アメリカの壁 小松左京e-booksセレクション【文春e-Books】 [Kindle]

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著者 : 小松左京
  • 文藝春秋 (2017年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (60ページ)

アメリカの壁 小松左京e-booksセレクション【文春e-Books】の感想・レビュー・書評

  • ときは冷戦時代。ベトナム戦争以降のアメリカは国外問題への関心を急速に失いつつあった。「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」というスローガンを掲げて当選した大統領は、国内問題には熱心だが、対外政策はどこか投げやり。

    そんなとき、アメリカは突然、出現した「壁」に囲まれ、外部との交通、通信が一切、遮断されてしまう。
    しかし、なぜか大規模なパニックは発生せず、「アメリカは生きつづけるだろう」と語る大統領のもと、アメリカ国民は意外に落ち着いていた。

    「どう考えたって・・・・・・これはおかしい」
    アメリカ国内に閉じ込められた日本人ライターは、そんな状況を不審に感じて調査を始める。

    「アメリカは、“外”の世界に、ひどくいやな形で傷つき、萎縮(シュリンク)しはじめた。そいつは認めるだろ? 今の大統領は、その方向をさらに強め、妙な具合にカーブさせた。彼は“幸福な新天地時代”のアメリカのノスタルジイに訴え、そこからの再出発を考えているみたいだった」
    「たしかにアメリカにとっては、“すてきな孤立”だ」

    そして男がたどりついた真相とは・・・・・・。

  • 1970年代に書かれた短編SFだが、現在のアメリカの状況に似ているということで話題になっている。確かに70年代当時は(いやトランプ大統領が出現するまでは)アメリカは世界の政治、経済の主導権を握り、グローバルな視点で政権を握る政党そして大統領は行動していた。ある意味、自国の不利になることでも世界的視野、長期的視野にたっていた部分も多々あっただろう。
    この小説は当時(70年代)のベトナム戦争による挫折のアメリカをどうやって復活させるか、大統領は「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」をスローガンに当選を果たす。自国のためだけに内向的に行動をおこし、そして・・・
    小説ではまさしくSFチックなことが起こるのだが、大統領の自国に対する理念は今のアメリカにそっくりである。当時はそんなことはあり得ないと思っていたことだ、だからSFとして成立した。いや私自身もトランプ大統領が登場するまではあり得ないと思っていた。しかし実際には起こってしまった。
    小松左京の現実を見すえ、人間の本音をSFとしてストーリーにしていくすごさを改めて知った。

  • トランプ大統領を予言しているような小松左京氏のSF小説があるとの記事を見かけたので、さっそく読んでみました。ヘンリー・パトリック・ジェームズ・モンローというとても象徴的な名前の大統領の時代に移動・通信が不可能な白い霧で囲まれて物理的に米国が孤立してしまう。この白い霧の秘密を嗅ぎつけた主人公(出張中の日本人)が、それを良しとしない友人(中国系米国人)に紹介されて白い霧を突破する飛行機乗ることになり、友人から事の真相を録音した日本製のテープレコーダーから受け取り乗り込むも、飛行機が操縦不能になった時に再生された友人からの最後の言葉は「さよなら」や「グッドバイ」ではなく「アデュー」との落ちが秀逸。

  • トランプ大統領がイスラム7国からの入国を遮断し、TPP離脱で経済的な鎖国の方向性に行く姿を見る今、この小説の「アメリカが外界から遮断される」というストーリーがすごく現実じみて見える。もちろんこちらはSFだし、超常現象の描写が出て来るので、現実とは全く違うのだけど、アメリカが世界から距離を置き孤立しようと考えた「理由」がとてもリアルだった。

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