海よりもまだ深く [DVD]

監督 : 是枝裕和 
出演 : 阿部寛  真木よう子  小林聡美  リリー・フランキー  池松壮亮  吉澤太陽 
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569648037

感想・レビュー・書評

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  • 笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。
    15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。
    元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。
    そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。
    ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。
    こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まる。
    今回は、阿部寛演じる良多のたまに母のアパートに行っては金目の物をくすねて質に入れたり、ギャンブルにハマっていたり、小説家の夢と別れた奥さんに未練たらたらのダメ男ぶりがチャーミングだし、息子への養育費を支払うために探偵の浮気調査のターゲットから口止め料もらうなどのピカレスクな要素もあり、阿部寛と樹木希林や真木よう子や小林聡美の皮肉混じりのユーモラスな掛け合いがクスリとさせられるコミカルな味付けが強調されている。
    ラストの台風の夜に久しぶりに家族の一時を過ごす良多と元妻の響子と息子の信吾が想いを分かち合う時間の後の良多や響子の決断が、一歩前に進めたような仄かな光りが見えて、上手く人生を渡れない大人の背中をそっと押してくれる温もりが映画の中に流れていて沁みるじんわりする後味。「誰かの過去になる勇気を持つのが、大人の男」「愛だけじゃ生きていけないのよ、大人は」「なんで男は今を愛せないんだろう」「幸せってのはね、何かを諦めなきゃ掴めない」などの大人が共感する名セリフの数々、落語の人情噺のようなじんわりほっこりする傑作ヒューマンコメディ映画です。

  • “『海街diary』などの是枝裕和監督が、『奇跡』以来の阿部寛と樹木希林とのタッグで、なかなか大人になれない男の姿を描く感動のホームドラマ。小説家になる夢を諦め切れないまま探偵事務所で働く男が、たまたま実家に集まった母、元妻、息子と台風の一夜を過ごすさまを映す。阿部と樹木のほか真木よう子や小林聡美、リリー・フランキーらが共演。思っていた未来とは少し違う現実を生きる家族の姿が印象的につづられる。
    15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多(阿部寛)は、「小説のための取材」と理由を付けて探偵事務所で働いている。良多は離婚した元妻の響子(真木よう子)への思いを捨てきれず、響子に新しく恋人ができたことにぼうぜんとしていた。良多、響子、息子の真悟(吉澤太陽)は、良多の母・淑子(樹木希林)の家に偶然集まったある日、台風の一夜を皆で過ごすことになり……。”

    特に何かが起こるわけではないのだけど、結構好き。
    樹木希林が良いです。

  • 今まで見た是枝作品の中では一番良かったか。売れない小説家の阿部寛がクズすぎるのですが、そんな彼も見捨てない、優しい眼差しがこの映画にはありますね。台風で帰れなくなった前妻と息子との一夜のふれあいには、なんとも心がなごみました。またそこに絡んでくる樹木希林の芝居が素晴らしくて、どうしたらこんな自然なセリフ回しができるんだろうと感嘆します。

    あと名言連発の脚本もすごいです。「誰かの過去になる勇気を持つのが男」とか「女の恋愛は、水彩画ではなくて油絵」とか、「なんだこの名言は!」とのけぞるばかりですが、こういう名言を自然な形で物語に溶け込ませる手腕が見事。

  • 淡々とした映画だけど とても良かった。
    樹木希林って やはり存在感あるわ〜言葉に重みがあり
    何気なく言ってても説得力あります。阿部寛もいい味だしてましたね、何だか人間臭くって分かるなぁって素直に感じられる映画だった 息子を想う親やおばあちゃんの気持ち 子供の素直な感情 「何かを諦めなければ幸せを掴めない」何もせずに幸せは向こうからやってこない…現在の自分から 一歩前にて進むこと
    日常の中で見え隠れする本当の事が 懐かしい気持ちとともに静かに語られてる感じが 良かったです

  • 樹木希林の言葉が心に残る。
    海より深く人を愛せたら・・・、でもそれが幸せかはわからない。
    でもそんな人生は素晴らしいと思ってしまう。

  • 坂元裕二さんが是枝監督の中で一番好きと言ってたから、観た。

    ダメ人間っぷりが半端なくて、そういう主人公苦手なので、感動には至らず。
    ディテールのリアルさはすごく優れていて、白けさせない感じはすごかった。

  • 河瀬監督の「あん」でもそうだが、樹木希林がいい。
    彼女と阿部寛のラジオから流れるテレサテンの「別れの予感」を背景にした会話シーンは白眉。
    「なんで男は今を愛せないのかねぇ。いつまでも
    無くしたものを追いかけたり、敵わない夢みたり、
    そんなことしてたら毎日楽しくないでしょう」

  • 阿部寛さんはダメ人間の方が似合いますね。
    演じやすいんですかね。
    真木よう子さんは機嫌の悪い役しかこないですね。

    総じて好みでしたが、これよりもいいのはたくさんありますね。

  • きっといい作品なんだろうな。

  • 是枝裕和監督作品.これは好きでない.自分に老いを突きつけられる感じ.

  • 先日、BSフジで放映していた『海よりもまだ深く /2016』を観ました。

    -----story-------------
    『そして父になる』 『海街diary』の「是枝裕和監督」が、夢ばかり追い続けて妻子にも愛想を尽かされた甲斐性なしのダメ男を主人公に贈るコメディ・ドラマ。
    冴えない人生を送る男が、ひょんなことから年老いた母の家で、別れた妻子と一晩を過ごす中で織りなすほろ苦くも心沁み入る人間模様をユーモラスなタッチで綴る。
    主演は『歩いても 歩いても』 『奇跡』 『ゴーイング マイ ホーム』に続いて4度目の「是枝」作品出演となる「阿部寛」。
    共演に「真木よう子」、「小林聡美」、「樹木希林」。

    自称作家の中年男「篠田良多」。
    15年前に新人賞を受賞したものの、その後は鳴かず飛ばず。
    ギャンブル好きで、今は“小説のための取材”と称して探偵事務所で働く日々。
    当然のように妻の「響子」には愛想を尽かされ、一人息子の「真悟」を連れて家を出て行かれてしまった。
    その「真悟」との月に1度の面会が何よりの楽しみでありながら、肝心の養育費はまともに払えず、おまけに「響子」にも未練タラタラで、彼女に恋人ができたと知り、本気で落ち込んでしまう始末。
    そんな甲斐性なしの「良多」にとって頼みの綱といえるのが母の「淑子」。
    夫に先立たれ、団地で気楽なひとり暮らしをしている彼女の懐を秘かに当てにしていた。
    そんなある日、「真悟」との面会の日を「淑子」の家で過ごす「良多」。
    やがて「真悟」を迎えに「響子」もやって来るが、折からの台風で3人とも足止めを食らう。
    こうして図らずも一つ屋根の下で、一晩を過ごすハメになる“元家族”だったが…。
    -----------------------

    「是枝裕和監督」お得意の家族を巡る物語… 社会に適応できず、ちょっとだけドロップアウトした人間の描き方、こんなはずじゃなかったのに と後悔しながら生きる人間の描き方が絶妙なんですよねー

    家族の距離感、特に親世代となった息子や娘、そして祖母世代となった母親の距離感… よそよそしさと親しさが同居した微妙な距離感の会話や、生活臭が感じられるような生活空間の描き方がホントに巧くて、ぐいぐいぐいっと、物語の中に引き込まれましたね。

    15年前に文学賞を1度受賞している自称作家で、今は探偵事務所に勤めている「良多」… この状態を周囲にも自分にも「小説のための取材」と、言い訳をし続けていた、、、

    良多は離婚した元妻の「響子」には愛想をつかされ、一人息子の「真悟」の養育費も満足に払えない… そして、「響子」に恋人ができたことにショックを受けていた。

    そんなある日、たまたま良多の母「淑子」の家に、「良多」、「響子」、「真悟」が集まるが、台風のため翌朝まで帰れなくなってしまった… こうして偶然集まった“元家族”が、一夜限りの家族の時間を過ごし始める。
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    家族であって家族ではない… 微妙な人間関係、機微がにじみ出ていて、何とも言えない魅力のある作品でした、、、

    自分たちの世代にとって共感できる部分、自分の人生とシンクロする部分があり、他人事とは思えず、ついつい感情移入しながら観ちゃいました… 「阿部寛」、「真木よう子」、「樹木希林」が、ホントに巧いわ。

    -----staff/cast-------------
    監督:是枝裕和
    製作:石原隆
       川城和実
       藤原次彦
       依田巽
    エグゼクティブプロデューサー:桑田靖
                   濱田健二
                   中江康人
                   松下剛
    プロデューサー:松崎薫
            代情明彦
            田口聖
    アソシエイトプロデューサー:大澤恵
    原案:是枝裕和
    脚本:是枝裕和
    撮影:山崎裕
    美術:三ツ松けいこ
    衣裳:黒澤和子
    編集:是枝裕和
    キャスティング:田端利江
    音響効果:岡瀬晶彦
    音楽:ハナレグミ
    主題歌:ハナレグミ
         『深呼吸』
    照明:尾下栄治
    録音:弦巻裕
    装飾:松葉明子
    ヘアメイク:酒井夢月
    スクリプター:矢野千鳥
    助監督:兼重淳
        遠藤薫
    出演:
     阿部寛 篠田良多
     真木よう子 白石響子
     小林聡美 中島千奈津
     リリー・フランキー 山辺康一郎
     池松壮亮 町田健斗
     吉澤太陽 白石真悟
     中村ゆり
     高橋和也
     小澤征悦
     峯村リエ
     松岡依都美
     古舘寛治
     黒田大輔
     葉山奨之
     立石涼子
     ミッキー・カーチス
     池田道枝
     東山明美
     中村まこと
     今本洋子
     福井裕子
     蒔田彩珠
     橋爪功 仁井田満
     樹木希林 篠田淑子

  • ストーリーがいかにも阿部寛向けで、ステレオタイプの展開に細々とそれらしいエピソードで進む。

  • 樹木希林が観たくて観たけど、退屈だったな。

  • 是枝節が炸裂しまくる、良質な『日本映画』です。派手な演出やストーリーはありませんので、退屈と思う方も一定数いる作品だと思います。
    登場人物それぞれの「愛”への”目線」の違いや重さが、静かなストーリーとの中で強いコントラストを生み出していて、誰の心情にも共感できます。個人的には池松壮亮の”目線”がとても好きでした。ふとした表情の演技1つ1つにグッときました。
    主要メンバの演技がすご過ぎて、脚本なのかアドリブなのか、その場で組み替えられたのか、ただ単に自然なだけなのか、区別がつかないほどで楽しめました。

  • いいねぇ希林さん。もうたまんないね。
    小林聡美とのやり取りなんて特に。
    これ一億組の母娘がやってるよ〜って感じの何気なさ

  • 海よりもまだ深い・・・
    最後あたりのシーンに深く感じるところがあります。
    それぞれの愛ってやつは,いつも深いです。

  • 樹木希林さん
    凄いな。
    母がふと、息子にみせる
    表情や仕草
    あれ、きっとアドリブが
    たくさん出てたと思うな。


  • 主人公は、15年前に一度だけ賞を取って以来、
    ずっと売れない日々が続いている小説家。
    妻とも離婚し、息子とも1ヶ月に一度だけ
    会っているものの、養育費もまともに払えない。

    小さい時は勉強もできて、習い事で賞も取って、
    周りの大人達からもよく褒められたけど、
    会社員となった今、そんなことは全然関係なくて、
    会社の先輩に要領が悪いと呆れられる毎日。

    そんな自分と主人公が少し重なって、
    ダメな奴だなと思う反面、共感もあって、
    樹木希林演じる母の偉大さと安心感に納得して
    自分の母親のことを思わずにはいられなかった。

    今の情報社会、凄い才能を持った人が
    表に沢山出てくるようになったけれど、
    その反面、才能が実らない主人公のような人間が
    浮き彫りになってしまっているのも事実だと思う。

    でも、ラストシーンの主人公、元妻、息子の
    3人の姿は素敵だなと思ったし、
    夢が現実にならなくても、好きな人をできる限り
    大切にして、小さな幸せを見つけて生きていければ
    それでいいのかもしれない。

  • 監督と出演者の見せ所満載の映画。やっぱり樹木希林さんは素敵だなぁ。

  • 純文学の賞をとった作家がそれだけでは食べていけず、興信所で働いている。リサーチと言いながら、世界と不安定につながっている。彼にかかわるのは団地に独りで住む母親、実姉、離婚した妻、息子、興信所の後輩、社長、質屋の店主、雑誌の編集者とわりと限られている。何かとても大きな出来事はないけれど、生きているのは大変やなぁと思う。台風のあと、みんなで歩いて帰っていくところに新しい家族の形が見えて好きでした。

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著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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