- Amazon.co.jp ・電子書籍 (457ページ)
感想・レビュー・書評
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【ヒカルの碁が好きな人なら絶対に好き(多分)】
碁とかルール分かんねえ!
でもなんかおもしれえ!
こんな感じでヒカルの碁を追えていた人なら
このフェルマーの最終定理を巡った三百余年の数学会の苦悩と挫折と挑戦の連なりもきっと楽しめる
実際に何をしているのかの詳細は分からずとも、それに向けて全力で挑戦しあがき苦悩する人の必死さには目を離すことができないからだ
何よりも本作は構成がいい
冒頭でフェルマーの最終定理を踏破してみせたアンドリュー・ワイルズに触れる
しかしそこから終盤までは延々と過去・中世・近代といった数学にまつわる歴史とその時代を生きた数学者を中心にスポットライトが目まぐるしく移り変わる
再びアンドリュー・ワイルズに話の焦点が合うのはラストもいいところだ
しかし、この構成が実に効く
なぜならこのフェルマーの最終定理の踏破には、様々な年代に埋もれた多種多様な数論のテクニックや発想、そして最新数学のアイデアまで総動員されており、そうしてやっと辿り着けた証明だからだ
その時代を懸命に生きた数々の数学者たちの研鑽と失敗とが地層となって積み上がり続けたからこそ、ワイルズの登頂は成し遂げられた
たった一人の数学者の栄光というだけでは、とてもじゃないが収めきれない数学界そのもののトライ・アンド・エラー
本作の大部分ではこの連なりをしっかり描かれており、だからこそ終盤に再登場するアンドリュー・ワイルズの論文が正式に認められるまでの経緯に胸を揺さぶられる
面白い
ヒカルの碁が好きな人なら絶対にハマる(多分)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いや~、おもしろかった。
フェルマーに至るまでの数学の歴史もわかりやすく、彩り豊かに描かれているし、フェルマーの人騒がせな定理が登場したあと、それに挑んでは敗れた人たちのこと、ワイルズが少しずつ証明に迫っていく様子、いったん栄光をつかんだあと欠陥が見つかってどん底に落ち、そこで苦しみもがいた末にひらめきを得たことが、ドラマチックに描かれている。
本書を書く前、著者のサイモン・シンがディレクターをつとめたBBCのドキュメンタリーはこちら(英語)。
https://www.dailymotion.com/video/x1btavd
静かな声で淡々と語るワイルズの、はにかんだ笑顔が印象的。ひらめきを得たときのことを回顧して思わず声をつまらせる映像は冒頭に使われている。あと志村教授の "I told you so." (「だから言ったでしょう」)も見られます。本書の内容をぎゅっと凝縮したような番組で、本も映像もどちらもよかった。サイモン・シン、また読んでみたい。 -
読んでいるうちに「映画にできるんじゃないコレ?」と思うようになるくらいドラマチックな物語。しかも実話。数論学者って今までよくわかっていなかったけど、確かにそれは実際に何の役に立っているかよくわからないからなんだろうなと思った。
しかし、その実、化学の基礎となっていたりしてとても実用的。昔の数学者は問題解決屋として重宝されていたというのも頷ける。ピュタゴラスの定理から始まりフェルマーと算術の出会いによるフェルマーの最終定理。オイラー、ソフィー•ジェルマン、ガロア、たくさんの数学者について、その生い立ち、背景も書かれているのが面白い。全員天才なのですんなり感情移入できないような気がしたが、普通の人が抱くような感情の起伏があり、怒ったり悲しんだりするんだなという事がわかり没入して読み進められた。
後半に書かれたアンドリュー•ワイルズの辛く苦しかったであろう14ヶ月は読んでいてこちらも重圧を感じるほどだった。
最後はハッピーエンド。素晴らしい。 -
ウサインボルトやイアンソープ、ビートルズ、小澤征爾、バフェット、岡本太郎…そしてワイルズ。
すごい時代に生まれたのか、いつの時代にもすごい人がいるのか。
さらにもう一度月に人類が立つ日が近づいているかも。
世の中悪いことばかりじゃないですよね。 -
10年以上前に読んだ本をなんとなく読み直してみたんですが、やっぱりこれは面白い。この筆者と翻訳者のペアの本は何冊か読んだけれど、これがいちばん読み応えがあってノリノリの感じがでていていいと思います。内容も実にドラマチック。数学はドラマだなあ、数学者の生き方はドラマだなあと思います。
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フェルマーの最終定理。約300年前の偉大な数学者フェルマーが残した最後の置き土産。地位も名誉も欲しがらなかったフェルマーは「証明ができた」とだけ書き残し、この世を去った。この定理は、中学生程度の数学知識があれば理解できる単純で明瞭な定理であるにもかかわらず、その証明は困難を極め、今日に至るまで多くの数学者を魅了し、苦しめてきた。フェルマーがいかにしてこの最終定理を思いついたのか、そしてこの最終定理に魅了された人々が数学にどのような発展をもたらしたのか、難しい数学が分からなくても理解できる内容となっている。そしてついにワイルズ氏が7年もの間、孤独と戦いの末完成した証明とは??またその証明がもたらした功績とは??数学は社会のために役に立たなければならないという道具としての数学だけではなく、純粋数学としての面白さをも伝えてくれる素晴らしい本であった。
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フェルマーの最終定理の証明が、数学界においてどのような位置付けにあり、どれほどのインパクトがあったのかを、ストーリー仕立てで解説してくれる良書。数学的知識も不要。
物語は古代ギリシアのピタゴラス教団から始まり、プトレマイオス朝、暗黒時代を経てルネサンス期ヨーロッパから現代まで、「フェルマーの最終定理」という一つのゴールに向かって、数学史上の主要な出来事をドラマチックに描き出している。
個人的感想としては、『無限論の教室』で出てきたカントールやヒルデンベルグ、ゲーデルが登場して、知識が繋がる感じがしておもしろかった。特にゲーデルの不完全性定理は「破壊的」というのは前掲書にも書いてあったが、その意味がよくわかった。-
2020/05/19
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> サイモンシンの「暗号解読」も面白いから、読んでなかったらぜひ。
まさに今日Amazonから届いたw> サイモンシンの「暗号解読」も面白いから、読んでなかったらぜひ。
まさに今日Amazonから届いたw2020/05/19
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噂に違わぬ面白さだった!2日とちょっとで一気に読んでしまった。数学、数論など全くわからなくても天才たちの鮮やかなアイデアやたくさんの人たちの情熱の積み重ねに胸が熱くなり心が踊った。スリリングで素晴らしいドキュメンタリーでした。早速次作も読み進めていこうと思う。