島はぼくらと (講談社文庫) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • とてもいい本読んだな〜て感じ。じんわりじんわり。島の温かい側面と、閉鎖的な側面と。今回も過去作品とのミッシングリンクが嬉しかったな。

  • Audibleで聴了。良作です。
    『青春』でブクログ談話室で検索をかけて、読書家の皆さんのコメントを読んで選びました。

    青春は勿論ですが、島の生活、シングルマザー、Iターン、網元制度、地域活性化、色々な立場のの人や思惑がありつつ、高校生たちのお陰でドロドロになり過ぎないようになっております。

     ふと思ったこと

     高校を卒業したら島の子供は、大学や専門学校進学のためや、就職をするために島を出る。これって大都市圏以外の人たちが当たり前に課せられた宿命みたいなものであるが、大袈裟に言い方を変えれば、留学や移住、出稼ということになる。
    かつては日本では、国内では北海道、南米や、満州への移住があったのだから、外国人労働者が多く働いている現代をみてみると、いかに働く産業、場所が大事なことだということが分かる。
     日本という島の若者たちは、今後はどうなるのだろうか?

  • 島で暮らす4人の高校生がメインのお話かと思えば、島で暮らす大人たちの物語もふんだんに描かれています。

    ストーリーがいくつかに分かれていますが、全く別々のストーリーではなく、伏線もバッチリでワクワクしながら読み進められます。
    そして、ほぼ全てのストーリーに葛藤が描かれています。
    本作では闘う事に対しての核心が分かるような気持ちになりました。


    非常に面白い作品でしたが登場人物が予想以上に多く、物語中盤は混乱気味になったので、もう一度読み直してみようと思いました。

  • この物語での風景の描写がとても綺麗だったので、自分が故郷を離れる時に、友達と別れるのも寂しかったけど、大きな富士山を見られなくなることの喪失感が大きかったことを思い出した。
    登場人物が爽やかなので、とても読みやすかった。

  • オーディブルで聴いた。
    この島に限らないけど、狭いコミュニティの中で古くからある慣習が、煩わしく感じる場面がたくさんあり、あぁ〜わかる…と感じた。
    村長が、ヨシノと冴島の会社の特集をしたいというテレビ番組で自分が取り上げられないのは嫌だという理由で駄々をこねるシーンとか、大人げないしイライラさせられたけど、その後も朱里たち島の住民は、悪い人ってわけでもないんだよなーと上手く付き合っていくところとか、これがリアルなんだろうなと感じた。
    シングルマザーの中でも、夫の浮気を経験した人は、ふきこたちのことを良く思わない人もいるっていうのも理解できる。同じ立場同士仲良くしたらいいじゃないかっていう意見は押し付けなんだろうなと感じた。
    網元の家だから衣花は島で暮らさなきゃいけないとか、今の時代にまだこんなこと言う父親が本当にいるの?子どもを縛り付けて可哀想…と思ったけど、衣花自身、出ていきたいと思っていないところにビックリした。
    新の脚本を発表したキリサキはその後どうなったの?新の考えた物だってことは公にならなくていいのか?
    修学旅行中に抜け出すシーンは青春だなと思った。遊びのためじゃなくて、朱里のおばあちゃんの友達を探すっていう目的のために、源樹や新まで付いて行くっていう仲の良さが素敵だなと。
    大人になった4人が今後どうなるのか気になる。

  • ■ Before(本の選定理由)
    島?どこの島だろうか。
    田舎に閉塞感をおぼえる高校生の話だろうか。

    ■ 気づき
    もちろん閉塞感はあるが、Iターン・離島の医師問題・行政・進学・地方コーディネート、実に多彩なテーマが織り込まれている。予想を遥かに超える展開と奥深さだった。

    ■ Todo
    最後のシーンだけはご都合主義のようでちょっと納得いかない(個人の好み)けれど、なんだか、テーマを掘り下げてこうした作品が描ける作家さんて、もの凄いな、とすっかり感心してしまった。

  • 架空の冴島という瀬戸内海にある島に
    住む高校生が主人公となる物語。
    網元の衣花、島で興した会社の社長の
    朱里、Iターンでリゾートホテルを作
    った父の長男の源樹、脚本家を目指す
    新。
    島の住民のしがらみや問題点が上手く
    描かれていて、4人が高校を卒業して
    それぞれの将来が見えてくる。
    辻村深月らしい作品だった。
    過去の作品の登場人物が後半に出てく
    るが、物語の核になる幻の脚本に関わ
    ってくる。

  • 本人たちだけでなく、大人も子供も高齢者も何もかも巻き込むような青春。

  • 瀬戸内海ではないけど、私も島育ち。親がIターン。
    もう、あるある沢山でした。田舎の閉塞感、しかも陸続きではない不便さ。でもあの近い人間関係を今も懐かしく思う時も。まるで家族の形容と似て、一緒にいると鬱陶しくて、離れていると寂しい。
    4人の高校生を軸に様々な人間模様を、今時の社会問題をうまく絡ませた清々しい作品でした。
    ちょっとご都合主義的に感じるところはあったけれど、良作には間違いないです。

  • 瀬戸内海の島で生活する高校生4人をメインにしながら、島で暮らす人々、この島に移り住んだIターンの人達、島を訪れる人達との人間模様が描かれる。
    メインの高校生達は高校卒業後は本土に移動することが通例で別れの日が迫ってくる切なさや、島に関わる人達のそれぞれの事情などが細かく描写され、まるで自分も島に住んでいるような錯覚で聞くことができた。
    自分が疲れているタイミングでもあったので、この錯覚、擬似体験で、心が軽くなり、読了(聴了)後、島ロスになってしまった笑
    誰にでもおすすめできる一冊です。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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