水鏡推理6 クロノスタシス (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.93
  • (4)
  • (6)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 58
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (298ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 水鏡瑞希シリーズ第六弾。
    まず驚くのは、今回も前作からのスパンが2ヶ月しか空いていな
    いこと。このペースでリリースされたら今年中に余裕で10巻を
    超えることになる。すげぇな、松岡圭祐(^^;)。

    前作で「研究公正推進室」という短めの名称の部署(^^;)に異動
    と相成った主人公・水鏡瑞希さんが今回ターゲットにするのは
    なんと「過労死」。

    過労死や過労が原因の自殺を未然に防ぐため、過労のリスクを
    数値化して予防できる、という最新技術が研究公正推進室に提
    出された。総合職・官僚の須藤と共に最終評価報告書の作成を
    任された水鏡は、自殺した財務省の若手官僚にまつわる実例を
    徹底的に探ろうとする。ところがいろいろなところから圧力が
    かかってしまい・・・という内容。

    水鏡推理は1から6まで全てを読んできたが、今回のエピソーは
    これまででいちばん解りやすい。過労死は一般的な日本人にと
    って非常に身近なテーマであり、誰にでもそうなる可能性があ
    る。今作では専門用語が殆ど出てこないのだが、このテーマに
    はきっと必要が無かったのだと思う。小難しい技術を解った気
    になれる、というのがこの作品の魅力の一つだったのは間違い
    ないが、それを補ってあまりある緊迫感に包まれた意欲作。
    そして問題作でもある。

    僕らのわりと近くで実際に起こった「過労が原因の自殺」は、
    今も騒動が収まらないまま。アレに関しては本当は言いたいこ
    とが山のようにあるのだが、少なくともこの作品に登場する技
    術が稼働していれば、防げたことなのかもしれない。フィクシ
    ョンなのが本当に残念。

    意外すぎて絶句する程のラスト、それでも強引では無い腑に落
    ちる展開は、単なるミステリー作品として読んでもかなりの水
    準。シリーズ最高傑作、で良いと思います。

    手が早く、いつでも量産体制なのにもかかわらず、「質」が絶
    対おろそかになっていない松岡圭祐を心からリスペクト。でも、
    休めるときは休んでください。
    今後松岡作品が読めなくなっちゃったら大ごとなので。

  • 働き出して、3つ目で読んだ記憶があるようなないような。
    心が追い詰められてる時に読んだから、内容もグッときた覚えがある。

  • 今までの水鏡推理の中で、一番良かった。
    まさかそういうことだったとは、いい意味で騙された。
    過労死の問題は、一生懸命真面目に仕事をしている人に無自覚のうちにふりかかってくる問題だからやっかいで、そうなる前に周りが気づいて本人を休ませないと、最悪な事態を引き起こしてしまう。
    過労死バイオマーカーのように自分が過労なのか、証明できる方法があればいいのにと思ってしまう。

    瑞希のこれからをもっと知りたいし、続きが出たらまた読みたいと思う。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松岡圭祐の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×