パン屋再襲撃 (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 好きなフレーズがだいぶあってにやにやした
    村上春樹の本を読むたびにこんな言い回しがあるんやなあてホクホクするなあ

    だいぶよかったし今日の気分に合ってた

  • Audibleで。なにこれ、めちゃくちゃ面白い。ファミリーアフェアとか兄妹の関係性、やり取りがツボで笑ってしまった。活字でも読む。感じ方変わるのかな、楽しみ。

  • 「象の消滅」に飼育係として、「ファミリー・アフェア」に妹の婚約者として、「双子と沈んだ太陽」に翻訳事務所の共同経営者として渡辺昇が登場。そして「ねじまき鳥と火曜日の女たち」には姿を消した猫ワタナベノボルが登場する。

    「パン屋再襲撃」
    深夜に死ぬほどお腹をすかせた新婚夫婦。料理するほどの食材はなし、かといって食べにいくのも嫌。そこで夫は、昔同じように空腹でパン屋を襲った時のことを思い出し、妻に話をしてしまった。襲撃失敗だったということも。(結局パンは強奪したのではなく、恵んでもらったのだ) それを聞いた妻は、あなたは呪われてるからもう一度パン屋を襲撃に行こうと言う。夜中に開いてるパン屋は見つからず、やむなくマクドナルドへ。あろうことか彼女は車の中に散弾銃を用意しており、手際よく準備してマクドナルドに入っていく。
    襲撃成功。30個のビッグマックを手にして空腹を満たし、夫は問う。「こんなことする必要があったんだろうか。」「もちろんよ。」

    「象の消滅」
    町の象舎から象が飼育係と共に消滅した。逃げたのでもなく、連れ去られたのでもなく、消えたのだ。足枷は鍵がかかったまま鎖に繋がれて残っている。足跡もない。
    僕は彼らの姿を見た最後の目撃者だ。裏山の灌木の隙間から象舎の中を見ることができるポイントを発見し、時々のぞいていたのだ。消滅したその日は彼らの大きさのバランスが違っていた。象と飼育係の大きさの差が縮まっているような気がしたのだ。
    その話を仕事で知り合った女性にしたが、気まずい空気が流れただけだった。それ以降その女性とは会っていない。

    「ファミリー・アフェア」
    同居している妹から婚約者を紹介され、困惑する兄の心境を綴る。
    1980年代、日本がまだ元気でうわついていた頃の空気が小説全体に流れている。あの頃の男子は、この兄のようにその日に出会った女の子をベッドまで連れていくことばかり考えていた。「時間なんて問題じゃない。飲んでるうちに日も暮れるさ。夕陽を見るのにうってつけの良いバーがあるんだ。午後の三時には行ってないと良い席がとれない」僕は彼女を海辺見えるのバーへ連れて行き、IWハーパーのオンザロックを四杯飲んだ。‥って、片岡義男か。知らんけど。‥飲酒運転ですよ。2023年現在、日本がこんなにしょぼくれた国になるとは誰が想像できたでしょう。今や妹の婚約者、真面目な「渡辺昇」君が日本男子の大半を占めている。

    「双子と沈んだ太陽」
    かつて一緒に住んでいた双子の姉妹の姿を写真雑誌の中に見つけた。「1973年のピンボール」に登場した、あの208と209という番号のついた揃いのトレーナーを着た女の子たちだ。「僕」が勤める翻訳事務所の共同経営者は「渡辺昇」だし、隣の歯科医ではたらく女の子は「笠原メイ」

    「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」
    日曜日午後、僕は彼女を待ちながら一週間分の日記を付けている。そこに突然の強風。彼女が牡蠣鍋の材料を持って登場する頃には風はすっかりやんでいたが、今日一日の出来事を忘れないように簡単なメモをとっておいた。
    (1)ローマ帝国の崩壊‥天気予報では今日は全盛期のローマ帝国のように平和な日曜日であるはずだった。
    (2)一八八一年のインディアン蜂起‥電話がかかってきたが、受話器から聞こえてくるのは「ゴオオオオオウ」という風音だけだった。一八八年のインディアン一斉蜂起のように受話器の中で荒れ狂っていた。
    (3)ヒットラーのポーランド侵入‥昨日観た「ソフィーの選択」の中でヒットラーがポーランドに侵入した。
    春樹先生、ホントに天才!

    「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
    その女から電話がかかってきたとき、僕は台所に立ってスパゲッティーをゆでているところだった。スパゲッティーはゆであがる寸前で、僕はFMラジオにあわせてロッシーニの『泥棒かささぎ』の序曲を口笛で吹いていた。スパゲッティーをゆであげるにはまず最高の音楽だった。
    ‥ザ・村上春樹じゃないか。この文体に多くの若者は心をわしずかみにされたのだ。
    野良猫の通り道だという少女の家の庭で、迷子の猫ワタナベノボルが現れるのを待つ。「ねじまき鳥クロニクル」につながる短編。

  • とても楽しかったけど、狂気的な話だなぁと思った。村上春樹っぽいなぁと思ってたら村上春樹だった。

  • 2022.11.12

  • 再読日 11111111 19960411

    何度も何度も読んでるが久しぶりに読み返してみて懐かしい。そして文体が十分に若い。ファミリーアフェアはある人を思い出させる。パン屋は改めて読むと無茶苦茶な話しだけど映画みたいで好きだな。ねじまき鳥はなるほど、物語の始まりの予兆含んでいる。ワタナベノボルは安西水丸の本名だっけか。 20091031

  • ずっと積読だったので。
    村上春樹さんの翻訳作品を読んだ後で、積読だった初期作品を読んでみました。
    デビュー当時かなりはまっていたのですが、今になって読んでみると、情報量が多い説明的なところや、繰り返される風景が少し懐かしいと共に、不条理な空気が濃密な感じが強すぎるのかなと思いました。

  • 兄と妹の短編が思いのほか良かった。

  • 村上作品を読むたびに
    絶妙な言い回しに舌つづみ

  • 初めて村上春樹の本を読んだ。
    好き嫌いが分かれる作者だと聞いていたが、自分はそんなに嫌いじゃなかった。
    読む前に友人に「冗長な表現が多くて焦ったい」「意味深な表現があって伏線かと思うと全くそうでなくて意味がわからない部分が多い」と聞いていた。
    実際に自分で読んでみたが、その辺りはあまり気にならなかった。そもそも小説って、シンプルなことをいかにごちゃごちゃこねくり回して表現しているかという部分を楽しむ部分だと思うし、その改修されない謎の表現もその一環で、文章を読むときの楽しさの1つだと感じる人間であることがこの本を読むことを通して分かった。
    また別の人には「性的な表現が多いから女性は嫌いな人が多い」と聞いていたが、これはどっこいどっこい。この場面の空気感は性的な表現を挟むことで生々しく伝わってきて効果的に使われているなと感じるところもあったし、「これいらんやろ」みたいに感じる部分もあった。
    (でもこれいらんやろということを言ってしまう、人物像ということなら効果的かもと書いていて思い出した)
    他の村上春樹の本も読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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