クリーピー 偽りの隣人[DVD]

監督 : 黒沢清 
出演 : 西島秀俊  竹内結子  川口春奈  東出昌大  香川照之  藤野涼子  戸田昌宏  馬場徹  最所美咲  池田道枝  佐藤直子  笹野高史 
  • 松竹
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感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105072077

感想・レビュー・書評

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  • 西島秀俊(高倉幸一)、竹内結子(高倉康子)、川口春奈(本多早紀)、東出昌大(野上)、香川照之(西野)ほか

    開幕直後、ぶいーーんとカメラがたぶんドローンで浮かび上がったり、
    なんでもない庭の緑が風に動く様子や、半透明のカーテンにじんわりじんわり寄っていったり、
    妙に飲み物を渡したり置いたり、
    大学の窓の向こうでは学生がミョーにはしゃいでいたり、
    と思いきや部屋が真っ暗ーになったり、
    といった黒沢印の演出で、日常がそのまま異世界になる映画のマジックに酔う。
    日本の何でもない家屋が不気味で不吉で、怪奇映画やゴシック建築や廃墟趣味に通じるのだから、マジエクスタシるゥ!

    中盤から、あ、これは「悪魔のいけにえ」だ、「マーターズ」だ、と次々と楽しくなる。
    心の底へ降りていくには、村上春樹の用いる井戸なんか生ぬるい、鉄扉だ! 拷問器具のそろった地下だ!
    と独り興奮してしまった。

    この中盤から、サスペンスでもなくミステリでもなくホラーにジャンルを越境している。
    展開の都合に登場人物たちが合わせていくことからもわかる。
    (ネットの評判がいまひとつなのはここのせいだろう。そりゃ、単独で危険な地下室へ降りていくなんて馬鹿。しかしここはすでに怪奇映画なのだし、構造上ありえない広さなのだし、「羊たちの沈黙」の例もあるし。)

    終盤、「電動注射器」の恐ろしさ! 怖すぎて笑ってしまったよ。
    もちろんギミックだけでなく、そもそもゆるーい催眠で支配されてしまう人間の不安定さ、殺し合わせるというサイコパスのありかたも。

    主役の西島、登場時からすでにサイコパスっぽい顔してるなーと思いきや、どうかしている行動も多く、やはり。(結局は、無理にでもシチューのお裾分けを持っていく竹内も、あの少女も。みーんなサイコパスだよ。)
    宇多丸師匠いわく、香川のことがわかったのは西島自身がサイコパスだから。
    サイコパス同士の決闘。
    さらには西島が勝つ。
    これは「CURE」と同じなんだね。
    相手を無自覚に超えてしまった、という点、言葉で殺意を明らかにする、という点。

    鑑賞後、原作の題材となった北九州監禁事件についてネットで読んで、む、胸糞ーっ。

    さらに映画の感想を漁っていて、あの鉄扉が開いたときに空気の流れが発生し庭の半透明カーテンがゆらめていた、と読み、さらにぞぞぞ。

  • 黒沢清の映画はいつもストーリー展開が独特で最後の最後まで読めないので息もつけない。
    カメラワークも面白く、贅沢な映画体験だった。
    でも何よりすごかったのは、香川照之の演技と竹内結子の叫び。

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