罪の声 [Kindle]

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著者 : 塩田武士
  • 講談社 (2016年8月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (308ページ)

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罪の声の感想・レビュー・書評

  • グリコ森永事件をベースにした小説。
    大事件ものは謎解きがメインになりがちだが、意図せず犯罪加害者の家計に生まれてしまった人間の苦悩に主眼が置かれており、その描写はフィクションと思いつつも読んで心が苦しくなる。
    犯罪は被害者のみならず、社会、加害者の身内にも大きな影響を与えるとは理解しつつも、加害者の無自覚さと加害者遺族に残されたものを考えると怒りを覚える。

  • 犯罪に善きものなどないのだ、という気持ちになった。
    実際の事件をベースにしたフィクションであり、グリコ・森永事件をモチーフにした作品は数多あるが、「事件の真相」より「関わってしまった者たちの人生」が色濃く書かれた作品。読んでいると苦しくなる。
    もちろんフィクションであることもあって些か都合が良すぎる、という点もあるが、伏線の張り方も回収も見事な作品であると思う。

  • どこからがホントで、どこからが小説で…
    とか考えずに普通に楽しめた。
    ノンフィクションだと思って読んだほうが楽しい。記者と当事者の二方向から話は進んでいく。この事件は他の本で読んだ。という人も色々楽しめる話になってるのでオススメです。
    事件をリアルに知ってたら、なおさら面白いんだろうな。
    まぁ知ってますけどね。

  • かねてから読みたかった、誰もが知る事件を題材とした、この本を手に取った。

    この本の題材としている「グリコ森永事件」が起こった当時は、著者やこの本の中の主人公と同じく私もまだ小さかったので理解をしていなかったが、関西で起こった大きな事件であること、また馴染み深い”お菓子の会社”の事件である点、そして何より小学校の登下校のルートにある交番の掲示板にいつも貼られていた「キツネ目の男」の薄気味悪さ。
    これまで何度も、未解決事件としテレビで放送されてきたので、覚える気などなくとも自然と自分の記憶の中に強烈に残っている。


    大枠のストーリーはこうだ。

    自営業でテーラーを営む俊也は、亡くなった父の遺品の中から一冊の黒い手帳と一本のテープを見つけた。そしてそのテープに入っていたのは、テレビで何度か聞いたことのある、その事件の犯人が使った子どもの声。

    そしてその声は、幼い頃の自分の声だったー。


    -------------------------
    「きょうとへむかって、いちごうせんを・・・にきろ、ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら」
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    というものである。

    事実、グリコ森永事件には犯人から警察へのやり取りで、3人の「子どもの声」が使われているらしい。冒頭でも触れたが、当時の子どもたちは著者や私と同年代。今どこで何をしているのだろうか。この本の中のような人生を歩んでいるのだろうか。

    ネットで、著者のインタビュー記事を見たが、著者はこの小説のアイデアを既に学生の頃に思いついており、これが書きたいがために小説家になった言っても過言ではないという。当初は当然ながら、筆力がなくかけなかった。大学を卒業して新聞記者の道を選んだのも、この小説のためだということだろうか。兎にも角にも、事件の舞台になった現場にも実際に足を運び、話を聞くなど、それらの著者の実体験がひとつひとつ、物語に現場感・臨場感という命を吹き込んでいる。

    これを読み進めて行くうちに不思議な感覚に襲われる。果たしてこれは本当にフィクションを含んでいるのだろうかということだ。ノンフィクションの部分とフィクションの境界線が、読み進めて行くうちにわからなくなり、これは本当は真実ではないのか?著者は実際にこの主人公である「阿久津」そのものであり、真実に辿りついたのではなかろうか。既に時効が故に、また加害者家族に配慮し「小説」という形で世間に発表するにとどめているのではないかと、著者自身を疑ってしまうほど、作中に飲み込まれた。

    同年代として、もし私も父の部屋のタンスをあけると一本のテープレコーダーが出てきたとしたら、どのようなリアクションをとるのだろう。

  • グリ森事件の事実を丁寧に拾いあげ、フィクションとして落とし込んでいく手法は見事。子どものその後の人生に着目するという切り口も素晴らしく、社会的大事件が、家族の事件として収束していき、読後感もよい。実際の事件について復習(予習?)をしてから読んだほうがより楽しめたのかもしれない。

  • 圧倒的な展開。人間の哀しさを感じつつ。後半に向かっての救いのない事実の流れと、他方、それでも感じられる救い。素晴らしい作品だった。

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    『罪の声』塩田武士
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    実際にあった昭和の未解決事件、グリコ森永事件を題材に書かれたフィクション。
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    自宅で父の遺品から手帳とカセットテープを発見して聞いてみると、ギン萬事件に使われたテープでその声は幼い頃の自分の声だった。
    真実を知りたいと調べ始める主人公と、同時期に取材を始める新聞記者。
    彼らが真実を辿っていく様子に目を離せなくて一気読みだった。
    最後は涙が出てしまった。
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    フィクションなんだけど、まるで本当に取材をしてきたような臨場感。
    面白かった。
    この作者さんの小説読むの初めてなんだけど、読みたいと思ってる別の本の作者さんでもあった。
    それも近いうちに読んでみよう。
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    そして、同じグリ森事件を扱った高村薫さんの『レディ・ジョーカー』も読んで見たくなった。
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  • グリコ・森永事件、懐かしい、という長閑な思いは合わないとは思って読んだが、報道で見聞きした以上に子供を巻き込んだ悲惨な裏があったとは。

  • ニュージャーナリズムかというほどの、迫真の文章でぐいぐい進んでいく。
    なんだか昭和の暗さが集まってしまったみたいではあるけれども。

  • とんでもない作品を読んでしまった。どこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションなのかが区別がつかないほどリアルなミステリーだ。事件をリアルタイムに知る(しかしぼんやりとしか覚えていない)読者には、それが肌で感じられる。

    読者の視点は、主人公の一人である新聞記者の取材に同行する、カメラとしてストーリーを追っていく。壮大なドキュメンタリー番組の現場に立ち会うような、丁寧なカメラワークで最後まで読ませた。400ページという大作のボリュームを、電子書籍では全く感じないほどだった。ちょっとした表現の端々に、元新聞記者としての著者の矜持や、現場を取材した臨場感、立場が違う人たちの複雑な心情が織り込まれている。

    この本は、今月のTBSラジオ番組のPodcast『久米宏 ラジオなんですけど』で、久米さんがあの語り口で熱く紹介しているのを聞いて、何となく気になっていた(テレビ番組『久米書店』では紹介されていなかったのに!)。そして昨日、著者が同ラジオ番組にゲスト出演して、さらに詳しい話が展開されていた。
    http://www.tbsradio.jp/118520

    2016年の週刊文春ミステリー国内作品第1位を獲得したこの作品が広く知られていないのは、やはり現存する企業への影響なのだろうか? 架空の社名「ギンガ」をグリコに、「萬堂」を森永に、他の企業も実在するならその組織名にすべて置換し、人物相関図をホワイトボードに描きながら、事実だったところはハイライトさせた上で、もう一度読み返してみたくなるほどだった。

    ふと、奥付を見返してみたが、ありきたりな注釈『この小説に登場する社名や人物名は架空で…』が、この本にはない。著者の後書きの文中では、フィクションであることが触れられているが、むしろ、グリコ・森永事件の発生日時や場所、脅迫状・挑戦状の内容や事件報道を、忠実に再現していることが明記されている。まるで、警察の捜査資料を見てしまったかのような罪悪感と絶望が、気分をざわつかせて落ち着かないまま読み進める。それでも、最後に得られたある種のカタルシスに、「事件の目撃者」だった読者も、小さな希望を見て救われるのだった。

  • 未解決のグリコ森永事件の詳細を作者が緻密に調べ彼流の解釈で犯人が誰なのかを追い込んで行きます。最後まで一気に読める作品でした。
    濃密な時間をありがとうございます。

  • グリコ森永事件をモチーフにしたミステリー。事件で使用された"子供の声で録音された犯行声明"のマスターテープを自宅で見つけてしまい、その声が自分の幼い頃の声であることに気づいた30代の男の葛藤から物語はスタートする。
    もう一人、新聞記者としてグリコ・森永事件を追う第2の主人公も30代で、自分と同世代が主人公ということで親近感を覚える作品だった。
    主人公たちと同様、私はグリコ・森永事件になんとなくの情報しか持ち合わせていないため、"一体どんな事件だったのか?"という点から物語を追えるのも読みやすかった。
    (逆に、すでに事件についてある程度以上の知識や情報を持っている人にはかなり冗長に感じられると思う。)

    かすかにしか覚えていない"昭和"という時代の息遣いを感じながら、誠実にリアリティを重ねて真相に迫る描写が素晴らしい。ミステリーの醍醐味のひとつでもある"大どんでん返し"はなく、物語が沸騰するような瞬間もないが、それこそが"リアリティー"。人生にフィクションのようには進まないのだ。
    事実、主人公の一人は事件の真実にたどり着く前に、一度"自分の中の結論”に納得し事件をおりかけてしまう。それはある意味で真実から目を背けた"逃げ"なのだが、逃げてしまうのもまた人間のリアルな行動。ミステリーだからと絶対的に真実にたどり着く必要はなく、生きている人間のリアリティーを描いた点がおもしろい。
    とはいえ、あくまでエンタメ作品なので、一度降りた主人公も再度レールの上に戻され、真相にたどり着くのだけど、本格ミステリーのようなスッキリとパズルが解けた快感ではなく、エンディング後も続いていく人間たちの人生を感じさせる終わり方が、これまたリアリティーがあった。
    (そもそも、純粋にミステリーとして見た場合、あまりに幸運と偶然によって真相が暴かれてしまう。)

    "罪"によって翻弄された子供たちの人生は虚しく、"救い"はもたらされるものの、そもそも圧倒的な"被害者"である彼らにわずかな"救い"が与えられるだけでは割に合わない。そういう意味で、かなり後味の悪い読後感も残す作品ではあるんだけど、それもまたリアリティーなのかもしれないと、納得させられてしまった。

    そして、モデルとなった"グリコ・森永事件"自体への興味も湧いてしまい、巻末の参考資料をもとにさらなる読書へ誘ってくれる作品でもあった。

  • 事実は小説より奇なりというけれど、事実を忠実に小説として再現しようとするとこうなるのだろうか。
    勿論、題材とテーマは同時代に生きてきた者ととしてわかり過ぎるくらいわかるけれど、生意気いうようだが、エンタテイメントとしては破たんしているように思う。

  • ラジオでダヴィンチ編集長の関口靖彦さんが勧めていたので、Kindleで買った。丸2日間、他のことが出来なくなった。ひとことで言えば、凄い小説。

    主人公の曽根俊也は、父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われたテープとまったく同じものだった。
    本書は1984年に起きた「グリコ・森永事件」がモデル。主人公がテープを聞き、驚愕するシーンからハマってしまった。
    何を書いてもネタバレになってしまいそうで、詳細は書けないが、本書の面白いところは、「グリコ ・森永事件 」の発生日時 、場所 、犯人グル ープの脅迫 ・挑戦状の内容 、その後の事件報道について 、極力史実通りに再現しているところ。登場人物は貼り絵のように情報の欠片をコツコツと重ね合わせていく。本書はフィクションであるが、良質のノンフィクションかと錯覚してしまうほど、パズルが絵になってゆく過程は見事。
    「グリコ・森永事件」は子供が犯罪に巻き込まれた事件。本書を読む前はすっかり忘れていた。子供たちの未来を絡めて、この事件を小説にしたことで、本書は単なるミステリーに終わらず余韻の残る作品となった。
    文句なしの星5つ。

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