西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • すごい旅だった。
    この旅は20年ほど前の出来事。今、彼らはどうしているのだろうか。特に、著者に電話してくる独裁者予備軍はどうしているのか。

    エピキュリアン大尉はもう、酷すぎ。息子、生き抜いてほしい。

    ソン・リップたち、巻き込まれ型の人たちの人間模様も面白かった。著者の存在、迷惑でしかないだろうから。

    著者が交易品という考え方は興味深かった。確かに、人から人へと託されている。

    それにしても、今、こういう企画は通らないだろうなあ。20年前の景気の良かった出版業会という視点も興味深かった。

  • 高野秀行作品はエンターテイメントだけでなく教養も得られるから好きだ。

    味の素を使用するのは東アジア文化圏のみという話は記憶に残った。
    うま味を感じられるのが東アジア人に限られるため、味の素は世界的に見れば大ヒット商品ではないらしい。
    私は自炊の際に味の素をよく利用するため、味の素は多くの人が利用するものだと思っていたが、実際は違うようだ。

    あとはナガ人と初めて交流しようとしたのが、イギリスから来た宣教師だというのは面白かった。
    これによって、ナガ人は外部の人間と交流するようになったらしい。
    アイヌ民族にも同じことが言えるかもしれない。
    アイヌ民族の所にも宣教師が訪れ、キリスト教を教えた。
    それがきっかけでアイヌ民族が倭人との交流が活性化したのではないかと想像を膨らませた。

    最後の最後に高野秀行が不法入国者として犯罪者扱いされるオチは笑った。
    やっぱり面白い人の周りには面白いことが起こるな。

  • 現地のゲリラ兵士の世話になって密林を進む冒険記。後日談にあるゲリラ軍同士の攻撃など緊張状態にあるなか、お気楽な目的の日本人がここまで相手にして貰えるのは著者の人脈と度胸と人柄か。
    読者の我々は日日安全に管理されてる暮らしで、ここまでの冒険要素がないと楽しめないということか。貧しい紛争エリアで暮らす人とお気楽日本人のマインドのギャップ。

  • 中国からスタートしてミャンマーを通ってインドまでジャングルを横断した冒険記。ノンフィクションなのでそこまでハラハラドキドキする展開はなかったけど、まあまあ面白かった。冷静に考えればミャンマーとインドは密入国(しかも反政府ゲリラと)なので結構ヤバい旅だと思うんだけど、あまり深刻さのない書きぶりがかえってサラっと読めてよかったのかもしれない。20代のころモンゴルやカンボジアなどの新興国旅行にハマってたのを少し思い出した。未知の世界って素晴らしい。

  • 高野秀行ワールドの入門書として最適な1冊。

    本人が、人生で一度あるかないかの大勝負という、様々な人の助けを借りながら、中国南西部からミャンマーを抜け、インドへとたどり着くまでを書き抜いた本作品。どの部分にしても、読み手の頭にその土地の風景、音、匂いがたち現れる。

    学術的な記載とルポ的な記載のバランスも絶妙で、全く飽きがこない。

  • これがノン・フィクション。まるでフィクションのスラップ・スティックです。西南シルクロードの探索でなくロード上を著者が「もの」としてクルーに運ばれている。

  • 『謎の独立国家ソマリランド』で興味を持ってそこから読み始めた高野氏の著作も何冊目かになった。
    で、この作品。まず題名だけで惚れられるでしょ。

    でもだんだん読み進むうちに、「文章は上手い、面白い。しかしこれって行軍のための行軍? そもそも何のための旅だったっけ?」と思う。必ず思う。
    それがナ…最後までいくとこの旅がなんだったのかが一気に見通せるしかけになっていて、ホントできすぎというか、創作より面白いよホント。バスの中で感動して泣けてきたヨ。

    そしてエピローグ、そしてあとがき。エンドロールが出てきても席立つなって映画みたいなもの。堪能いたしました。

  • 危険な旅路をこんなにも面白楽しく読めるのは高野さん書籍ならでは
    高野さんのモットーにも通じる
    同じ道程を歩みたいとは思わないけど文化的な面ではとても興味深い

  • こんなに衝撃的で心に響く旅?冒険?記は初めて!

    中国四川省成都からミャンマー北部を通ってインドへ。
    ゲリラの支配するジャングルを陸路で、密入国を繰り返し、「西南シルクロード」を辿るという旅。

    あまりに無謀な旅なので、最初のうちは呆れていたのだけれど、途中から西南シルクロードの旅だったことも忘れるほどゲリラ軍と交流しつつ危険や困難を運?で乗り越えて行く様子に引き込まれていきました。

    総勢ゲリラ軍の兵士8人と土地のポーター19人総勢27人が彼の冒険?のためにジャングルを進むこともあったり、なんだか憎めない高野さんの人間力に私もすっかり魅了されました。

    ミャンマーとインドにまたがる少数民族の苦難や現在も続く今まで知らなかった問題を知ることができ、高野さんの旅に感謝です。

  • 張騫が西域で見た四川の布の交易ルートを辿ると称して、中国からミャンマーの反政府少数民族ゲリラの支配域に密入国し、そのままカチン人ゲリラ→ナガ人ゲリラの伝を辿ってインドにも密入国し、最後はカルカッタから何故か無事に強制送還されて帰国するジャングルの旅の記録。講談社のカメラマン氏と別れたあたりから加速度的に面白くなる。参考文献リストあり。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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