永い言い訳 [DVD]

  • 187人登録
  • 3.88評価
    • (22)
    • (41)
    • (27)
    • (3)
    • (0)
  • 34レビュー
監督 : 西川美和 
出演 : 本木雅弘  竹原ピストル  藤田健心  白鳥玉季  堀内敬子 
  • バンダイビジュアル (2017年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569647269

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

永い言い訳 [DVD]の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 2016年 日本 124分
    監督:西川美和
    出演:本木雅弘/竹原ピストル/藤田健心/白鳥玉季/堀内敬子/池松壮亮/黒木華/山田真歩/深津絵里
    http://nagai-iiwake.com/

    売れっ子作家の衣笠幸夫(きぬがささちお)=モックンは、美容師の妻・夏子(深津絵里)にいつも髪を切ってもらっている。髪を切った翌日、学生時代からの親友ゆき(堀内敬子)と山形へ旅行に出かけた妻の乗ったバスが雪道で湖に転落、彼女らは亡くなるが、そのとき幸夫は妻の留守に乗じて愛人(黒木華)を部屋に連れ込んでいた。

    西川美和は、人気原作等に頼らずオリジナル脚本で商業的成功も可能な上に素晴らしい映画を撮れる数少ない監督だけれど、本作でもその力量は圧巻。冒頭の、髪を切りながらの夫婦の会話だけで、幸夫の高慢で自意識過剰なわりに卑屈で自己肯定感が低く他者に攻撃的な性格と、そこそこ売れっ子作家である幸夫の立場、自立しながらも献身的な妻の幸夫へのあしらい方、すでに冷え切っている夫婦関係、でもまるで我侭息子と母のような二人の関係をあますところなく描いていて凄い。

    とにかくこの幸夫のクズっぷりの表現エピソードが上手く、そしてそれを演じるモックンの上手さときたら!なまじイケメンで頭も良いだけにナルっぽく、でも外面だけはいいお調子者、しかし妻や編集者などにはネチネチとしつっこく嫌味や愚痴を言い、酔うと余計なことまで言ってしまう幸夫の性格が、好き嫌いは別にしてとにかくわかりやすく観客に伝わる。

    一方、夏子と一緒に亡くなった親友ゆきの夫・陽一は直情的で単細胞で声の大きいトラック運転手。およそスマートとは言い難い男ながら、妻に対する愛情いっぱい、妻の死にストレートに悲しみを表現する純情一途な男。普通なら絶対に友達にはならないこの陽一と幸夫、そして陽一の子供たち(小6男子と幼稚園女子)の世話を幸夫が引き受けたことで、奇妙な疑似家族が構成されてゆく。

    男としてかなりクズな感じの幸夫だけれど、思いがけず子供の相手は上手く、繊細な息子ちゃんとも、まだ頑是ない娘ちゃんとも、結構ちゃんと打ち解けられるし、ここだけ切り取るとかなり素敵なおじさんだ。その実、幸夫の無意識下には亡くなった妻に対する罪悪感のようなものがあり、若い担当編集者(池松壮亮)に指摘されたように、母を亡くした可哀想な子供たちに優しくすることで妻に対して贖罪する気持ちもあったのかもしれない。

    しかしそれだけでなく、もっと複雑な葛藤があったのだと思う。自分のような人間の遺伝子を残したくない、妻だって俺の子供を産みたくなかたはずだ、と頑強に言い張る幸夫が、接してみれば案外子煩悩だったというこの自己矛盾。妻の死を泣けなかったのは、彼女への愛が冷めきっていたからではなく、生前妻に感謝することをせず愛人まで作っていた自分に嘆く資格などないという気持ちが強かったのもあるだろうし、ただただ認めたくない、現実を認識できない彼の弱さもあったのだろう。陽一を励まし、子供たちを慰めながら、実は自家撞着をおこしていたのは幸夫自身のほうで、そしてテレビカメラの前でそれを噴出させてしまった場面よりも、家族のだんらんの場面で悪酔いしてしまった場面のほうは本当にハラハラした。

    実は幸夫と同じく、母親が死んだときにある理由で泣けなかったと言う陽一の息子の言葉が、実は逆に幸夫を救ったのではないかと思う。クズでゲスで最低だけど、どこか滑稽で憎めない幸夫を演じたモックンはもちろんのこと、出番は僅かながら相変わらず抜群の透明感で本心を読ませないまま逝ってしまった夏子を演じた深津絵里の存在感が素晴らしかったです。子役ちゃんたちも可愛かった。

  • 夫婦って。いるのが当たり前になるってコワイな。子供たちが可愛かった。
    面白かった。

  • 2017/06/11
    衣笠のダメっぷりが、ちょっと愛おしかった。
    ダメダメだけど、愛してくれる人が必ずいる。
    そんな人を絶対に離しちゃダメだ。

  • 集中して見入った。
    大切な人が亡くなって泣けるか涙が出ないか。

  • 幸夫くんと子供たちの髪がどんどん伸びていく…切ってくれる人がいなくなってしまったことを痛感させる。
    バスで寝過ごして、幸夫くんに「真ちゃん」と起こされて泣いた真平くん。きっと、お母さんにそう呼ばれていたんだろうな。こんな風に起こされたことがきっとあったんだろうな。

    説明なんかなしに、画面で見せてくれる。
    小説もよかったけど、映画も素晴らしかった。

  • 2017.11.11(自宅)

    良いです。

  • 主人公の考え方、というか人物像がひねくれている。冒頭シーンですぐにわかる。社会的地位があり、それなりにきちんとしていて、普段は冷静で語りや話も優秀なのに、どこか無関心で人への優しさや配慮が根本的なところで欠けているところがあり、思い込みが激しくさらには突然に暴走し出す。こうやって人を傷つけるんだよなとか考えさせられた。

    全体としてはストーリーも映像も非常にわかりやすくシンプルに伝わってきてとても良かった。

  • 突然の事故で妻を失った男2人の再生のドラマ。1人は芸能活動もこなす小説家。もう1人は子持ちのトラックドライバー。全くタイプの違う2人だが、亡くなった妻同士が友人だったという縁で共同生活を送ることになる。

    2人はわかり合うこともあれば、ぶつかることもある。そんなやり取りを経て、彼らはハッピーエンドを迎える。・・・が、彼らの「永い」人生はまだ終わりじゃない。

    「なんで死んだのが、アイツで、オレじゃなかったんだろう」、人生の岐路に立つたびに彼らはそう考えるんだろう。

  • 小説は未読。
    この映画に神の視点は無く、主人公の幸夫が見た・聴いたことしか分からない。妻が死んでも泣けなかったって、そりゃそうだ。だって泣くには、何も知らなさ過ぎる。ただごっそりと滑り落ちた過去に対する不安感が全編に横たわっている。
    幸夫はクズ男の見本のような人間。周りのことは見ようとしないのに、世間の評価に怯えている。(幸夫の行動を見ていると、自己嫌悪も一種のナルシシズムだと実感する。)生活の舵を、妻が良い方向に取ってくれることにも気付かない。
    妻というシェルターに甘えて生きて、失くして、ポンと世間に放り出されて初めて、ほんとうの孤独の恐ろしさを感じる。先の人生の途方もない永さに尻込みする。
    そんなとき夜のタクシーで、自分と近しい孤独を抱える真平に、その家族に、次のシェルターを見いだす。同じように突然家族を失い、その一人分、家族という箍が緩んでいたので、そこにするりと入り込めた。ほんとうの家族のように。
    疑似家族に縋る幸夫の危うさは、薄氷を履むというには繊細すぎるけれど、泥濘の上のベニヤ板を歩いている感じ。落ちたらみっともなく泥まみれになるから、こわごわ歩いているような。それでも他者と触れ合い、世間という不特定多数ではない、「誰か」の中にいる自分を感じて、疑似家族に逃避以上の意味を感じていく。
    いつまでも妻の死を引きずる陽一を叱責するシーンがあるけれど、陽一がしゃんとして、一家がまとまって行くほど、紛れ込んだ幸夫が異分子だと突きつけられる。その事が、恐ろしくてたまらなくなり、自分から破滅的に飛び出してしまう。
    最後に真平と、事故を起こした陽一を迎えに行った帰路、真平は陽一のトラックに乗るけれど、幸夫は乗れない。辿る道は同じでも、ほんとうの意味では同じになれないことの象徴的なシーンだ。
    行き道には確かに居た一人分の空席を感じて、帰り道はきっと寂しい。その孤独を埋めるものが、物書きとしての自分だと思い出してペンをとる。今書かなくてはいけない、と。
    過去の墓標に、妻と陽一一家が笑う写真を掲げて、幸夫は物書きとして、自分の足で、破れかぶれでも生きていけるようになったのだと思う。

  • 普通の人間のちょっぴり見られたくない部分を抉るのがうまい西川監督らしく、妻の死という哀しいテーマなのに、少し滑稽で、きれいごとにしないところがリアリティがあって好きでした。

    自分の後ろめたさを隠すように妻に嫌味をい続けるとこや、妻を失うと自分のことが何もできないほどなのに、他人の家庭に一生懸命関わって自分の背負っているはずの十字架を少し軽くしてみたり、、後から色々なことに気がついてそれが手遅れだったり、、
    西川監督はとことん男の弱い部分とか、嫌らしい部分をまるで胸のなかをメスで切り分けるかのように描き出すので、男性は観ていて少しソワソワしてしまうかもしれない。

    人はみんな完璧に良い人にはなれなくて、小賢しかったり、ズルかったり、残酷だったりすることもあるけど、そんな自分の過去の行為に蓋が出来ないから、なんとなく他で良いことしたりして自分に対して言い訳をしているところがある。だから永い言い訳ってこの映画の幸雄くんだけじゃなくて、みんなにとっての言い訳の物語なのかな。少し自分もドキッとさせられました。

    キャスティングかとてもよくて、特にとと姉ちゃんで青葉ちゃん役してた子役の子の演技が自然体のうまさで驚きました。

    子供の演出も含めて、今までの西川監督の映画の中でも是枝監督色の強い作品で、役者そのものの素材とか本質をしっかりと活かした脚本なので、勿論好き嫌いが、あると思いますが、個人的にはすごく好きな作品です。
    深津絵里さんを、美しく映していた映像が印象的で、特別に泣かせるシーンはないのに随所で涙が出ている自分に気がつきました。

全34件中 1 - 10件を表示

外部サイトの商品情報・レビュー

永い言い訳 [DVD]を本棚に「観たい」で登録しているひと

永い言い訳 [DVD]を本棚に「いま見ている」で登録しているひと

永い言い訳 [DVD]を本棚に「観終わった」で登録しているひと

ツイートする