よろこびのうた (イブニングコミックス) [Kindle]

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  •  F県の古い火葬場から2体の白骨死体が発見された。近くに住む高齢夫婦のもので、知人らに宛てた手紙や遺書などもあり、老々介護を悲観した覚悟の上の自殺とされた。
     それから半年。雑誌記者の伊能はこの事件の取材に当たるが、満足な情報は得られない。強硬に取材を拒む親族の男性、伊能の見つけた不審なタイヤ痕……老夫婦の自殺の理由は介護疲れだけなのだろうか?


     介護漫画ではない。ついでに、社会派な漫画でもない。そういう方面を期待して読んではいけない。

     実際にあった事件をモチーフにした漫画だそうで。半分がた創作が入っている。
     一見穏やかな表紙とは裏腹な、うわァ~!な内容。いやまあ、焼身自殺っていう時点でかなりキツいんだけども。
     勘の良い人なら、何があったのかは回想シーンに入る前に見当がついてしまうかも?

     作中で関係者のこぼした『運が悪かった』という言葉はその通りで、しかし、それで片付けてしまって良いのかというと、う~ん。私は、片付けてしまってもどうってことない派だけど、片付けちゃった結果が焼身、だからねえ……。病院できちんとケアを受けてほしかった。

     それなりに丸く収まってはいるが、実は救いの無い話のような気もする。1人だけ、救われたようにも見える人物はいるが、今は良くても後々どうなのか……?

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  • ちょっと前に話題になってたやつ。読んでみたけど、あぁもぅいい話ね、って思っちゃった(小並感)
    「ああ!」「神様!!」

  • 老老介護に疲れた夫婦の無理心中で処理された事件を取材するため、限界集落にとんだ記者が見たものとは。

    誰かが言っているが、たしかにファンタジーでありフィクションである。本人、または身近に介護者や被介護者がいる者が汚い面を全く描いてない、美化していると憤慨するのも理解はできるが、この作者と作品に関しては描きたいテーマにふさわしい見せ方を選択したのだと感じた。
    書きたいテーマとは何かだが、個人的には「イノセントな夫婦愛」だと感じた。
    救い難く悲惨な現実、陰惨で猟奇的な事件など、いくらでも露悪的にグロテスクに描けるし、現にその手のフィクションは巷にあふれている。
    辛い現実に必ず救済が用意されてる訳ではないと、むしろそんなのは一握りの幸運な特例だと、テレビやインターネットの連日の報道で私たちはもう知っている。この作品は、ただ光をあてる場所が違うだけだ。
    どんなに惨い結末をむかえたとしても、そこに至るまでの道のり全てが哀しみや苦しみだけで埋め尽くされていたとは思わない。

    表紙には手を握り合い幸せそうに目を閉じた老夫婦。
    死んでいるのか眠っているのか、その表情は満ち足りて安らかだ。
    だがこれは火葬場の中で、夫婦は今から生きながら燃やされようとしている。

    フィクションだ。あたりまえだ。ファンタジーだ。それはそうだ。でも誰も何も悪くない。

    赤星のみ例外だが、本書の登場人物が誰かが誰かの為に行動した。
    誰かを守り庇い助ける為の行為が必ずしもハッピーエンドに繋がる訳ではなく、回り回って人を呵責し、死に至らしめる事もある。

    老老介護、過疎化した限界集落、DV、虐待、終活。
    キーワードだけ並べるとなんとも殺伐とした印象を受けるが、実際の描写はシンプルな絵柄も相まって淡々としている。
    夫婦が選択した終わり方は過激だが、私には二人が不幸だとは思えなかった。
    火葬場の中で交わされた最期の会話、「神様!」という妻の心の叫びは、空の上の神様に向けたのではなく、彼女にとっての神様……最期の最期まで彼女を愛し包み労り思いやり、共に添い遂げんとした最愛の夫に向けたものだと私は思った。

    個人的に物足りない点を挙げれば、よそ者の傍観者に徹した記者の存在感。
    集落の内側の話を書く為には仕方ない役どころだったのかもしれないが、彼が地道な取材を重ね関係者を洗い、断片を再構成して真相へと至るミステリー的な構成を思い浮かべていたので、受動的・一方的に語り聞かせられる立場に終わってしまったのが少し残念だった。

  • 福井火葬場心中事件をモチーフにした漫画。ベースは本当にあった事件ではあるが、そこの真相に至るまでの経緯に創作が加味されており、ミステリー仕立てに展開していくので、そこをどう評価するかによってこの作品の存在する意味が問われるだろう。
    自分の場合は綺麗事にも映ったが、何かを思い、何かの為に、そして、その為にその思いを遂げる美しさというものの儚さ、尊さを思う。

  • 老老介護─心中という2つの点を結ぶ線が、それはそれは美しい。哀しいけれど、子のいない夫婦の理想形。かも。「結婚は人生の墓場」、墓場への道すがらに読んでおいてよかった。
    老人と田舎町にそぐわないような、しゃれた線のイラストのような画。遠近のコントラストが同情にはしりそうなところを冷静に引戻してくれた。このマンガ、セリフをいっさい排除しても読み手に届くのではないかな。セリフなしバージョン、ほしいかも!自分でセリフをつむいでみたい、と思わせる稀有な一冊。

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