真相 (双葉文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 横山さんの短編集。リアリティーがあって暗い。主人公は男ばかり。皆、心に闇を持っている。印象に残ったのは自分で自分の首をしめて自滅する「18番ホール」。部活での制裁シーンが酷すぎる「花輪の海」。短編でも隙がなく先へ先へ読み進めたくなる作品ばかりだった。

  • 犯人逮捕によって殺された息子の行状が暴かれる「真相」、村長選挙の候補者がかつて犯した殺人の発覚を恐れるて疑心暗鬼になる「18番ホール」、心が衰弱したリストラ中年がたどり着いた殺人事件の真相「不眠」、大学空手部の地獄の合宿で起こった死亡事故がもたらした消えない心の傷「花輪の海辺」、前科者夫婦が追い詰められる「他人の家」の五篇。

    いずれの作品にも、読んでいるうちに追い詰めらていくような圧迫感があって、あまり楽しめなかった。

  • 『真相』横山秀夫著
    犯人はだれ?という一般的な推理小説ではありません。
    予めほぼ見える形で短編が進行します。
    妙味は心理的描写です。
    一人一人の表情が手にとるように見えることです。
    どんな取材をもって執筆されたのか?
    改めて横山さんの活動に関心をもちました。
    #読書好きな人と繋がりたい

  • 重い。ひたすら重い。大好きな作家さんだが彼の作品は体力が無いと読めませんね。
    実生活で緊張の連続の生活、せめて読書ではあたたかい気持ちになりたい。
    もう若くないですね。

  • 犯人逮捕は事件の終わりではない。そこから始まるもうひとつのドラマがある。──息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔「真相」、選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければならない理由「18番ホール」など、事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。

  • 真相
    十余年知らなかった亡き息子の一面
    娘から突きつけられる息子の姿は知らないほうが良かったとも
    思えるくらいの真相、犯人が捕まらなければ知らずに済んだものだが
    それは皆が気づかぬうちに「跡取り」として作り上げてしまった「裸の王様」
     色んな面もあるが「息子」と「娘」を全てを内包してくれる奥さんは強い


    18番ホール
    順調に進むかに見えた選挙戦が、次第に追い込まれていき・・・
    ヒトが疑心暗鬼になり少しずづ壊れいくさまを読んでいて追体験して
    しまうくらいリアルな描写
    因果応報な結末だがあまりにも救われない。

    不眠
    息子の代わりに自ら自首したと信じたい

    花輪の海
    残っている皆で真相を語ろう
    一人でなければ、同期で助け合えば。

    他人の家
    きっと二人なら安寧な生活を手に入れられるだろう


    --------------------------

    「犯人逮捕は事件の終わりではない」
    平々凡々と暮らす身には、どの主人公の立場も辛すぎるが
    ページを捲る手は止まらなかった。怖いもの見たさもあるだろうが
    もしかしたら救われる未来もあるかも、と期待せずにいられない
     読んでいる最中のジリジリする閉塞感と読後の開放感を5回味わうと
    長編一作以上に満足できた。

  • 探偵小説には欠かせない「謎」と「真相」。事件の奥に隠された、人間の心理・心情を描いた5つの短編集。

  • 荒々しい部分が多いかな
    今はこういう男性は少ないかもしれないけど
    日本男児の性質を表している気がする



    面白かったのは、他人の家

  • ストーリーがあまりにもストーリーすぎて、心に入らない。
    リアリティとか感情移入とかの問題ではなく、自然に歩みだしたお話を、無理に捻じ曲げている感。
    例えば「18番ホール」。かつて人を殺した男が、その隠蔽を続けるため市長選に出るという話自体はいいが、最後に同じように人を轢き殺してしまうにいたって、オチがついてしまう。オチは明らかに人工物、拵えもの。途端興ざめである。下手な怪談話にも似ている。何もおこらなくても、もやもやして終わったほうがよっぽど効果は高いのに。
    あと、暗い。本当に暗い。事件そのものではなく、事件のもたらす余波とその決着を扱っているからやむを得ないのだが、この息苦しさに光はあるのだろうか。みながみな、苦しむ。そして、自分で向き合ったものは決着を付けられ、避けようとすれば苦しみがかさなる。
    衣装を変えているだけで、基本構造は同じである。一遍くらいは事件を振りきって生き続ける男の姿を描いてもよかった のではないか。

    とはいえ、いずれも事件の決着とは法的や理屈ではなく、「納得」である。ということがよくかけていて、そこはよかった。

  • めっちゃ、面白い。この筆者は長編しか読んだことがなかったが、短編、最高!
    グッとくる。無駄がない。
    解説にもあるが、犯人逮捕その後の話である。
    逮捕がゴールではなく、そこからが新たな小説の始まり。 
    小説の醍醐味を味わえた!

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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