永い言い訳 (文春文庫) [Kindle]

  • 107人登録
  • 4.31評価
    • (14)
    • (18)
    • (3)
    • (0)
    • (0)
  • 13レビュー
著者 : 西川美和
  • 文藝春秋 (2016年8月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (200ページ)

永い言い訳 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • AmazonPrimeVideoでもっ君主演の映画を見たのちに、映像では触れることのできない心の襞のようなものを確かめたくて読んだ本。本体は1人称と2人称による複数のセクションで構成されていて少し斬新。そして、題名である「永い言い訳」が冒頭で語られていて、まさに映像では表せない部分に触れることができた。
    この小説は、私に「がんばれ」ではなく「だいじょうぶ」と語りかけている(ような気がする)。美しいセリフではなく、薄汚い言い訳が多くあって、自分の人間としてのレベルの低さを肯定しているようで安心できるのだ。

  • 主観がコロコロと変わり、登場人物達の内心をお互いが考察していく場面が、まるで綺麗な不協和音を聞いているかのように人間的で矛盾的で面白かったのを覚えています。結婚したくなくなるけど結婚したくなる。そんな一冊でした。

  • 内容に暗さはなく読みやすかった。イケメン作家というところ以外、屈折した主人公になんとなく共感できなくもないなぁと感じながら、読んでよかったと思う作品でした。既婚男性におすすめです。

  • 自分自身を納得させる言い訳を考えながら生きていく、それは普通にあることだと、改めて感じながら読んでいました。
    最近、ひとりで言い訳しながら生きてる感があったので、いろいろなことにけじめをつけて進んでいこうとも思いました。レビューにはなってませんが、ともかく1度読んでみることをおすすめします(^^)。以上です。

  • 評価は5にしたけど正直評価ということをしたくないと思う作品。いい意味で。
    唐突に読みたくなり電子で購入。
    いつもなら借りている本やら積読本を優先してなかなか読まないのに、すぐに読んでしまった。
    すぐに読みたかった。
    今確認する必要があるような気がした。


    人が死んで泣く。
    それはとても自然な事のように思う。
    いなくなる、もう会えない、話せない、苦しい、どうして、そんな感情がごちゃ混ぜになって、泣く。
    私は、どうだろうか。

    幸夫はずっと妻が死んだその時からその後も泣けず、生活も行動も褒められたものではなく、「妻が死んだ夫」としての態度じゃないなとわかっていながら卑屈な態度を取り続ける。
    まさに自己愛に満ちた厭世観の強いタイプ。

    その行為は妻がいた時から、そばにいない時、幸夫の頭の中には常にあったのだろうか、それはわからないけれど。
    幸夫は事あるごとに、夏子の声を聞いている。
    それが本当の夏子が言うような事なのか、自身の声を投影しただけの夏子の声なのかは別として。
    彼女がいなくなった後も、幸夫は何かと夏子の声を聞く。
    陽一がゆきに語りかけるのとは別に。
    それはおそらく語りかける間も無く、差し込まれる無意識に等しいのだろう。
    そう思うと幸夫は彼女がいなくなった後でも、まだ彼女の存在に掌握されていたのかと思う。
    最後に幸夫がようやく夏子へ疑問を投げかけても彼女の声は聞こえず、幸夫は誰のためでもなく静かに涙する。
    ある意味での解放であり、ここからが彼にとってもしかしたら苦しいところなのかもしれないなとも思った。

    死は自覚しないと感情が凝り固まっているのか、なんの感慨も湧かない。
    感情がついていかない。
    泣けないのは、妻への愛情がもうなかったからなのか。
    妻が死んで泣けなかったんだと泣く、それが酷くわかってしまって苦しい。

    なんとなく、最初の幸夫の脈絡のない学生時代の女のセックスの最後まで行けない話と、衣笠幸夫という名前に対するコンプレックスの共通点は対象から逃げているという事で。
    同じように夏子のことから大宮一家から逃げ続けてるのだろうなと思った。
    大宮一家も、向き合えているようでて向き合えていない。
    彼は自分の土台を安定させてくれるような、存在意義を見出したい。
    だから、子どもにですら、そこから自分の存在意義を見出そうとする。
    紙一重。
    それに対する永い言い訳。なのかなぁ。




    映画は観ていないけど、原作から読んで良かったと思う。
    正直頭の中では個人的にキャストを配役して読んでいたために原作を読みつつ既に1本の映画を観た気分でいる。

    言い訳の無い人生なんてない。

  • バス事故で、妻を失った人気小説家。「自己愛の度合いは激しいのに 、健全な範囲での自信に欠けていて 、厭世観が強」い人物であり、事故の発生時は別の女性とセックスをし、葬式のときも全く泣けなかった。そして事故現場で発見された妻の携帯には夫宛ての未送信のメッセージが…
    一方、妻の友人も一緒に事故に巻き込まれる。長距離トラック運転手の夫は妻のいなくなった家庭の再構築に必死になるが、空回りしか出来ない。

    通読して受けた印象は、この小説のテーマは「再生」。ただ、妻が死んでも泣けなかった男が何に対して「再生」するのか?いや、再生が必要なのか?最後の1行に至るまで、小説家とトラック運転手の長男、長女との交流、2人の男の対比を中心に様々なプロットを提供し、謎解きをしてくれる。その意味で「永い言い訳」という題名はお見事。気づいたら、殆ど一気読みだった。

    作者の西川美和さんは映画作家。この人の本は初めてだが、描写が映像的で心地よい。死を扱ったテーマだが、くすぐりも多く、暗い本ではない。

    例えば、開成に行った先輩を羨む長男への小説家の言葉
    「何かを選べば 、何かを失うんだ 。開成に女がいるか ?君は女子の胸がデカくなって行く過程を観察するチャンスを生涯失う 。昨日まで真っ平らだったワイシャツの背中に 、ある日突然一筋のブラジャ ーの線が出現する 、その日の感動を知らずに大人になる」。
    なるほどと素直に思った。

    死は絶対にやって来る。妻を失ったとき、自分はどうなるのだろう、どうするんだろう。考えさせられる本。読んで良かったの★★★★。

  • 久しぶりに読んでて止まらなくなってしまった。ずっと余韻が残ります。

  • うじうじ言い訳じみててどうなることかと思ったけれど、案外ちゃんとしてた。人生は他者なんだ、確かに。あと偶然クリスマスに読み終えたので、★1つプラス。

  • いまいち

  • 著者の作品で映画化されたのを何作か見てきて、もう既に何作も読んできた気になっていたが、読むのは初めての作家だと気づく。妻を事故で亡くした作家が同じ事故で母を亡くした家族との共生が面白い。家庭を初めて知った作家がすでに冷え切っていた妻との関係を自己の中で修復しようする姿が哀れであったが、妻に先立たれた男はほんとうに情けない。登場人物が自分の視点で語りだす作風も面白く、他の作品も読みたくなった確かストックとしては持っていたはずだが映画を見てしまうと後回しにしてしまうパターンだ。映画の方も楽しみだ。

全13件中 1 - 10件を表示

西川美和の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

外部サイトの商品情報・レビュー

永い言い訳 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

永い言い訳 (文春文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

永い言い訳 (文春文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

永い言い訳 (文春文庫)の単行本

永い言い訳 (文春文庫)の文庫

ツイートする