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感想・レビュー・書評
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なんとなく敬遠していた村上春樹さん(笑)
実は村上さんの著書は初めてでしたが…好き!!
少し哲学っぽい感じもする、色々なことを含んで描くような文章。
こちらに考える余地を与えてくれるところも好き。
個人的には木野がよかった。
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男の人が女性から感じ取る癒しのようなものをふわっと表現している短編集かなぁと思いました。
不思議で察しの良い別の生き物。異性。他人の魅力を半減させるのに性別が原因になることってあるんだ〜気付きたくありませんでした。私が女性だから感じたことなのかもしれないと思うと、それもまた悲しいです。苦笑 -
なんとなく目にするような気もする男女の世界を綴った6編の物語。
私は6編中、『木野』の物語が最も印象に残った。
物語の中で大好きなジャズミュージシャン、バディ・デフランコが取り上げられていたこともある。
村上春樹氏らしい内容で、主人公が最後に気が付く孤独について、読者の想像力が要求される。
スポーツ用品の販売会社に勤めていた木野は、出張を1日早く切り上げて自宅に戻った。
自宅の寝室で、木野の同僚と妻の情事の現場に遭遇してしまう。
妻と別れた木野は、会社を辞して南青山でバーを開店し、孤独感を味わいながら落ち着いた生活を送るようになったはずだったのだが⋯。
6編の短編は、女との健全な関係を結ぶことに挫折し、女性を失った男たちの物語が綴られている。
主人公となる男たちは、それぞれに魅了的な男性ばかりなのだが、残念ながら女性の心の内までは理解できないでいた。
登場する男性たちは、一人になって冷静沈着に生きようとするのだが、失った女性による真の孤独を知ることとなる。
「木野」と「女のいない男たち」の2編は、村上氏らしい曖昧模糊とした展開が繰り広げられるが、他の4編は案外とすんなり理解可能な気がする。 -
やっぱり男なんて弱い生き物なんだなぁと再確認させられた気分。だって逆の物語は絶対に成立しない。女は男に去られようがなんだかんだ逞しく生きてくもんだと思うんだよ。
ドライブマイカー、映画が見事だなぁと改めて。こんなよくわからない3つの話をくっつけてまとめて1個の映画にしちゃうなんて。
やつめうなぎがやっぱり1番意味がわからないけど。どっから出てくるねん。前世が八目鰻。
男は今までの人生でも、女に傷ついている人に数人出会っている気がする。まだ死別には流石に出会ってないけど。
なぜか、カミタさんが印象に残っている。
彼は何者だったんだろう。
バーの店主は、何をしなかったんだろう。悲しむべき時に悲しまなかったから、旅に出なくてはいけなかった…?文章でそれだけならわからんくもないが、ちょっと違う気がするのよ。
女のいない男たち。まさに。
全員子どもがいなかったなぁ。そういえば。
傷つくべき時に傷つくことの必要性。
恋というものの恐ろしさ。
人を解るためには、自分を覗き込むこと。
なかなかどうして、人生がうまくいくって難しい、という気分になっている。 -
村上春樹はどんな恋をして来たんだろう
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「自分の小説にまえがきやあとがきをつけるのがあまり好きでなく」との「まえがき」から始まる短編集。
通勤電車のなかで、毎日一作づつ読み進めていくのが、心地よかった。そして、人生についてよく考えることができる時間をつくることができた。
〇ドライブ・マイ・カー
俳優の家福(かふく)は、ある事情から自家用車の専属運転手を探していた。
二十代の女性ドライバー渡利みさき。
無口で堅実な運転で、その仕事を着実にこなす。
妻を亡くした家福が語っていった秘密とは。
〇イエスタデイ
大田区田園調布生まれで大田区田園調布育ちなのに、ほぼ完璧な関西弁を話す木樽。
「僕」は、早稲田大学文学部二年生の時に、アルバイト先で浪人生にして同級生の彼に会った。
木樽は恋人の栗谷えりかと僕を付き合わせようとする。
〇独立器官
渡会は52歳。これまで結婚したことのない、同棲の経験すらない。麻布のマンションで一人暮らしをつづける美容整形外科医。
何不自由のない生活に、抗いようのない変化が訪れる。
〇シェエラザード
「千夜一夜物語」の王妃シェエラザードのように、彼女は不思議な話を聞かせてくれた。
「十代の頃のことだけど」とある日、彼女は打ち明けた。
「私はときどきよその家に空き巣に入っていたの」
〇木野
木野は夫婦のトラブルをきっかけに、会社を辞めバーを始めた。
店のなまえは「木野」にした。他に適当な名前を思いつけなかったからだ。
〇女のいない男たち
夜中の一時過ぎに電話がかかってきた。
「妻は先週の水曜日に自殺をしました、なにはともあれお知らせしておかなくてはと思って」
その女性は、「僕」の「昔の恋人」だった。
人生とは何か。
財産があれば幸せになれるのか。
よい環境にいれば、幸福なのか。
どんな恵まれた環境にあっても、人は宿命に翻弄される。
だが、その宿命に抗っていく力も持ち合わせている。
著者の人間を見つめる眼を通して紡がれた短編集。 -
関係した女性に去られてしまった男性の深層心理を春樹氏お得意の巧みなストーリー展開と流暢なメタファーで紡いだ短編。
しかし、相変わらず多様する「セックス」や「性交」という語彙。春樹氏の作品とはデビューの頃からの長い付き合いだが、やれやれまたか‥と思わずにはいられない。そんなにセックスやエロスが必要か? 春樹氏も73歳。エロスだけが健在なのが不気味。ノーベル文学賞を取れないのはそこだろう。
『ドライブ・マイ・カー』、話題になったタバコをポイ捨てする人の地域名の記載は架空の地域に書き換えたが、やはりいただけない。『女のいない男たち』の、ある作曲家の音楽をエレベーター音楽と揶揄した表現も不快に思う読者もいるのでは?読者にけしておもねることはない村上春樹。そのネームバリューで読ませてしまう、男性目線の喪失劇。 -
映画化されたので再読してみた。木野が村上ワールドって感じで面白かった。それにしても映画はまさかの3時間上映!短編をよくもここまで膨らませてた思う。ドライブマイカーだけじゃなく短編集を全てを含め、更に膨らませ、多様性を取り込んで映画化した感じ。濱口監督は凄い!映画もとても良かった!
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以前にハードカバーで買っていながらなかなか読めず、積ん読のハード版ではなく、結局文庫版を買い直して読了。
当時なぜ読みきれなかったのか、どうして今になってまた巡りあったのか、自分の中ですごくしっくりときた優しい一話一話だった。
数年前の自分が読んでいても、結局響かないままに終わってしまったんだろうと思えるフレーズや内容があって、むしろ今巡りあえたからこそ思い出せた感情、作品に対して抱いた思いを噛み締めたくなった。
色んな形で「女を失った」男たちのアンソロジー。 -
まさかあの有名な「ドライブ マイ カー」
の原作の一部だとは思わず読み始めた
女性ドライバーのクールな運転を想像しながら
映画も観たくなったし
まさか今更運転までしたくなってしまった
よし、今年こそは脱ペーパー! -
男女関係の中に、不倫や浮気という社会的&倫理的に日本では認められていないものがあって、そこでのモラトリアム人間を描写している。
個人的見解だが、村上春樹さんは不倫や浮気などの男女関係を肯定しているわけでも、はたまたうつつを抜かすことを否定しているわけでもなく、自然な流れというか、人間の恒常的欲求であるというか、そこから一歩引いて、一旦立ちどまる、その考えるという作業をやめるべきではないと伝えているのでは?と思います -
ハルキストというわけではないし、村上春樹をまともに読んだのは、ノルウェイの森以来かもしれない。小説よりエッセイの方が読んだ記憶が残っている。前書きをじっくり読んでから読み始めた短編集。映画の「ドライブ・マイ・カー」はこんなサイズの短編から2時間もの映画を作っているのがものすごいことだと感動した。イエスタデイがとても切なかった。そして全体的に大人な雰囲気が漂いまくりで落ち着いた、しっとりした雰囲気の1冊だった。
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僕は村上春樹の文体が性に合わない。
面白いと思えない比喩に、女性蔑視としか思えない視点からの直接的なエロス。
それでも、映画「ドライブ・マイ・カー」が好きだったので、原作はどんなものかと読んでみた。
まあ、予想通りの短編集でした。
が、予想に反したのはこの短編集のうちの1作「木野」。
神話的で、悪い御伽噺のようで。
ああ、この物語が読めるなら村上春樹も悪くないな、と思いました。 -
この本を読んだとき、あの「ドライブマイカー」のような映画はまだありませんでした。先日、メタバースのヘッドセット(QUEST2)を購入したのをきっかけに、メタバース映画館(といってもアマゾンプライムシアター)で、この映画を見ました。不思議な出会いとダイバシティーな設定、また新たな気持ちで読みたくなりました。
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映画で賞を取った『ドライブ・マイ・カー』を読んでみたくて手に取りました。
他の方のレビューでもありましたが、この短編をどうやって映画を作るのに膨らませたのだろう…と思いました。短編映画なのかしら?気になります。
6編から構成される短編集。
『ドライブ・マイ・カー』
『イエスタデイ』
『独立器官』
『シェエラザード』
『木野』
『女のいない男たち』
すべて独立した別々の話ですが、共通しているのは、タイトルにもなっている「女のいない男」についての話ということ。だから全部の話が男性目線です。
短編集も時々読みますが、その中でこれは好き、これはイマイチ…と自分の中のお気に入りがあるものですが、この短編集については、どれも甲乙つけがたく面白い。
それゆえ、一番のお気に入りは選びにくかったです。
夏目漱石の『夢十夜』が好きなのですが、話の内容は全く違えど、感覚的に夢十夜を思い浮かばせるような‥白昼夢のようなフワフワした、そして怪しい気配、不思議さをまとっているような内容でした。途中ではやめられない、ページをめくらずにいられないような不思議な中毒性がありました。 -
(再読)
8年前、文藝春秋に掲載された「ドライブ・マイカー」を読んでいた。このほど映画化されて日本映画初の米国アカデミー賞作品賞にノミネートされたので、この機に再読してみた。ストーリーを全く覚えていない自分に驚きつつ、作品賞にノミネートされたのは30分ほどで読めるこの短い物語自体の評価より映像がよほど芸術的なのか、村上春樹原作というネームバリューが効いたのか、と思った。 -
映画「ドライブ・マイ・カー」を見た後、未読だった原作を読みたくなって購入、読了。
表題作そのものは、既に見終えた映画の内容や印象との対比が我ながら興味深く楽しく読めたが、それ以外は...イワユル「春樹節」?の文体や比喩の多用、頻出にはもういささかうんざり。
ぶっちゃけ正直、彼の本が何故これほどまでに人気があるのかさっぱりワカラナイ。