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- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988003843380
感想・レビュー・書評
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TVにて
樹木希林の存在感.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
井上靖が母親の老年・晩年を描いた、同名の自伝的小説の映画化(原田眞人が脚本・監督)。世田谷区にあった井上邸が撮影に使われているなど、井上靖記念文化財団が全面協力している(ただし、主人公の小説家の名は「伊上洪作」となっている)。
老いた母と息子の小説家を中心とした、家族のクロニクルである。オープニング曲はバッハのヴァイオリン協奏曲。そのことが象徴するように、地味で静謐で、上品な印象の映画。
四季折々の日本の風景が、すこぶる美しく描かれている。撮影も照明も秀逸だ。日本よりも海外で高い評価を得たのも納得で、「外国人が求める日本映画そのもの」という感じ。
母の認知症がしだいに進行していく様子が、つぶさに描かれる(母役の樹木希林が熱演)。そのことが「適量の毒」となり、絶妙なスパイスの役割を果たしている。
たんなる「お上品な文芸映画」や、ありがちな“「母と子もの」の感動映画”には終わっていないのだ。
ただし、「主人公が『幼年期に母に捨てられた』と思っている」という点はフィクションで、井上靖はそんなふうには感じていなかったという。
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