、つまりはより少ない物質でより多くの価値を生み出している。
    「所有権の購入」から「アクセス権の 定額利用」への転換は、これまでのやり方を変え、
    現在ではソフトをプロダクトとしてではなくサービスとして売る「 SaS」という方式が、ほとんどのソフトで常識になって、
    テレビ、電話、ソフトのサービサイズは始まりに過ぎ
    黄色のハイライト | 位置: 2,319
    健康の
    黄色のハイライト | 位置: 2,322
    アクセスすることは、新しいものをほぼリアルタイムで届けることにもつながる。リアルタイムで動いていなければ、もはや見向きもされない。
    過去数年で何千もの起業家が、「Xのウーバー」になるべく資金を集めようとベンチャーキャピタルを漁り始めた。ここでXとは顧客が待っているどんな業界でも、ウーバーのようなサービスがこれを提供できるのは、従業員でいっぱいの建物を所有するのではなく、ソフトウェアを所有しているから、彼らはある時間に空いている資源(空き部屋、駐車したままの車、使われていないオフィスなど)を集めて、いますぐに使いたいと待ちわびている人々と、
    あるいはフリーランスの分散型ネットワークを作り上げて、ほぼリアルタイムでサービスを提供する。
    より多くのモノが発明され製造されていくと、それを使える1日の時間は変わらないままなので、一つのプロダクト当たりにかける時間はどんどん短くなる。つまり現代生活の長期的なトレンドとしては、 ほとんどの プロダクトやサービスが短期利用になるのだ。そうしたプロダクトやサービスは、レンタルやシェアの対象になっていく。
    中央集権的な組織からよりフラットなネットワーク型の世界に移行した結果、すべてのものが ── 手に触れられるものもそうでないものも ── 素早く流れて全体の統一を維持しなければならなくなった。流れるものは所有することが難しく、持っていても指から流れ落ちてしまう。分散化した組織を統治する流動的な関係性に対しては、アクセスするというスタンスこそが大切である。
    〇プラットフォームとは一つの組織によって作られた基盤であり、その基盤上で他の組織にプロダクトやサービスを作らせる。
    〇クラウドにアクセスすれば、そこには映画、音楽、本、ゲームなど何でもある。クラウドとは何百万ものコンピューターがコロニーとなって継ぎ目なく編まれた、一つの巨大なコンピューターである。
    〇こうした集合的なインタラクションと分散化によって、文書は私のものというよりわれわれのものとなる。
    〇「ナレッジ・ベース・トラスト」と呼ばれる新しい校閲システムで文書の事実関係をチェックする。
    〇現在はデータが金のように所蔵されがちだ。データを所蔵しておくことは競争上有利になると見なされ、またデータの自由な共有が法律上も禁止されているため、会社がデータを創造的かつ効率的に、責任を持って共有できるようになるには長い時間(何十年も?)がかかる。
    〇これからの30年、非物質化、分散化、リアルタイム化、プラットフォームの有効化、クラウド化の傾向は衰えることがない。
    〇われわれが非物質化、分散化、リアルタイム化、プラットフォーム化、クラウド化などをいっぺんに進めていくと、アクセスは所有に取って代わり続けるだろう。日常生活におけるほとんどのことで、アクセスが所有を凌駕していくのだ。
    〇誰もが誰もに常時つながろうとするグローバルな熱狂は、テクノロジー版社会主義を改めて静かに生み出しているのだ。
    〇何かを成し遂げたかどうかだけが大切な、顏の見えない実力主義が
    〇国家による生産ではなく、一対一で生産する。政府による無料の支給品や補助金ではなく、無料の商品やサービスといった恩恵が受けられる。
    オンラインの現状を調査してみると、こうした現象を示す証拠が豊富にある。
    1.オンラインの大衆は驚くほどシェアに積極的だ。シェアはデジタル社会主義では最も穏やかな形式だが、シェアすることはより高いレベルでの共同作業の基盤となるものだ。それはネットワークそのものの基本要素でもある。
    2.ひとつの大規模な目標に向かって一人ひとりが動くと、その結果は集団レベルで現れてくる。投稿者たちが熱心なのは、こうした手段を使うことでより広い文化的影響力を生み出せるからだ。コミュニティーの集合的な影響力は、それに参加する人々の数の規模をはるかに超えたものになる。それこそが社会的な組織の組織たるゆえんで、全体が個々の総和を凌駕するのだ。
    3.組織的な協働は、その場限りの共同作業よりもっと大きな成果を出す。経済的におかしな点があるばかりか、われわれはコラボレーションで作られたものを無料で使うことを当たり前に思っている。現在の世界のウェブページの半分は、コミュニティーによって作られたアパッチという無料のオープンソース・ソフトによって動く3500万台以上のサーバーに載っている。オンラインのコラボレーションを可能にする新しいツールが共同体方式の生産を支えることで、資本主義的な投資家を締め出し、所有権を作り手たち ── 得てして同時に消費者でもある ── のもとに確保。
    4.つまり、デジタルによる共有は、昔ながらの常識とはかなりかけ離れた、第三の方法だと見なすことができるだろ。局地的な実験を超えていかにこの第三の方法をスケールアップしていくかがこれからの目標だ。分散化したコラボレーションはどこまで拡大できるものだろう。賃金労働を代替するものを作り上げようとする輩には政治的な思惑があるのでは、と考える人もいるだろう。しかしシェアリングツールを作ろうとコードを書く人、ハッカー、プログラマーたちは、自分たちが革命家だとは思っていない。彼らが無償で働いている動機は(オープンソースの開発者2784人への調査によれば)「学んで新しい技能を身につける」ということだ。共同行動が医師にもプライバシーの懸念にも優ることを証明している。あなたの考えていること(ツイッター)、読んだ本(スタンブルアポン)、資産運用(モトリー・フール・キャップス[Motley Fool Caps])、自分のすべて(フェイスブック) ── がますます一般的になり、われわれの文化の基盤になってきている。
    もともとボトムアップで育った組織で数年以上続くものはどれも、ボトムアップとある種のトップダウンのハイブリッド型へと移行していく。
    実際に機能する無政府状態はどれも、その中に古くからの仲間のネットワークが含まれる。
    低いレベルの仕事は時間単位の要求をこなし、その上のレベルでは1日単位で仕事を仕上げるといった具合だ。それ以上のレベルになれば週や月単位で動き、さらに上(多くはCEO周りの人々)になると、5年先を見据える必要がある。
    ボトムアップ方式の大規模な試みは、われわれを目的地の途中までしか連れて行ってくれない。われわれは人生の多くの局面で専門知識を必要とする。まるで専門家の手助けなしに、求める知識レベルを手にすることは難しいだろう。
    〇最近ではスマートフォンとなってポケットの中にも入ることで、マスのオーディエンスが力を持つ時代は終わった。いつの時代でも、ほとんどの創作においてニッチな世界が存在し、そもそも資金が集まらないようなプロジェクトは失敗する運命にあるので、この仕組はファンを守ることになる。
    群集によるシェアを上手く利用すれば想像以上のことができるし、それはほとんどいつでも、始めるには最良の方法なのだ。
    生煮えのアイデア、行き詰まった話、失敗、やり直しなどはすべて、実際に私や他の人々にとって仕事をより上手く行なうために必要なものだ。
    いまや本当に簡単に、手首をちょっとひねる程度の動作で誰もが「万物のライブラリー」を手元に呼び出すことができる。興味があれば、ギリシャ時代に貴族が読んでいたよりもっと多くの書物を、古代ギリシャ語で読むこともできる。それは古代中国の巻物でも同じで、かつて皇帝が読んでいた以上のものが家にいながらにして手に入る。またルネッサンス期の版画やモーツァルトの協奏曲の生演奏など、当時はなかなか鑑賞できなかったものにもいまでは簡単にアクセスが可能だ。現在のメディアはどの点から見ても、これまでで最も輝かしく充実している。
    広大な万物のライブラリーは、狭く限られたわれわれの消費習慣をはるかに凌駕していく。こうした広野を旅するには道案内が必要だ。人生は短く、読むべき本は多過ぎる。どれを選べば良いかを誰か、あるいは何かが耳元で囁いてくれないと決められない。優先順位付けが必要なのだ。われわれの唯一の選択肢は、選択をアシストしてもらうことだ。途方もなく増える選択肢を選別するために、われわれはあらゆる種類のフィルターを使う。そうしたフィルターの多くは昔ながらのもので、いまだにきちんと機能している。
    ゲートキーパー:権威、親、牧師、教師などが悪いものをブロックして「良いもの」だけをセレクトする。
    仲介者:出版社や音楽レーベル、映画スタジオにはボツになったものが山のように積まれている。彼らは受け入れるより拒否する場合が多いが、広く流通できるものをフィルタリングする機能を果たしている。新聞に載っているどの見出しも…
    キュレーター:小売店にすべての製品が並ぶことはないし、美術館も全収蔵品を公開してはいないし、公立図書館はすべての本を購入しているわけではない。キュレーターが入っている。
    ブランド:似たような商品が棚に並んでいる場合、購入者は購入のリスクを下げる簡単な方法として自分が知っているブランドを選ぶ。溢れ返るものの中で。
    政府:タブーは禁止される。ヘイトスピーチや首長の批判、ナショナリズム的…
    文化的環境:子どもたちには、彼らを取り巻く学校や家庭、社会の期待に従って、違ったメッセージ
    友人:選択する際に仲間から受ける影響は大きい。われわれは高い確率で
    われわれ:われわれは自分自身の好みや判断に基づいて選ぶ。伝統的にはこの
    まずは、自分が好きだと分かっているものがもっと手元に届いてほしい。こうした個人向けのフィルターは存在している。それはレコメンド・エンジンと呼ばれ、アマゾン、ネットフリックス、ツイッター、リンクトイン、スポティファイ、ビーツ[Beats]、パンドラ[Pandora]などのアグリゲーションサイトで広く使われている。こうしたレコメンド・フィルターは、私にとって主要な発見装置の一つになっている。平均的に言って、専門家や友人のお勧めよりもずっと信頼性が高いことが分かったから。元から好きだったものだけが評価されることの危険性もある。独りよがりなスパイラルに絡め取られてしまい、ほんの少し違っているけれど好きになれるかもしれないものが見えなくなってしまうのだ。それはフィルターバブルと呼ばれる。専門用語では「過剰適合」
    理想的なフィルターの二つ目は、友人たちが好きなことで私が知らないことを知らせてくれるもの、多くの点で、ツイッターとフェイスブックがこのフィルターの役割を果たしている。三番目に考えられる理想的なフィルターは、好きではないけれど好きになりたいものを示唆してくれる流れ
    〇近未来の私の1日は、いつもこんな感じで始まる ── 台所にトースターより小さな錠剤製造マシンがある。それには10ほどの小さな瓶が装備されていて、事前に処方された薬やサプリが粉状になって入っている。毎日このマシンがそれらを正しい割合で調合し、パーソナライズされた錠剤を一つ(あるいは二つ)作ってくれるのでそれを飲む。日中には私の体の各器官がウェアラブル・センサーでトラッキングされることで薬の効果が1時間ごとに計測され、クラウドに送られて分析される。翌日の薬の量は過去 24 時間のデータから調整されて、パーソナライズされた新しい錠剤が作られる。これが毎日続く。
    あなたが眠ることを放棄したとしても、注意を払える時間は1日 24 時間で、いくらお金を積んだりテクノロジーを駆使したりしてもそれ以上にはならない。つまり注意を払える最大量は決まっている。もともと限界がある一方で、他のものはすべて潤沢になっていくのだ。だからアテンションは最後の希少性であり、注意が向けられるところにお金が流れていく。
    多くの人には知られていないが、あなたがあるウェブサイトを訪れるときに、自分でも知らずにあなたがどのサイトから来たかという見えないサインをいっぱい首に巻き付けているからだ。こうしたサイン(クッキーと呼ばれる)を読むのはあなたが行き着いたウェブサイトだけでなく、ウェブ全体に食指を伸ばすグーグルのような大型プラットフォームの多くがこれを読んでいる。
    〇グーグルとニュースサイトはリアルタイムに広告を選ぶので、あなたと私の見ている広告は違うものになる。すべてのフィルターのエコシステムが機能しているなら、あなたがいま見ている広告はあなたの最近のウェブ閲覧履歴を反映しており、あなたの関心により近いものになっているはず。
    〇この世界はわれわれの本来の能力を超えているので、そのインターフェースとなってくれる自分たちのマシンに頼らなくてはならない。
    〇一般的には時間が経つにつれて、テクノロジーは押しなべて無料の方向に向かう傾向がある。それによってモノは潤沢になる。
    〇こうしたすべてのモノの(単位当たりの)コストは、特に産業革命以来ずっと下がり続けている。2002年のIMFの白書によれば、「コモディティーの価格は過去140年にわたって毎年1%下がる傾向にある」とされる。つまり、1世紀半の間にモノの値段は、ほぼ無料になってしまうということになる。
    〇限界に沿ってしかしそれを割り込むことがないという現象は、漸近線近似という。
    〇潤沢な社会において残された希少性とは、コモディティーに由来するものでも、それにフォーカスしたものでもないアテンションだ。すべてがゼロに向かっていく中で、唯一コストが増加しているのは人間の経験だ ── これはコピーできない。それ以外のものはすべて、コモディティー化しフィルターをかけられるようになる。
    〇ロボットがわれわれのいまの仕事を奪ったらいったい何が残るか知りたいなら、経験に注目するといい。
    〇現代の経済はその中心の部分で、個別化と差異化の力が働いている ── それはフィルターとテクノロジーによってさらに増強されるだろう。大規模なフィルタリングを使うことで自分が誰であるかが形作られていき、自分自身という人間をパーソナライズしていくのだ。
    〇ポール・ローマーは経済成長理論が専門のニューヨーク大学の経済学者だが、本当の持続的な経済成長は新しい資源から生まれるのではなく、すでに存在する資源を再編成することでその価値が上がり、それで達成されるのだと言う。
    〇成長はリミックスから生まれるの。
    〇安価でどこにでもある創造のためのツール(100万画素レベルのスマートフォンのカメラ、ユーチューブ・キャプチャー[YouTube Capture]、アイムービー[iMovie])は、動画を作る手間を一気に減らし、すべてのメディアにつきものだった非対称な構造をひっくり返した。非対称というのは、本は書くより読む方が簡単で、音楽は聴く方が作曲するより簡単で、演劇も観に行く方が演出するより簡単だという意味。
    〇新しい一般消費者向けガジェットやコミュニティーでのトレーニング、ネットワーク上の助言、ものすごく出来の良いソフトウェアのおかげで、動画を作ることは何かを書くのと同じぐらい簡単になった。
    〇リミックスする ── 既存の素材を再構成したり再利用したりする ── ことは、伝統的な財産や所有という概念に大混乱を起こす。
    〇われわれの法体系のほとんどはまだ農耕時代の原理原則で動いており、所有物には実体があることが前提となっている。つまりデジタル時代に追いついていないのだ。それは努力が足りないのではなく、所有することが以前ほど重要でなくなった時代に、所有がどう機能するかを明確にできていないせい。
    〇これからの 10 年で、インタラクションできるものはますます増え続けるだろう。その動きは次の三つに牽引されて
    1.より多くの
    われわれは今後作るモノに、新しいセンサーや感覚を加え続けていく
    2.親密さを
    インタラクションを行なうゾーンはより近くになる。テクノロジーは、腕時計やポケットのスマートフォンよりもさらに近くに
    3.没入感を
    最大限にインタラクションするにはテクノロジー自体の中に飛び込まなくてはならない。
    VRの世界ばかりか、日常生活もゲーム化できるのに。
    〇TRACKING      
    われわれにとって自分とははっきりしない存在であり、自分が何者であるかを解き明かすにはあらゆる助けがいる。現代ではそのうちの一つに 自己測定がある。温度計や心拍計、 動作追跡、脳波検出など数百もある医療用の複雑な計測装置が、デジタル化の魔法によってこのページの単語ほどのサイズに小さくなっている。この文の終わりにある句点ほどの大きさしかないものもある。そうした顕微鏡サイズの測定装置が腕時計、服、メガネ、電話などに挿入され、あるいは安価になって部屋や車、オフィス、公共のさまざまな場所に広がっていく。医学における正常とは、架空の平均値のことなのだ。あなたと私の正常値はお互いに違う。平均値としての正常値はあなた個人には当てはまらないかもしれない。
    一方で長期間セルフ・トラッキングを行なえば、ごく個人的な基準値、つまりあなたの正常値に行き着き、これは具合が悪いときや検査をしたいときにとても価値のあるものになる。
    〇大規模な被験者を対象にしたかつての有名ないくつかの研究結果からは、薬は効くと信じるだけで実際に効果を発揮することが知られている。その現象をプラシーボ効果という。
    われわれの生物学的な記憶にはむらがあるので、それを補うどんなものでも大いに意味がある。
    身体の生体測定値の常時モニター:もし血糖値をリアルタイムで常時モニターできたら、人々の健康はどれだけ変わるだろう
    〇あなたが会った人、会話した内容、訪れた場所、参加したイベントのインタラクティブで拡張された記憶、あなたがこれまでに行なったこと、書いたり言ったりしたことすべての受動的で完璧な記録、あなた自身の人生を整理し、形作り、 読む本、インターネットが持つこの傾向を受け入れ、容易にコピーできない価値(パーソナライズ、実体化、本物であること)を追い求める人々は成功していくだろうが、コピーしたいというネットの欲求を否定したり禁止したりして阻止しようとする人たちは、取り残されていく。消費者は当然ながら、自分たちの利便性のために手当たり次第にマシンにコピーさせる。
    〇もし友人や機関に対してプライバシーを保ち不透明な存在でありたいなら、自分という固有の条件は無視され、通り一遍の扱いを受けることを容認しなくてはならない。そうすれば、私は一般人のままである。
    〇匿名性も同じだ。あるかどうか分からないほど微量ならば良いものだし、システムにとって欠かせない要素になる。匿名性のおかげでときには告発者が出てきても、過激派として迫害されたり政治的に追放されたりしないよう保護できる。しかし匿名性がかなり目立つ量になると、システムが毒される。匿名性は英雄を保護することもあるが、はるかに一般的なのは、責任逃れのために使われることだ。そのために、ツイッターやイックヤック[Yik Yak]、レディットなどのサイトで行なわれるイジメの大半で匿名が使われる。責任の不在は最悪の事態を招くのだ。匿名性は完全になくしてはいけないし、それは可能な限りゼロの状態に近づけるべきなのだ。
    〇人間や知識の本質について私が信じていたことの多くは、ウィキペディアによってひっくり返された。本書ではいくつかの理由から、そうした負の側面をあまり取り上げないことにした。その一つは、初期の意図に反して何らかの形で被害を及ぼさない発明というものはないからである。多分われわれは、ウェブをうろついている間、集合的な無意識の中に入り込んでいるのだ。きっと、個々にクリックするものは違っても、このクリックが誘う夢はわれわれ全員が同じ夢を見るための方法なのだ。
    〇自分の無知のなすがままになるよりも、私はまず行動する。すぐに動きだす。見て、調べ、訊いて、質問し、反論し、飛び込んで、メモを作り、ブックマークしてといった具合に、ともかく自分なりに始めるのだ。待つことはないし、待つ必要もない。アイデアがあったら考えるよりもまず行動するのだ。
    〇映画監督はシリーズ物のホームドラマではなく、何年もかかるような壮大で延々と続く物語を製作し始めている。『ロスト』、『GALACTICA/ギャラクティカ』、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』、『ダウントン・アビー』、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』といった長編大作は、複数のプロットが絡み合い、複数の主人公がいて、人物描写は信じられないほど深く、洗練された作品となっていて、これまでのテレビ番組や 90 分映画ばかりでなく、ディケンズのような往年の作家でさえショックを受けるほどに注意を持続していかなくてはならない。
    〇エレクトロニクス業界の専門家は、5年以内に 10 億のウェアラブル装置がわれわれの活動をトラッキングし、そのデータを流すようになると考えている。
    〇新しい領域では、中央集権的な権威や画一性といった古い文化は縮小し、本書で書いたようにシェアし、アクセスし、トラッキングするという新しい文化的な力が、さまざまな組織や個人の生活を支配するようになる。この新しい局面が形になるにつれ、そうした力はますます強力になる。
    〇シンギュラリティーは物理学の用語で、そこから先は未知のフロンティアが広がるその境界を指す言葉である。

  • ムダにページが長すぎる気はしましたが、今は「そんなの無理だよ」と思っているような事の大半が実は無理では無くて、誰かが一人でも出来ると真剣に思って取り組んだら大抵の事はいつかは実現出来る(ただしその最初の一人目が実現出来るとは限らない)という事がよく分かるお話でした☆余りこの人が描く未来が僕にとって魅力的には映りませんでしたが(笑)、今アメリカで流行っているIT関連のサービスやこれから出来るであろうサービスがたくさん紹介されているので、IT関連で一旗あげてやろうと思っている人にとってはいろいろとヒントになるところもあると思います。

    僕個人としては、FILTERINGの章が一番面白かったかな~☆本著では過剰適合として表現されていたけど、勾配法のようなOptimizerでフィルタリングしてしまうと今の自分にとって心地良いものだけを最良のものだと判断してしまうので、まずは大域的最適化で粗く絞り込んだ上で局所的最適化をしてくれるようなOptimizer(しかも選ばれる最適解はただ一つでは無く様々な価値観に応じて選べる多様な解)を導入する事で今よりより優れたフィルタリングが出来るような気がしました♪
     ※今でも既にそうなってるかもですが^^;

  • 訳文が読みやすい。頁数は多く読み切る自信がなかったが読みやすいので放棄することはなかった。
    内容はインターネットをめぐる30年を振り返って,次に起きそうなことを想像するもの。インターネットによって有り得ないと思っていたことが現実になっている事実。半導体,電池,センサーの小型軽量化と安価になることでIOTが加速した世界で何が起きるかを予想する。2016年発売だが,この時点で2021年の今起きていることを予想できている。つまり,変化は突然起きるわけでない。今,まさに起きていて何かのタイミングでガラッと変わるように見えるだけ。楽観的に語られているが,当然悲しい出来事も起きることは述べている。それでも,大きな流れは止められない。500年後1000年後の人類が今の時代をどう見るか,それは今を生きる私が室町時代末期や平安時代末期を見るようなもの。人が生きていることには変わりない。生活の仕方が変わっているのだろう。いや,生まれて死ぬが繰り返されることも変わっているかもしれない。その領域まで人類は手を伸ばすのか。医学の進歩は実際,さまざまな病気や障害を克服してきている。ないはなしではない。

  • ■この本の紹介文

    ■本を読むことになったきっかけ

    ■本の要点
     1.箇条書きにしてみる
     2.因果関係の矢印→、対立関係の矢印⇔、等号=、不等号<などを書き入れる
     3.図にしてみる
     4.イラストを書いてみる
     5.大事な部分に線を引いたり、マーカーを引いてみたりする

    ■感想、意見

    ■本の中で気になった言葉

    ■ひとことまとめ

    ■目次

  • この類の本にしてはあまりに文字がぎっしり過ぎて、読む気が起きなかった;
    BOOKOFF宅本便で売った。

  • すべてのコモディティーがゼロに向かってゆく中で、唯一コストが増加しているのは人間の経験だーーーこれはコピーできない。

  • <blockquote>本書『『<インターネット>の次に来るもの』は、未来を決める12の法則についてまとめた一冊である。過去、現在、未来へと移り変わるテクノロジーの変化を進化論のように観察していくと、一定の法則性が見つかるのだ。

    不可避というキーワードが全編を貫いていることからも分かるように、著者ケヴィン・ケリーのテクノロジーに対する態度はどこか受け身であり、それでいてポジティブだ。それは前著『テクニウム』でテクノロジーそのものに進化する力を見出したことを、愚直なまでに受け継いでいる。人が天候や災害といった自然環境の変化を受け入れるしかないものと観念しながらも、自然を心から愛し続けることに通じる点があるだろう。

    そして本書では、テクノロジーの変化一つ一つを追いながら、あらゆる角度から人間の本質的なものへと迫っていく。たとえば、Filtering(選別していく)。フィルタリングの必要性が高まり続ける背景には、際限がないくらいのモノの低廉化という現象がある。安価なものに溢れかえったこの時代に、唯一コストを増加させているのが人間の経験であることは言うまでもない。ゆえに経験の価値は、飛躍的に向上しているのだ。

    しかし、同時にInteracting(相互作用)という変化も起こっていることが、未来をもっと複雑化させる。インタラクションによって急速に進化するVRが安価で潤沢になっていくと、VR自体が「経験」の生産工場へなっていくのだ。さらに、画像や音楽がその道を辿ってきたように「経験」自体が発見可能性や巻き戻り可能性という特性を帯び(Remixing)、定量化された自己が確立されていく(Tracking)。
    つまり、テクノロジーの進化がもたらした人間の変化を、もう一度テクノロジー側が吸収することにより、さらに人間のあり方へ変化を加えていく。まさに、テクノロジーと人間の共進化という構図が浮かびあがってくるのだ。

    また、これら一つ一つの動詞を前後につなぎ合わせて見ていくだけでなく、現在起きている様々な事象を組み合わせとして捉えることも可能だ。本書の12個の法則の一つ一つは、イコライザーについたレバーのようなものであり、その設定次第で、私達の未来はどこまでも大きく変化する。</blockquote>

  • 紙の本で400ページを超える一冊をkindleで読了。

    AIをはじめとした現在のテクノロジーの潮流を12の“動詞”に分け、それぞれから、今後の社会がどうなってゆくかを予測してゆく。そして、著者も断っているように、本書ではテクノロジーの進化をポジティブに受け止めており、その予測は極めて楽観的だ。
    多分、本書だけなら未来への期待でいっぱいになり、明るく読み終えることができたのかもしれないが、偶然にもワタシはピーター・ティールの『ゼロ・トゥ・ワン』と並行して読んでしまった。それ故、本書で描かれている明るい未来が、ティールが同書で手厳しく批判している“曖昧な楽観主義”に相当するのではないかと、それが気になって仕方がなかった。(これを書いている時点では、『ゼロ・トゥ・ワン』はまだ読み終えていないが)

    “曖昧な楽観主義”が米国を育ててきたのは事実であるし、『インターネットの…』が売れたということは、その楽観主義がこの現代においてもかなりの支持を得ているということの証左だろう。実際、曖昧であろうと明確であろうと、将来に関して楽観的であることは、人間を動かす原動力のひとつだ。だから、ワタシは本書のスタンスは受け入れられる。
    また、ティールが指摘しているのはゼロからイチを作り出すことであって、一方『インターネットの…』が取るスタンスは、少し乱暴ではあるが、既に起きていることの進化から始めており、スタート地点はゼロではなく、ゼロより大きく、イチより小さいどこか。そこから作り出されるものが爆発的にあるだろうというものなので、両者を頭の中で比較してしまったワタシが拙速に過ぎたということだけなのかもしれない。

    両書のスタンスを整理し、折り合いをつけながら本書を読んだことで、図らずも一粒で二度美味しいという読後感を得るに至った。
    実は、紙の本で買った後にkindle版があることを知り、同版も買ってそちらを読んだのだが、この読後感で2冊の元は取ったと自分を納得させることができたことを追記しておこう。

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著者プロフィール

現在は雑誌「Wired」の「上級一匹狼」という役職についている。1993年にWiredを共同で設立し、その創刊から1999年まで編集長を務めた。最近の著書としては、バイキング/ペンギン社から“What Technology Wants”という本を2010年10月18日に出版した。また、毎月50万人のユニークビジター(重複を除外した利用者数)があるウェブサイト「Cool Tools」の編集者兼発行人でもある。1984年から1990年まで非正統的技術情報の専門誌「Whole Earth Review」の発行人兼編集者だった。今も続くハッカーズ・カンファレンスの共同創設者であり、また、1985年に始まった先駆的なオンラインサービス 「WELL」 の設立に関与した。ベストセラーとなった書籍“New Rules for the New Economy”(邦訳『ニューエコノミー勝者の条件―ウィナー・テイク・オール時代のマーケティング10則』1999年、ダイヤモンド社)、分散化した創発的システムに関する古典的作品“Out of Control”(邦訳『「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則』1999年、アスキー)などの著書がある。
※ケヴィン・ケリーのブログ(http://www.kk.org/biography.php)で公開されているプロフィールを堺屋七左衛門が翻訳

「2012年 『ケヴィン・ケリー著作選集 1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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