日経サイエンス2017年2月号

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  • 日本経済新聞出版社 (2016年12月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071150275

日経サイエンス2017年2月号の感想・レビュー・書評

  • 特集は「腸内細菌」。
    別の本(『マイクロバイオームの世界』)でも触れたが、ヒトには多くの微生物が棲んでいる。腸内に棲むものは、腸内細菌と呼ばれ、重さにすると1.5kgある。
    ヒトに有益かどうかで、いわゆる善玉菌、悪玉菌、日和見菌にざっくりとは分けられるが、状況次第で働きも変わる。
    本記事の執筆者は腸内細菌の研究者で「うんち博士」とも言われる辨野義己。腸内常在菌を遺伝子解析を用いて系統分類学的に研究しつつ、分離・培養が難しい菌の新たな培養法を確立しようとしている。
    記事の中心になっているのは、生活特性と腸内常在菌の関連である。3000人以上を対象に、喫煙・飲酒があるか、乳酸菌を摂取しているか、BMI(肥満度指数)が標準的であるか、野菜・海草・魚介類・納豆を多く摂取しているか、性別・年齢等を基準にして、8つの生活特性群に分ける。これらの間での腸内常在菌分布の違いを調べている。こうした試みから、加齢による変化、長寿者に特徴的な常在菌、肥満に特徴的な菌などを探ることが可能になる。将来的には、より多数の人を対象にしてデータベースを構築し、腸内常在菌をコントロールして肥満防止につなげるなど、予防医学への応用も可能になってくるかもしれない。
    これとは別に、腸内常在菌を持たない無菌マウスと通常菌叢マウスを用いた研究では、腸内代謝物と脳内代謝物の分布に大きな違いが見られたという。脳の健康や機能に、腸内細菌が関連している可能性も考えられている。
    将来性はあるが、まだまだ臨床に結びつけるにはデータを積む必要がありそう、というのが個人的感想である。
    腸内細菌に興味がある方は、記事中の半ページほどのQ&Aコラムだけでも立ち読みされるとおもしろいかもしれない。

    さて、次はちょっと怖いお話。「ごきぶりゾンビ 捕食寄生の神経科学」である。
    エメラルドゴキブリバチというハチがいる。青緑色の光沢を持つ体幹、足の付け根に赤い差し色と、鮮やかで美しい昆虫である。名前だけ聞くとゴキブリなのかハチなのか一瞬混乱しそうだが、「ゴキブリに寄生するエメラルド色のハチ」である。
    彼らは生きたゴキブリに卵を産み付けて、生まれてくる子の食べ物にする。このやり口が巧妙である。まずは最前列の脚の間に毒液を注入する。軽くジャブをかましてゴキブリを麻痺させた後、今度は神経節(脳に相当する部分)のある部位に正確に狙いを定める。
    神経節に毒を盛られた犠牲者は正気を失う。おそらく毒液中のドーパミンの作用で、身繕い行動を始めるのだ。ゴキブリがせっせと体をなめ回している間、ハチの方は巣を作りに出かける。子どもが羽化するまで安全に過ごせる穴を掘るのだ。30分ほど経って戻ると、体が清潔になったゴキブリがいる。ゴキブリは、毒液中のGABAやβアラニン、タウリンの作用により、その神経伝達機能が鈍化している。運動能力は残っているが、運動しようとする意志がなくなっているような状態である。体がずっと小さいハチが、ぼんやりしたゴキブリの触覚を手綱のようにして引っ張り、先ほど掘った穴まで誘導する。
    ハチは数ダースの卵をゴキブリに産み付け、巣に蓋をする。その後は、生まれ出た小さな子バチが生け贄を喰らう残虐劇が、暗い穴の中で静かに進行する。この種は蛹化も獲物の体内で行うため、ゴキブリの体を食い破って成虫が出てくることになる。
    獲物を生きたまま餌にする例は他にもあるが、この種に特徴的なのは、獲物の運動能力が残っていることである。まるで獲物が「ゾンビ化」したように見えるわけだ。
    小さな体のハチが大きいゴキブリを運ぶには、ゴキブリが動ける方がよかった、ということかもしれない。

    ・・・いや、なんか、生きていくって大変である・・・(^^;)。

  • 地球外生命探査の記事を読む。エンケラドスとエウロパ。観測も実験も確実に前進しているのだな。理論面がまだまだなのか。

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