夜行 [Kindle]

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著者 : 森見登美彦
  • 小学館 (2016年10月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (166ページ)

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夜行の感想・レビュー・書評

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  • 森見登美彦作品初めての読了。
    「夜は短し歩けよ乙女」を途中まで読んで挫折してしまったので、文体的に読み切れるか不安だったが杞憂だった。
    おそらく明るい雰囲気で、ワンセンテンスの長い森見登美彦節が強い「夜は短し〜」よりもこういう作風の方が好みだと思う。
    またこの作品の章立てはとても好きなパターンで、(好みが分かれるのかもしれないが)登場人物それぞれの回想で話が進んでいく。独白というか、語り口調で進む分読みやすい。

    岸田道生の銅版画「夜行」をキッカケに、それぞれ同じ作者の連作「夜行」にまつわるエピソードが語られていく。
    中には不気味な話もあるが、より不気味に感じるのは、「え?」と思うような出来事が起きているのにそこに対しては誰も何も触れずに話が進んでいくことだ。
    直接的な怖さよりも、少しずつ普通が歪められていくような感覚がする。
    それぞれの登場人物の回想が終わり、主人公である大橋は、みんな不思議な体験をしたが、結局戻って来たし、よくある旅の話だとしていて、そこにも感覚の異常さを感じ取れる。

    夜行と曙光、影があるから光がある、光があるから影がある。
    どちらもなくてはならないもの。
    また陰と陽のように考えるとするならばこの話には、男性と女性という対比もできるような気がする。
    各章それぞれ登場人物が出てくるが男女ペアで表すことが出来る。

    以前三津田信三氏の「のぞきめ」を読んだときは前評判に期待を高めすぎたのかそこまで怖いと思うのこともなく読んだのだが、今作の1章尾道での中井の妻が夢に見た、階段を登ってくる気配、あぁなんともなかった、と思ったら首から上だけがぬっとこちらを覗いているという描写。
    それ以外は闇に包まれている恐怖。
    誰しもにあるのかはわからないが今動いたらダメだ、という不思議な強迫観念に襲われることがある。
    それを思い出し、思わずぞくりとしたが、ホラー好きとしてはこの感覚を待っていた!という気がした。

    パラレルワールド、平行世界、自分のいる世界が本当に正しい世界か、正しいとは何か、そんなことを考え始めてパラドクスに陥りそうな、迷路のような作品。
    それこそが夜行かもしれない。
    48枚あるうちに、私が訪れたことのある場所はあるだろうか。

  • ひとつひとつのエピソードのひんやりと湿った味わいにひっぱられて百物語に聞き入ってしまった。一人称で語っているはずの目の前の彼らが、それぞれ結局"帰って"来られたのかが曖昧なあたりが伏線なのかと思いきやそのへんはいたってふんわり流して、後味としてはほっこりした不思議ストーリーで終わってしまっているのがもったいない。連載の宿命なのかもしれないが、大オチに向けての全体の構成がちょっと弱い気がする。
    森見登美彦を読むのはたぶんこれで3作目だと思うのだけど、立て板に水のグダグダした語り口で聞かせるタイプ(褒めてる)だと思っていたので今作はいい意味で意外性があった。ストーリーテラーの路線で書いたのをもうちょっと読んでみたい。

  • 鞍馬の火祭に一緒に行った女性が失踪する、という
    共通の体験をもった6人が、失踪の10年後に
    再び火祭を見に集まり、各々が語るお話。

    「きつねのはなし」や「宵山万華鏡」で垣間見えてた
    テイストが、この作品でがっつり前面に押し出された感じ。
    (過去作品に登場したお店が本作に出てきているようなので、思い出すためにも読み返そうと思う。)

    考えてみれば「四畳半神話大系」や「夜は短し歩けよ乙女」では、とぼけた作風やユーモアを抜いてしまうと
    一種の恐ろしい出来事が起きているわけで、
    この作品のホラーよりのミステリーのようなジャンルと
    隣り合わせなのかもしれない、と感じた。
    森見登美彦の新境地というか、延長線?

    第156回直木賞候補作。

  • ゾクゾクする怖さがあって、夜中に読むのはお勧めしない。
    一話30分程度で読める量なので読みやすい。
    ちょっと良くわからない点もあったから、もう一度読んでみようかな

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