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感想・レビュー・書評
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ずっと知りたかった哲学議論の前線がきっちり俯瞰されていて非常にありがたい一冊だった。
テクノロジーに関する議論が多かったのが以外だった。技術が人間の土台をなしていることがよくわかる。また、資本主義や宗教についても整理されていて、知りたかったことなので良かった。
AIやバイオ技術、そして資本主義や宗教など、ほとんどはこれまで自分で調べてきたことの域は出ず、期待していた「新しい答え」というものは少なかった。とはいえ俯瞰できたことはありがたく、ここを起点にまた調べていきたい。むしろ新しさがなかったというのは、前線に到達できていたということで好ましい。
第1章のポストモダン以降の潮流の整理がいちばんおもしろかった。自然主義的転回が一つの分野であり、またそれとは別に実在論的転回のような世界があることは大きな指針になる。
【目次】
1.世界の哲学者は今、何を考えているのか
-ポストモダン以後、哲学はどこへ向かうのアk
-メディア・技術論的転回
-実在論的転回
-自然主義的転回
2.IT革命は人類に何をもたらすのか
-監視社会
-人工知能、
3.バイオテクノロジーは「人間」をどこに導くのか
-ポストヒューマン
-クローン人間
-永遠の命
-犯罪者となる人間を予め隔離するべきか
-現代は「人間の終り」を実現するか
4.資本主義は21世紀でも通用するのか
-資本主義が生む格差は問題か
-資本主義における「自由」をめぐる対立
-グローバル化は人々を国民国家から解放するか
-資本主義は乗り越えられるか
5.人類が宗教を捨てることはあり得ないのか
-多様な宗教の共存は不可能なのか
-科学と宗教
6.人類は地球を守らなくてはいけないのか
【「哲学」をどのように取り上げればいいのかの本書の指針】
・「たった今進行しつつあることは何なのか、 われわれの身に何が起ころうとして
いるのか、この世界、この時代、われわれが生きているまさにこの瞬間は、いったい
何であるのか」(ミシェル・フーコー、1982)
・「自分の生きている時代を概念的に把握する」
→ 自分の生きている時代(「われわれは何者か」)を捉えるために、哲学者は
現在へと到る歴史を問い直し、そこからどのような未来が到来するかを展望する詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代社会に対して様々な哲学的観点からの考察をまとめていて大変良書だった。どのテーマも割と表面的な議論に止まるのではと思ったのだが、それなりに深く書かれていて勉強になった。