シン・ゴジラ DVD2枚組

出演 : 長谷川博己  竹野内豊  石原さとみ 
  • 東宝
3.82
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104105059

感想・レビュー・書評

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  • 「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明による新しい「ゴジラ」ストーリーが誕生
    見どころ
    ゴジラが放つ想定外の攻撃に度肝を抜かれること必至。危機に直面した日本政府の対応が細かく描かれていて興味深い。映画に初登場する自衛隊の最新兵器も見逃せない。
    ストーリー
    東京湾アクアトンネルの崩落事故が発生。政府で原因を探る中、突如東京湾に現れた未知の超巨大生物・ゴジラが陸に上がって街を破壊。日本政府はゴジラへの対応を目的とした緊急対策本部を設置するが、後手後手の対応によって事態が悪化していく。
    ここがポイント!
    2016年第90回キネマ旬報日本映画ベスト・テン2位

    さすが庵野さんという内容の映画でした。ゴジラの映画でありながらタイトルはカタカナ表記であるけど、しっかりと新ゴジラ になっていると思います。そして、当作品を観終えるとおそらくほとんどの人がこれは、エヴァンゲリオンだと感じると思います。
    現れたのは使徒ではなくゴジラであり、そのゴジラと戦うのは日本に暮らす一般人です。「クローバーフィールド」という映画でゴジラのような怪獣がアメリカに現れて、立ち向かった軍隊も逃げ惑う一般人も一掃されてしまうという作品がありますが、今回シンゴジラで立ち向かった日本国民は、エヴァやイェーガーを持ち合わせていないにも関わらずあらゆる知識を駆使して現時点では目一杯という結果でゴジラを停止させます。
    あくまで停止ではあるのですが、銃火器は一切その身体を通さず、核ミサイルを撃ち込む以外にゴジラを破壊、抹消することはできません。この日本の国土に三度目となる核を落とすことは、日本人としてもアメリカとしても最も拒むべき選択肢であるので、多くの犠牲は払ったものの最良の結果であったと思います。
    この核融合をエネルギー源とし、熱放出と冷却を必要とする物体、ゴジラは原子力発電所に酷似した存在です。
    その、ゴジラが日本に上陸し都市機能を停止させそこに住む住人に多大なる犠牲を起こしたこの構図は完全に東日本大震災における福島原発のメタファーです。
    冷却手段を失ってしまった原発がメルトダウンを起こす恐怖を日本の首都で起こしているのがゴジラであり、その際にどれだけの人間が国の中枢でどのように考えを至らせ、会議し、まとめ、発していたのかという事がざっくりとではありますが分かると思います。この作品の面白いところは、誰もが突如、東京に上陸したゴジラに対して驚きの演技をしないという所です。通常の怪獣映画は、現れた怪獣に対して見たこともない、途轍もない未曾有の化け物が現れてしまった、という演技を見せます。これから、アイツはこういうアクションで人々を殺戮するのだという説明的な演技をするはずなのですが、ほとんど全員が無表情でこれから起こりうるリスクと対策方法を自身の立場で取れる範囲の中でひたすら語り続けるシーンばかりで構成されています。政治家や官僚が登場人物の中心であることも理由かもしれませんが、一般人がただ、ゴジラの恐怖を語るシーンもほとんどない事から、生物としてのゴジラの機能や恐怖の能力がこの物語で取り扱う問題ではないからではないかなと思います。「ヤシオリ」作戦で血液凝固剤をゴジラの口に流し込む様は福島原発でヘリコプターからの冷却水を放水していた作戦を想起せずにはおられないようなシーンでした。矢口さんが作戦決行前に、命が無事であるかどうかわからないような危険な作戦であるが、どうか力を貸してほしいと演説をしますが自衛官の方が冷却水放水作戦の前に隊員に語った言葉そのものだと思います。
    クライマックスにおける、「日本は必ず復興する」「ゴジラとは共存していくしかない」という部分はかなり強いメッセージだと思います。
    作品にはそういったメッセージ性を込めた内容であるような部分も感じましたが、怪獣映画として物語自体かなりおもしろかったです。とにかくゴジラの最終形態での拡散粒子砲のような攻撃シーンはど迫力でした。
    庵野監督は実写でもアニメのようなルックを作ってくるすごい監督だなと思いましたが、考えてみるとこれはアニメなのだなと思います。実写というのは役者の演技や後ろの背景を自然のままカメラの中に収めていくものですがコンピュータグラフィックスで多くのシーンを自然のものから加工してかっこよく仕上げてコントロールしているので、そのままアニメとして作っているんだなと思いました。
    庵野監督の作る世界観が幾分なく発揮されたいい作品だと思います。

  • 庵野さんの作ったゴジラ。
    エンターテイメント作品として楽しめました。

    日本人が未確認の脅威にどのように向かうかという設定に対する映画。

    前半の非常事態に関わらず会議を繰り返すバカバカしさにリアリティを感じ、またその危うさにハラハラし、途中の米軍の攻撃によるゴジラの東京の破壊にカタルシスを感じるという、起承転までは完ぺきな進み方。

    結のために、物語を収束させるために、正しい人たちが登場する必要があるのだが、ここら辺から物語が小さくなっていくような気がして、せっかくの破格の存在のゴジラが、日本の政治の話の小道具になってしまうことである意味淡々と後半は観ました。

    物語として、スクラップ&ビルドのビルド部分はこれからなのだろうが、スクラップぶりがなんだか中途半端というか。ゴジラを淡々と現象としてとらえる部分が新しいところでもあり狙いなのだと思うが、その現象に対して人間たちがひたすら恐怖を感じたり、憎しみを感じたりする部分お少し陰影として含めたほうが良かったではとも思う。(それこそ中途半端になってしまうのかな。。。)

    アメリカに激怒するよりも、ゴジラ自体にいいようのない怒りを感じるのではないか。登場人物たちがストーリーに寄り添って行儀よく動いている印象。

    そういう意味では、石原さとみの全くアメリカを感じさせない演技が、そもそもの意図からかなり外れていて、すごい存在感だったともいえる。ストーリーに対してある程度違和感をかんじさせるようなエッジがたっていたような。(本人の狙いではないと思いますが)

    あとは、日本にとっての世界がアメリカ、フランス、中国、ロシアくらい出てくれば良いようなストーリーとなっているが、この構図が若干世界のストーリーとなる上では古臭い気もした。せっかくのグローバリズムな時代にもう少し広がりがあるような物語にできると面白かったのでは。

    とはいえ、映画の面白さというか詳細のこだわりなど、何度か観てもまた趣深い映画ではないかと思う。たくさんの観客を捉えられる点が素晴らしい。

  • 東京湾羽田沖で、漂流中のプレジャーボートが発見される。
    生存者は確認されず、残されたのは僅かな遺留品だけであった。
    その時、海面が変色すると同時に激しい揺れが発生、大量の水蒸気が噴出する。
    直下の東京湾アクアラインの海底トンネルにて崩落事故が発生し、数台の車が巻き込まれる。
    これを受け、大河内清次内閣総理大臣以下、閣僚と関連省庁関係者が招集され、緊急会議が開かれる。
    会議参加者の多くは「事故の原因は海底火山の噴火か熱水の噴出によるもの」との仮説を支持し、その方向で対応を協議しようとする。
    しかし矢口蘭堂内閣官房副長官(長谷川博己)はこの仮説に疑問を呈したうえで、「海底に未知の巨大生物が潜んでいるのではないか」と主張。
    赤坂秀樹総理大臣補佐官(竹之内豊)らはそんなものがいるはずはないと矢口の主張を一笑に付すが、その直後、足の生えたオタマジャクシに似た巨大生物が海面に浮上し、陸地に向けて移動を開始する。
    想定外の事態に混乱する日本政府は有効な対策を打ち出せない。
    矢口はそうこうする内に巨大生物は東京湾から呑川に入って遡上、さらに水中生物だと思われた怪物は大田区の蒲田に上陸し、地面を這いながら内陸に侵攻する。
    やがて巨大生物は市街地に突入、建物が破壊され、市民に犠牲者が続出する。
    今まで決断を先延ばしにしていた大河内総理(大杉漣)も、花森麗子防衛大臣(余貴美子)に促されて「巨大生物の駆除」を自衛隊に命令し、対戦車ヘリコプターの編隊が飛び立つ。
    しかし攻撃が始まる直前、巨大生物の外見に不気味な変化が起き、巨大生物は立ち上がろうとする動きを見せる。
    自衛隊は攻撃を行おうとするが近隣住民の避難が完全に行われておらず、攻撃は中止され、その隙に巨大生物は海に戻っていく。
    海上自衛隊が捜索を行うが巨大生物の位置はつかめず、矢口率いる対策チームの調べで巨大生物はまだ進化する兆候を見せていることが分かる。
    その巨大さからどうやってエネルギーを得ているのかという疑問に対して巨大生物の通った個所の放射線量が増加していることから核物質による核分裂をエネルギーにしているという推測がなされ、海に戻ったのは自身を冷却するためであるという仮説がなされる。
    事後処理に追われる官邸一同だったが、そこに米国大統領特使である日系アメリカ人のカヨコ(石原さとみ)が来日し、ある生物学者を捜索してほしいという依頼をする。
    牧教授は、物語冒頭に発見されたプレジャーボートの持ち主であった。
    彼は古代生物の研究を行っており、米国ではその生物がかつて海底に破棄した核廃棄物を吸収して進化していった生物であるという見立てを行っていた。
    ゴジラの放つ放射性物質は未知のものであり、米国はその新たなエネルギーとなりえる特性を持つ生物に目をつけていたのである。
    学者は故郷であるの伝説の海神「呉爾羅」とそれを呼称していたことから以後、政府は巨大生物を「ゴジラ」と呼称するようになる。
    政府がゴジラの再上陸に備えての法整備と自衛隊による迎撃の作戦を練る一方、矢口の率いる対策チームは学者の残した資料からゴジラに対する対抗策を模索していたが難航していた。
    そうしているうちにゴジラは鎌倉沿岸に出現し、再上陸を行う。
    ゴジラは当初より2倍近い体長に成長し、完全な2足歩行を行っていた。
    再び首都に向かうゴジラに対して自衛隊は防衛ラインを張り、対戦車ヘリコプター、戦車、自走砲、戦闘機などを繰り出してゴジラを攻撃する「タバ作戦」を実行するがゴジラは進化によって強靭な体皮を備え、自衛隊の砲弾や爆撃を受けてもまともな傷すら負わせることができず、阻止に失敗する。
    政府は日米安保条約に基づき、米国の支援を受けることを決める。
    すでに米国はゴジラの攻撃を決めており、地中貫通爆弾を装備した、ステルス爆撃機3機が出撃する。
    ゴジラの予測進路が官邸を通っていたことから首相をはじめとした官邸閣僚はヘリコプターによる避難の準備を始め、矢口らも陸路で立川の臨時官邸施設に向かおうとする。
    そんな中、米国のステルス爆撃機はゴジラへ爆撃を行い、地中貫通爆弾の直撃によってついにゴジラに傷を負わせることに成功する。
    このまま、爆撃によってゴジラを倒せるかと思わせた矢先、ゴジラの体が紫色の発光をはじめ、口からすさまじい火炎を吐き出し始める。
    その口から放たれる火炎が次第に収束、紫に変色し強力な熱線砲と化してステルス爆撃機の1機を撃墜。
    さらに再攻撃を行おうとする2機に対しては背びれから多数の熱線が放射され、瞬く間に撃墜されてしまう。
    ゴジラは熱線を周囲に乱射し、東京の3区画が火の海と化した上で重度の放射能汚染がされてしまい、ヘリコプターで脱出しようとしていた首相を含めた官邸閣僚も熱線に巻き込まれて多数が死亡。
    熱線を吐き終えたゴジラは、そのまま眠るようにその場で活動を停止した。
    生き残った里見農林水産大臣が首相に就任し、立川を拠点に新たな内閣を立ち上げて政治的空白を開けないように尽力。
    ゴジラはエネルギーの消費で休眠状態にあるが、レーダーのような器官をもっているのでもし航空機が接近すると熱線を放って即座に撃墜されてしまうことがわかる。
    更に科学者の見立てで、ゴジラが活動を再開するのに15日という時間しかないことも判明する。
    矢口ら対策チームの力によってゴジラに血液凝固を促す薬剤を注入して停止させるプランが出来上がりつつあったが、米国、並びに国連はゴジラに対して再活動の前に核兵器を用いてせん滅しようとする。
    もし核兵器が使われれば東京は壊滅状態の3区だけでなく、23区全域や他県にまで被害が及び、数十年にわたって復興ができなくなる。
    国連が定めた核攻撃のカウントダウンが始まる中、矢口はそれを阻止するべく、リミット前に血液凝固剤を利用したゴジラ打倒の「ヤシオリ作戦」を実行するため奔走する。
    かつて広島の原爆で被爆した祖母を先祖に持つカヨコの協力と外交ルートを通しての内閣の海外への説得工作もあり、「ヤシオリ作戦」は自衛隊、米軍の協力を得たうえで実行される。
    はたして核攻撃の前に、ヤシオリ作戦は成功する
    総監督・脚本は庵野秀明、監督・特技監督は樋口真嗣、主演は長谷川博己。
    今回のシン・ゴジラは、よりリアリティを突き詰めていて、平成ガメラや平成ゴジラシリーズでもあったゴジラが日本を攻撃した時にどのような作戦をとり武器を使うかというシュミレーションだけでなく、ゴジラの攻撃に立ち向かう目的を領海から追い出すだけなのか捕獲するのか駆除するのか決めなければならないこと、ゴジラに攻撃するために市民の安全のために住民の避難と受け入れ先をどうするか、ゴジラへの攻撃に必要な関係法の制定にまで踏み込み、いままでのゴジラ映画になかった総理や官僚のゴジラが人間に攻撃するという不測の事態に対して後手に回ったり責任逃れしたり管轄争いがあったりの対策会議でのブラックユーモア溢れる描写、あくまでも国民の生命を優先する矢口と現実的な考え方で動く赤坂の絶妙なコンビぶり、日本人の祖母が原爆の被害者であることから日本への3度目の被爆を防ぐためにゴジラ討伐に協力するカヨコの想い、矢口と共に国民の生命を守るためゴジラを倒すためにゴジラの弱点などを研究し秘密兵器を開発する巨大生物災害本部の尾藤ヒロミ(市川実日子)や間邦夫(塚本晋也)や安田龍彦(高橋一生)たちの不眠不休の苦闘、ゴジラの恐ろしさや不気味さを強調しつつゴジラの足元で逃げる市民の恐怖やゴジラと自衛隊の死闘や破壊されたビルの細かい描写をスマホのカメラやハンディカメラの映像を交えて生々しく描き、災害などの危機がある度に団結して立ち上がってきた日本人に対するエールを込めた熱いメッセージ性のある優れたストーリー、ゴジラシリーズ最高傑作です。
    「諦めず最後までこの国を見捨てずにやろう!」

  • ゴジラが現れたときの、政府や自衛隊の動きを現実的に描いたパニック映画。
    ウルトラ警備隊も秘密兵器も一切なし。SFなのはゴジラだけ。
    ゴジラの登場は約99回、計947秒。
    映画本編113分53秒のうち、15分47秒に過ぎない。
    残りの約100分は人間達の物語。

    未曾有の大災害に見舞われ、成す術もなく巻き込まれていく人々。
    想定内の議論しかできない有識者や、根拠の無い楽観論しかしない政治家。
    米国始め国連の内政干渉や縦割組織の弊害を乗り越えつつ、
    自衛隊、警察、地方行政区、マスコミなどの協力を得て、
    ゴジラ駆除に奔走する政府高官達の活躍を描く。
    ただ、人からしてみたら大変困った話だけど、
    ゴジラは歩いてるだけなんだけどね。光線吐いたのだって正当防衛だからね。

    ゴジラの登場割合は少ないけど、インパクトは絶大。
    四足歩行するときに揺れるエラからバッチャバッチャこぼれる赤い液体や、目がテンの目玉。
    二足歩行に進化したときの圧倒的なデカさ!
    縦横に大きく開けた口から吐く息が段々高温になって炎になり、さらに熱があがって放射光線になる件。
    最後シッポの先についてたのは、ありゃミニラかな?

    それからなんといっても音楽がいいね。昔のゴジラの音楽。
    キングコング対ゴジラ「バー、バ、バ、バ、バー、ババー」
    メカゴジラの逆襲「ダダダ、ダダダ、ダダダダダダダダダ、ダダダ」
    宇宙大戦争「パパパパ、パー、パ、パー、パ、パーパパ、パパパ」
    「三大怪獣地球最後の決戦」「怪獣大戦争」「ゴジラVSメカゴジラ」
    「チャラララー、チャララ、チャラララー」
    タイトルと「終」のロゴもいいけど、音楽が怪獣映画らしさを一身に背負っているといっても過言ではありません。

    新ゴジラ?真ゴジラ?
    なんだかんだでゴジラの魅力が十二分に発揮された映画でした。

  • 劇場で鑑賞。
    某レビューサイトでの評価が結構高かったので観て来ました。
    面白かったです。
    一番最初に思ったのは、皆さん早口で噛まずに喋るの大変やな~でしたw
    それとテロップが出まくりで誰が誰だか頭が追いつかない(汗)
    ですが庵野節と言いますか、所々テロップもそうですがカット割りとか映像も楽しめました。
    「エヴァ」の曲を5.6回使っているのはどうかと思いましたが合ってたのでまあ悪くはなかったかな。
    あとはゴジラですね~。本当に凄かったです。
    背びれからも光線出してくるし、口からはものごっついの出すわで、ちょっと一瞬巨神兵浮かびましたが無敵すぎるゴジラにどう立ち向かうのか普通に応援してました。
    本当に映像は凄くて日本もやるやん!!(何様)って何度も思うぐらい、それぐらい迫力ある映像で観に行って良かったです。

  • 現代日本に本物のゴジラが現れたらどうなるのか?
    日本の政治を通して語られる本作品。
     
    ここ最近、国内で頻発している『未曽有の天災』。
    3.11のとき、突然日本を襲った巨大地震、津波、そしてメルトダウン……
     
    そのときの首相を『無能』と罵るのは簡単だけれども、じゃあ他の人だったらあの危機をもっと適切に乗り越えられていたのか?
     
    全員避難と叫んでも、避難できない人がいる。
    移動も困難な老人を担いでゴジラが来てからようやく移動を始める人。
    台風だから電車を計画運休するよ、事前にアナウンスしてるのに帰れなくなる人たち。
    ゴジラが近くに到達してからパニック的に電車に飛び乗ろうとする人々。
     
    現実の光景と、映画の中の光景がシンクロする。
    未曽有の危機にどういう決断をしていかなくてはいけないか。
    この映画が教えてくれている気がします。
     
    改めて、非常品袋の中身を確認しなきゃ、と思った次第です。

  • 地上波放映されたので久しぶりに観ました。劇場で2回観て、地上波で以前観たような観なかったような、なので観るのは3〜4回目ぐらい。当然のように大好きな映画ですよ。

    水道橋博士が『アウトレイジ』1の時に、たけしに対して「殿!大人になった!」っつって肩を抱いたらしいんだけど笑、なんかそれに近い感じがする。「庵野監督!大人になった!」って肩抱きたいって俺も思うもん笑。

    たぶん、この映画を観て8割ぐらいの方が「面白かった!」って思うんじゃないですかね。もはやあんまり語ることもないですが、面白かったって思った人向けのレビューを書きたいと思います。面白くなかった人はどうでもいいです。

    私ごときが今さらですが、『シン・ゴジラ』をより楽しむためのお薦め映画を優先順に書くと

    『日本のいちばん長い日』(1967年版)
    『日本沈没』(1973年版)
    『帰ってきたウルトラマン』の第5話『二大怪獣 東京を襲撃』第6話『決戦!怪獣対マット』の前後編(グドンとツインテールの回)

    たぶん最低限この3本だけ観ておけば間違いないんじゃないかなーと思う。タランティーノ作品と同じで、「観てないと楽しめないってことは全然ない!」ですが、観ておくと「あっ、これはそういう意味だったのか!!」ってかなり理解できると思うんですよね。

    というか、この3本はほぼまんまなので。「心象風景がチープ」みたいなこと言ってる人いたけど、いやそれ心象風景とかじゃなくてただのオマージュだから!!w
    この映画に限らずですが、disってるくせに認識がおかしいとか、よく知らずにdisるのはどうかと思う。

    あとは細かい点なので重要度は低いですが
    『ゴジラvsビオランテ』
    (と、『帰りマン』の34話)
    『新幹線大爆破』
    とかかな…。
    あ、劇場版『パトレイバー』とかもか。
    あとは思い出せません!笑

    特に『日本沈没』の丹波哲郎と、『シン・ゴジラ』の大杉漣を比較するとかなり面白いです。私自身、『日本沈没』はだいぶ経って、『シン・ゴジラ』とは全く関係なく最近観たんですけどね。


    なんで私が、いや私たちがこれだけ『シン・ゴジラ』を好きなのかというと。84年の復活『ゴジラ』以降って、ちゃんと良いゴジラ映画ってほとんどなかったからなんですよ。
    2000年代だと金子監督の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』はけっこう好きな人多いんですけど、たぶんほとんどダメだと思う。
    2014年のギャレゴジは賛否両論でしたが、私は「否」の方でしたし。

    『ヱヴァQ』は逆に、私は「賛」なんだけども、これは否定派の方が多いし、樋口監督に対しては「監督せずに特技監督だけやった方が良いものできる」って認識です。『進撃の巨人』とか。
    だから、『シン・ゴジラ』って公開前は不安要素しかなかったんです。それが蓋を開けてみたらすごく良い作品でしたね。


    そういえば、カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)と尾頭ヒロミ(俺の市川実日子)のカヨコ&ヒロミって『ハッピーマニア』だそうで。
    「フクちゃ〜〜ん!!」だね!懐かしい!稲森いずみ&藤原紀香のやつ観てた観てた!石原さとみ&市川実日子の『ハッピーマニア』観てぇなあ!!
    と一瞬思ったけど、あぁ普通に『アンナチュラル』があったわw

  •  立川シネマシティの「極上爆音上映」にて『シン・ゴジラ』を観た。

     おもに聴覚障害者を想定した「日本語字幕付き上映」の回を、あえてチョイス。「早口のセリフが多くて、聞き取りにくい」と聞いていたので。
     たしかに全体に早口、しかも自衛隊用語などのジャーゴンがバンバン出てきて、セリフの中の情報量がすごいので、字幕付きでなければ意味のわからない言葉がたくさんあっただろう。

     微塵も子供向けではない、骨太な政治/軍事ドラマであった。ゴジラという存在だけがアンリアルで、それ以外は徹頭徹尾リアルな、「2010年代日本」の物語だ。

     『シン・ゴジラ』を初代『ゴジラ』(1954年)と比較して論じていた人が多かったので、これまで観たことがなかった初代『ゴジラ』も、前準備として映像配信で観ておいた。
     なるほど、初代『ゴジラ』もまったく子供向けではなく、1950年代半ばの日本の現実を忠実に反映した映画であり、その点で『シン・ゴジラ』と比較されてしかるべきなのだな。

     凡庸な監督が作っていたら、この『シン・ゴジラ』に主要キャラの恋愛要素とか、湿っぽい親子の情愛描写とかをからめていただろう。また、ゴジラに都民が殺される描写(たくさんある)の中に、母親を殺された子供が「おかあさ~ん!」と泣き叫ぶカットとかを入れてきたと思う。
     だが、本作にそういうベタな描写は一切なし。官僚・政治家・自衛隊員・学者etc.の生々しいやりとりで物語が駆動されていく、ドライでハードな映画なのだ。

     それでいて、怪獣映画としての迫力も申し分ない。自衛隊の総力を尽くしたゴジラ攻撃シーンの、圧倒的重量感! 東京が焼け野原と化す終盤の、すさまじい破壊描写!
     また、前半にはニヤリとさせる大人のユーモアがちりばめられており、けっこう笑える。
     
     評判どおりの傑作だった。欠点が見当たらない。
     映画館で観ることをオススメする。できれば、ぜひ立川シネマシティの「極爆」で……。立川は物語後半の重要な舞台となるから、一種特別な感慨が味わえると思う。

  • リバイバル上映にて劇場で見ました。

    ここ数年では、エンターテイメント作品の傑作だと思います(ただし、映画館のような大きなスクリーンでみた場合です)。

    シン・ゴジラを見ながら、10年以上前に見た「宣戦布告」と「東京原発」という映画を思い出しました。
    前者は、日本の北陸海岸に某国の特殊工作員が侵入し、この国の危機管理能力の脆弱さを露呈させるストーリーになっておりました。
    一方、後者は役所広司扮する東京都知事が都庁の横に原子力発電所の建設計画をぶち上げ、原発の是非を問いながらその正当性や矛盾点を露にしていくというエンターテイメント映画でした。

    私的には、どちらの映画も楽しくて、好きな映画なのですが、あまり話題にならなかったようです。
    それは、扱うテーマが我が国にとってナイーブ過ぎたので敬遠された、というのもありますが、映画自体の持つコンテンツ力が弱く世間への波及力が弱かったのかな、と思うのです。

    シン・ゴジラは先の映画の「日本の危機管理能力」や「原子力」という我が国のタブーを(メタファー)に扱いながら、「ゴジラ」や「庵野監督」というコンテンツ力を十分に発揮した結果、ここまでのメガヒットに繋がったのでしょう。

    なりより、シン・ゴジラはエンターテインメント作品としてはかなりのレベルにあると思います。
    「伝えたいこと」×「伝える力」×「熱量」
    それぞれが高いレベルで装備された映画だと思います。

    日本の危機管理はこう(不十分)あって欲しい
    かの国(米国)はこう(傲慢)あって欲しい
    自衛隊はこう(本当は優秀)あって欲しい
    対策チームはこう(変わり者だけど本当の力はある集団)あって欲しい
    また、ゴジラの倒し方

    などなど、プロトタイプかつご都合主義で話は進んでいきますが、それでいいんです!
    それを見せきれる力量ってすごいと思います。

  • ゴジラという時点で特撮物の子供向けの夏休み映画的なものを想定していたので、最初から見る気があまりなかった…。

    バカだった。なんでもっと早く見なかったんだろう。子供向け?いや全く。完全に大人向け。そして何たる痛烈な皮肉と批判をぶつけているのか。

    ヒーローがいない、実に日本的な感じもいい。わたしのあまり好きでないアメコミヒーローとか、「地球のピンチは俺が救う」みたいなカリスマ的存在がいるんじゃなくて、市井の人が責務を持って自分のなすべきことを行って、それが最大のパフォーマンスを上げる。群れで戦うという今まで見たことないような(わたしはあんまりそういう系の映画を見ないというのもあるけども)タイプの戦い方というか。しかも正直勝った負けたの歯切れの良い終わり方なんてハナからないという。いや、言葉が足らないな。大企業を相手取った中小企業の戦いとか、歴史的な内容の戦いという文脈じゃなくて、エヴァンゲリオンというヒーローものの代表作のある監督が、現代を場面に特撮映画の中でそれをぶち込んできたんだということに衝撃を受けた。こんな挑戦的なことをしたくれるんだって、心底感動した。

    日本のアニメのヒーロー像って、ェヴァンゲリオン然り「純粋無垢な少年が正しい選択をしているのか悩みながら悪と戦う」的な感じのイメージがあるのだけど、現実を見ると、日本ってヒーローのいない国で、でもそれは、トップダウンで人が動くんじゃない、日本独自の網目のように張り巡らされたネットワークのシステムがあるからなんだよね。私もっとそこの価値に日本人は自覚的になるべきだと思う。それを突き付けられた感が半端ないです。

    格好いい…映画でした。

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