はなとゆめ (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 清少納言と中宮定子という2人の同志が悲劇の中でも美しいものや楽しいもの、愛おしいものを拾いながら前向きに生き抜いた人生を綴った小説。藤原道長相手に立派に戦い抜き、彼が成し得なかったことを成し遂げた定子と、彼女を生前も死後も支え続けた清少納言の物語。怒涛のラストはこれまでの出来事が走馬灯のように脳裏に浮かんできて胸が熱くなった。この小説を読んだ後に枕草子を読むと捉え方が激変する。解説も学びが多いので最後まで読むべき。

  • 『枕草子』の作者である清少納言を主人公に、仕えた中宮定子への想いと『枕草子』執筆に至る背景を、『枕草子』を書き終えた清少納言の視点で綴った歴史小説。巷で言われる紫式部との確執など全く触れず(あれは紫式部が仕掛けてるんだっけか?)、淡々とそれでいて強い清少納言の気持ちが読み取れる。ただ、どうにも自慢げというか周りを馬鹿にするというか、後に作られたのかもしれない清少納言のイメージが頭から離れず、どこか一歩引いてしか読めなかった。げに人伝てで作られた像の強いこと。

  • 「光る君へ」に備えての予習も兼ねて。
    清少納言って「せいしょう・なごん」じゃなくて「せい・しょうなごん」なんですね、というレベルだし、百人一首も一つも空で言えないレベルでも楽しめた。

    枕草子がどういう背景で作成されたのか、どれだけ斬新な取り組みだったのかが分かった。

  • 朝顔の和歌から、華を失うことを惜しむのではなく、華に触れたことを大切にしていく清少納言の生き様が書かれている。

    定子と清少納言の関係はかくあったろうと思わせる筆致であった。

    振り返るという性質上、華を失った時点からの華を振り返ることで、暗い表現が途中で何度か書かれていて、ちょっと気になった。

  • これは、やはり普段触れられない、世界の華やかさ
    流麗さのようなものを魅せてもらったので4星
    やはり天皇家とそれを取り巻く世界は
    ドロドロな政争見たいのもあるし、
    ひたすら美しいものに触れ、それを歌として表現する
    という高度に洗練された美や愉しさの追求、という面もある
    とてもをかし?だね

  • 『天地明察』『光圀伝』といった話題作を発表し、人気作家となった冲方丁。

    『天地明察』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4041002923
    『光圀伝』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4041020492

    自分もこの作家さんの作品をチェックしている、読者のひとりです。
    書店巡りをしていたら、この長編作品が文庫化され平積みされていたので、電子書籍版を探して、読んでみることにしました。

    本作の主人公は、『枕草子』を書き残した清少納言。
    一条帝の妃、定子の女房として仕えた日々を、清少納言が回想する一人称で、書き綴っています。

    恥ずかしながら、『枕草子』は現代語訳を読んだことがなく、平安時代に清少納言によって書かれたこと、当時の宮廷での生活について現代で言う随筆風に書かれた作品であること、というレベルの認識しか持ち合わせていませんでした。
    なのでどこまでが『枕草子』に書かれていることで、どこからが他の資料を踏まえた本作のオリジナルの部分なのかは、わからないまま読み進めました。

    初歩的な部分で驚いたのが、清少納言が活躍していた時代というのが、藤原道長という、この時代に栄華を極めた人物の隆盛期と、重なっているのだということ。
    全編を通じて、道長を中心とした権力抗争が描かれているので、この人物がなぜ、どのように、朝廷で重要な地位を得ることが出来たかということを、具体的なイメージを持って理解することが出来ました。

    そしてこの小説の題名にもなっている、「はな」。
    漢字では「花」、とも「華」とも表されていますが、この概念が小説のテーマとして繰り返し提示されているので、平安王朝という時代の空気や、政治を動かしていた価値観といったものを、感じ取ることができました。

    従来の現代語訳を読み込んできた人にとっては、注文をつけたくなる部分はあるのかもしれません。
    でも、予備知識のない自分にとっては、この時代の雰囲気を味わう入口として、楽しめる作品でした。

    『偶然を生きる』冲方丁
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B01CJ50BSY
    .

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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