未来国家ブータン (集英社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 集英社
3.95
  • (3)
  • (13)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 96
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (309ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブータンは「周回遅れのトップランナー」と皮肉めいて表現されることがあるそうだが、実際にブータン各地で取材した作者は、決して遅れている文明ではなく、むしろ伝統文化と西欧文化が上手く融合した高度な人工的な国家でありディズニーランドみたいだと表現している。国のトップが代々カリスマである上に、その意志がインフォームドコンセント的に上手く国民に伝っているそうだ。ブータンの人口は八王子市くらいらしいので、そこまで行き届いているのは、規模によるところもあると思うが、日本や他の世界の国が同じようになることは難しいのではと述べられている。「私たちがそうなったかもしれない未来」を作者とともに思い切なくなった。

  • おもしろいな〜〜〜
    ブータン自体ももちろんおもしろい国なんだけどとにかく文章がいい。
    ソマリランドに比べてかなり読みやすかったので一瞬で読んでしまった、まだまだ読むぞ!

  • ブータンの歴史と仏教にまつわるブータンの幸福度の源が垣間見える一冊。しかしその仏教が日本と同じく屠殺民への差別を産んでしまったことが非常に興味深い。ダライラマの発した持続可能な環境対策を結果的にブータンが実践していることなど環境立国としてのブータンの様子を紐解いていく様も面白い。しかし、現在ではインターネット普及後のブータンの幸福度は下がっているようで、他人と自分を比べることの危うさは普遍的なものなのかもしれない。

  • ふと、明石家さんまの唄った「しあわせぇ~って、なんだぁっけぇ~」というフレーズを思い起こした。

  • 面白いです。
    筆者の訪問ドタバタ感もよく表れています。
    世界で最も幸福な国、ブータン。
    その理由が、雪男を探しにでる先々での経験から徐々に明らかになってきます。
    敬虔な仏教徒、チベットは嫌いだけど、ダライ・ラマを崇拝している。別に構わない。

    日本はブータンよりもいろんな面で遅れているが、日本が進んだところでそのようにはならないだろう。日本はもう例えば明治維新の頃には戻れない。どっちが進んでいるのか、遅れているのかわからなくなってくる。

  • 2019/3/26 Amazonよりkindle日替わりセールにて601円を299円でDL購入。
    2023/11/4〜11/8

    バイオベンチャーをやっている友人に頼まれてブータン行きを決意した高野氏。雪男の足跡を追い求め、ブータンの伝統や人を探索する。相変わらずのバイタリティに脱帽。

  • ブータン行ってみたい!早くから生物や環境を大切にする国を確立するシステムをつくっていたことも知らなかった。国王やエリートの謙虚な姿勢にも驚いた。閉じられた国であったブータン。国民の自発性を尊重しつつ指導し、補完するシステムの「自由」があるようでない感じが、不思議だった。


    印象的だったあとがきから、

    国家というのは「ある」のではなく「つくられる」ものなのだ。国家は目に見えない。国境に行っても線が引かれているわけではない。でも実在する。住民の心の隙間にひたひたと浸透していく。ときに人の心に取り憑く。

    他国の国のあり方を見ることで、改めて考えるきっかけを持った。ブータン、面白い国だ。
    2017.12読了

  •  幸せの国として有名なブータン。しかしながら、この本を読むと近年まで鎖国していたこともあり、なかなかになかなか。よくあるアジアの成長とは異なるところに驚く。
     幸福を測る正確な物差しはないし、それが正しいかはおいておくとして、未来が明るい、明るい未来を築こうという国の姿勢がまぶしい。

     幸せとは何だろうか。自分で切り開くものではなくて、占いで出たから、その道を歩むという自由さの中に幸せがあるという観点に驚いた。

  • 発展途上国なんだけど、実は結構先進的な部分もある国がブータンという印象。他の発展途上国とはだいぶ趣の異なる国。何より国王が非常に現場主義で優秀。80万人という小国であることも手伝って、国の隅々まで水戸黄門のように歩き回り、国民の意見を聞いて回るというのも素晴らしい。彼のお父さんから全く違う国家になったというから、2代続いた明君が、ブータンという特殊な国を形作っていると言えるだろう。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

高野秀行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×