土漠の花 (幻冬舎文庫) [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • 『ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、壮絶な撤退戦の幕があがった。圧倒的な数的不利。武器も、土地鑑もない。通信手段も皆無。自然の猛威も牙を剥く。最悪の状況のなか、仲間内での疑心暗鬼まで湧き起こる。なぜここまで激しく攻撃されるのか?なぜ救援が来ないのか?自衛官は人を殺せるのか?最注目の作家が、日本の眼前に迫りくる危機を活写しつつ謳いあげる壮大な人間讃歌。男たちの絆と献身を描く超弩級エンターテインメント! 』
    アクションが中心の話で、よく書かれているけど、これはやはり映像で見たくなりますね。あえて不得手な領域に挑んだというとこでしょうか。資料の取り込みはすごい。月村了衛っていろんな小説に挑戦しているんですね。

  • ソマリアの荒野で描かれる壮絶な戦いと人間の絆、そして未曾有の危機。月村了衛さんの『土漠の花』は、その全てを包み込むような力強さに溢れています。

    まずは、舞台がソマリアの国境地帯という点。遠い異国で起こる出来事を巧みに描き出すのは、作者の底知れぬ筆力の証明と言っていいでしょう。そこには、豊かな描写力が織りなすリアルな風景が広がっています。ページをめくる度に、自分自身がその場に立っているかのような臨場感に圧倒されました。

    物語は陸上自衛隊第1空挺団の精鋭たちが主人公。彼らがソマリアで墜落したヘリコプターの捜索救助任務を受けるところから始まります。その最中、ビヨマール・カダン氏族の娘アスキラ・エミルが敵対するワーズデーン氏族から逃れてきます。そして、予想外の襲撃により、隊員たちは命を落とし、生き残った8人はジブチへと帰還するために奮闘します。

    この過酷な状況下で描かれる人間ドラマこそが、『土漠の花』の真骨頂です。彼らの絆や信頼関係、そして困難を乗り越えようとする強靭な精神力...それらは、深い感動をもたらすと同時に、私自身にも何かを乗り越えられる勇気を与えてくれました。

    さらに物語後半では、ビヨマール・カダン氏族の領地に大量の石油が確認されたことが発端となり、それを奪い取るためにワーズデーン氏族が襲撃を仕掛けてきたという事実が明らかになります。ここに至っても作者の緻密なプロットと巧みな筆運びには感服するばかりです。波乱万丈の展開に身を任せながらも、一貫した主題と確かな手腕に導かれるのを実感できるのが、この傑作の魅力なのかもしれません。

  • まさに、血沸き肉躍る傑作冒険小説。
    全編にわたり途切れない緊張感と疾走感。
    戦闘ものというのは、誰かを守るためか、復讐するためっていうパターンになりがちで、その点コテコテの前者になるわけだが、分かっていても引き込まれて体に力が入ったし、涙ぐんでしまった。
    シミタツもフナドも過去の人。
    衰えたなあと思えるこのジャンルだけど、まだまだ、冒険小説は面白いんだと知らしめてくれる貴重な作家の代表作の一つと言えるでしょう。

  • こういう小説を書ける作家がいたんだ。遠い国の出来事ではあるけど、ぐいぐい引き込まれた。
    見聞きしないだけで、実際にこういったことが起こっていても不思議ではない。

  • 已经看到了

  • ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。極限状況での男達の確執と友情。次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか?一気読み必至の日本推理作家協会賞受賞作!

  • 気がついたら一気読み

  • 「土漠の花」(月村了衛)[電子書籍版]を読んだ。この手のトラブルはまあいずれフィクションの範疇ではなくなる日も来ようというものだ。手放しで素直に面白いとは言いにくいところもある。自衛隊の(正当防衛としての緊急避難的)戦闘行為を大胆にさらりと書いたなあ。結構重たいテーマなんだけど。

  • 以前に読んだ同じ作者の「槐」と構造が似てるな、という読後感。半グレ集団に襲われたキャンプ場と敵意ある武装勢力に追われるソマリアの自衛官たち、というどちらも極限状況。戦ううちに、結束が高まり、理解しあい信頼も深まったと思いきや、仲間はどんどん死んでいき、全員は生き残れないと思い極めた者が自己犠牲で皆を救い、生き残ったものは、死んだ者たちの分も懸命に生きねばと思う。そして苦い読後感。だからと言って価値が下がるとかそういうものでもなくぐいぐい引き込まれたのだけど。「土漠では夜明けを待つ勇気のある者だけが明日を迎える」。

  • ストーリーに全く驚きなし。なんあっだかパターンが読めてしまった。

  •  自衛隊員の行動に胸が痛くなります。実際に戦闘に巻き込まれたら、綺麗事など言ってられない。まさに生きるか死ぬか。生きて帰ろうとする隊員達に、こちらも願わずにいられませんでした。

     

  • 2016/9/18 幻冬社電本フェアで¥702を¥399でDL購入。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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