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- Amazon.co.jp ・雑誌
- / ISBN・EAN: 4910035460969
感想・レビュー・書評
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勉強になりました
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本書は、近年の計量経済学のトレンドについてまとめた本である。ミクロ計量に関しては、予想通り実験による統計的因果推論がトレンドのようで、マクロ計量に関してはカリブレーションについての言及が多く見られた。その他、構造推定と誘導推定の議論や、外部妥当性についての議論が論点となっているようであった。
個人的に一番面白いなと思ったのは、最初に載っている対談である。研究者がどのように理論研究や実証研究を行っているか、ということが如実に書かれており、その考え方はとても勉強になった。
ところで、政策決定に活かされる実証分析において、とりわけミクロ計量などでは個々の異質性をいかに考慮すべきか、というところも同時に問われている問題なのではと思った。例えば、教育経済学においてある教育政策が有意にプラスの影響を与えているとした場合、多くの生徒にとってはその政策は有効かもしれないが、一部の生徒にとっては全く有効でないかもしれない。このような可能性があることを念頭に置き、「分析結果をいかに政策に反映するか?」というところに関しては、分析手法の発展と同等に、熟慮すべきポイントだろうと感じた。そういった意味でも、実証研究者はもちろんのこと、政策決定者に対してもそのような統計リテラシーなるものを伝えていくことも重要な点となってくるだろう。
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