最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫) [Kindle]

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  • 末期患者に希望を抱かせ過酷な延命治療を施すことを否定する(積極的に死を受け入れさせ穏やかな最後を迎えさせる方針の)桐子医師と、奇跡を信じて最後まで延命治療に邁進する凄腕外科医、福原医師の確執を描いた医療小説。

    「自ら死を受け入れることができた時、人は死に勝利したと言えませんか」、「「死に振り回されると、往々にして生き方を失います。生き方を失った生は、死に等しいのではないでしょうか。逆に、生き方を維持して死ぬことは、生に等しいとは言えないでしょうか」(桐子)

    この両極端な二人と、中庸を行く音山医師の三人は大学の同期で、今は同じ病院の勤務(ただし、福原は院長の息子で副院長・外科部長の権力者)。

    第一章は、急性骨性白血病患者の死。密かに面談した桐子医師の勧めで延命治療を拒否し、退院した患者(退院後直後に死亡)。徹底した治療を選択したが、骨髄移植が叶わず、臍帯血移植後にGVHDを発症し多臓器不全で亡くなった患者。桐子と福原は、患者の治療方針を巡り悉く対立する。

    第二章は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹った医学部一年生の患者の早すぎる死。患者を最後まで看とった音山医師は、「桐山でも福原でもなく、音山という医者にだけできること」に気づかされる。曰く、「二人は強過ぎる。人としてその身に備えた何かが強過ぎて、弱い、苦しんでいる誰かの心に噛み合わない」、「患者と一緒に迷い、悩む。答えが出せないとしても、その苦しさを分かち合う。それでよかったのだ」。

    第三章は、悪性腫瘍、下咽頭癌に罹った音山医師の死。遠隔転移していて手術できない状況に。余命僅かな祖母に声を聞かせ続けるため、根本治療を拒否し、喉の腫瘍の切除を希望する音山。治療方針を巡り対立する桐子と福原と、二人を和解させたい音山、三人の葛藤を描く。

    全体的に、漫画チックな設定に強い違和感を感じた。倉庫部屋に押しやられながらも、主治医に内緒で患者とゲリラ面談し、治療方針に影響を与えてしまう医師(しかも、医学部卒業後6年の若手皮膚科医が様々な難病の治療方針に口を出せる実力を備えてた医師)なんて、存在し得るのだろうか??

    第一章と第三章は、この設定が前面に出ていて、現実離れしたチープなストーリーという印象だった。一方、第二章は良かった。死を受け入れた患者、川澄まりえの凛とした美しさ、まりえを支える両親や音山の心情に感動を覚えた。

    やはり病院ものは、医師免許を持つ作家の作品でないと深みが出ないんだなあ、と思いつつ、続編も読んでみようかな。

  • Kindle Unlimitedで『感動小説』の売り出しが気になって読んでみました。うーん、何となく漂うキャラ小説感とご都合主義的キャラの配置がなんとも……。音山先生、絶対このためにいたじゃん的な……。「もし自分が遺された家族だったら、もしくは患者本人だったらどうするか」みたいな部分で考えさせられる物語ではあったし、まりえの両親の「生きていてくれるだけでいいのに」にはちょっとうるっときたので星は3にしておきます。でも再読&続編はいいかなって感じ。

  • 大事な人だからこそ、真剣にその死に向き合うべきだと思う。。
    桐子の言葉に賛同したい部分と抗いたいオレがいた。。
    マウスピースを噛ませて鼻孔にいれる医療は本当にあるのか??専門家に聞きたい。。

  • 会社員の死により桐子の死神と呼ばれる所以がわかり、大学生の死により音山が目指すべき7十字病院の医療体制に気づき、医者の死により福山と桐子の協力体制が築かれる。ベルトコンベアに乗るかのようにいつかは治ると希望をもたされ延命措置を続けていくよりも、いつか終わるまでを充実した日々にすべきという考えをもつ桐子。いざ自分や自分の家族がこの境遇に陥ったときどういった行動をとるのかわからない。ただ死を前よりは身近に感じられるようになった。生きているのとが当たり前という考えは捨て、日々いつ死ぬかわからないといった考えで悔いのない人生を歩んでいくべきと小説から再認識させられた。

  • 面白くなかったわけではないけどあまりにリアリティのない話しで、イマイチだなぁって思ってしまった。
    登場人物に現実味が全然ない。
    特に、神宮寺さんの、福原に言った「運が強い〜」みたいな発言は医療に携わる人間がこんな発言するか?って思った。

    でも映画化とかしやすそうなストーリーだし、そのうち映像化しそう。

  • 海外旅行での飛行機の中で読んだもの。
    ストレスなくサラサラと軽く読めました。
    特別面白くもないけどつまらなくもない、飛行機の中で読むにはちょうど良いものでした。
    普段本を読む習慣のない人にはいいかも。ちょっとマンガっぽいし。

  • 死について考えた。両者とも医者だった。

  • 前半の2話はとても良かったが、最後の「医師の死」に関してだけは「いやそうはならんやろ」としか思えなかった。副院長だとしても患者の望む医療を拒否し、あまつさえ病室から追い出すなどむしろ副院長側が懲戒免職モノだろう。医師法違反では?
    ドラマ性を持たせたかったんだろうけど、政治家の手術を蹴ってまで友達の手術を選択する、それは確かにドラマではあるけれども実際に行うべき選択では無い。医師のくせにそんな馬鹿な選択肢とることある?と思えて、疑問でしか無かった。

  • 感想は下の方で

  • わかりやすいキャラクターと少なさから難なく読めた。親や子に対しては長く生きて欲しいと願ってしまうけど、自身が死に直面した病気になった時に踠きながら生きるかと言われたら現状はそうとは言い切れないなと思い、他人に求めるのはエゴだなと考えさせられた。

著者プロフィール

1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。著書は他に「!」「!!」「!!!」「!!!!」「暗黒学校」「最悪彼氏」(ここまですべてアルファポリス)、「占い処・陽仙堂の統計科学」(角川書店)、「一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」(幻冬舎)などがある。

「2016年 『殺人鬼狩り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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