- Amazon.co.jp ・電子書籍 (313ページ)
感想・レビュー・書評
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角田光代の自伝ではないか、と読みながらも思った。
主人公の和歌と恋人の仙太郎との間の関係の複雑さをよく表現していると思う。どちらも悪いわけでもなく、嫉妬や羨望、自信の無さ、自己嫌悪、執着、人間が持つ複雑な感情をただありのままに書かれている。
角田さんは人間の心理をよく理解していると思う。それに、会話の中での何気ない一言を通してそれを的確に表現していく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仙太郎の良さが全くわからない
こんな男とっとと振ってしまえよ、
と思いながら読んでました。笑 -
トップ女流作家の筆力を堪能できます。
幸せな(はずの)カップルにひきおこる日常のすれ違いが、作家を目指す和歌の視点で描かれていくが、小さな齟齬や考え方の違いが少しずつだが確実に負担になり、それがいつしか心の中で恐怖に化け、流産をきっかけにもろくも崩れていく関係が説得力を持って描かれていきます。祖母が書いた本の謎を絡めながら、いつしか彼女の人生に自分を重ね合わせていく構成も憎い。他人に惑わされず、孤高に生きていこうと仄めかすラストも見事。読みながら、なぜか島田雅彦「彼岸先生」を思い出した。 -
この本の解説文に書いてあったのだか…
私の中の彼女 という感覚が、感じられた。
主人公 和歌の生活や思考に。
読んでいるのが苦しくなるなるくらいに。
今、読むべきタイミングだったということか。