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- / ISBN・EAN: 4910049010471
感想・レビュー・書評
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又吉直樹さんの「劇場」。
「火花」を読まずに「劇場」を読む。
ところどころにハッとするような表現があったりもするが、
こじらせた男が理想とする女性像を描いた妄想小説?
「火花」は読んでいないが、Netflix のドラマは見た。
あれにも天使のような女性が登場するが、又吉さんの好み?
芳川泰久さんの「やよいの空に」。
構造のおもしろい読ませる作品。うまい。
大城立裕さんの「B組会始末」。
大城さんの沖縄ものだが、手練れな作品。
いしいしんじさんが『騎士団長殺し』の書評を寄せている。
びっくりした。何をおっしゃっているのかよくわからなかったが。
角田光代さんの 深い森 伴久美子『狂うひと』私的感想文。
また『狂うひと』が。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
又吉の「劇場」掲載。
小劇団の脚本演出担当の永田と女優志望の沙希の出会いから別れまで。又吉を彷彿させる抑揚のない雰囲気の永田。元劇団員の青山とのメールでみせる激情が最大の盛り上がり。支える沙希の明るさに潜む危うさが示唆する結末へと向かうが、評論家への返事、才能ある演出家への嫉妬等々、又吉が直面してきたであろうと思わせる出来ごとがちりばめられ、そう思わせる技巧も駆使した力作と感じられた。 -
又吉先生の「劇場」のみ読む。今回もまたなんとも言えない人間が出てくるぞよ。悲しいくらいなんとか、って話だなぁ。その「なんとか」をみなそれぞれ、読者が見つけるのでしょう。
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旅先の夜、宿にて「劇場」と格闘。血ミドロである。
回復ののち、単行本で再戦予定。 -
火花が面白かったから今回も期待して読んでいたのだが期待を上回ることはなかった。主人公がクズ。彼女はいたいけな感じなのが好き。
又吉の文章は好きなので、新作が出たら読むんだろうな。又吉最高<3 -
又吉 直樹さんの劇場@新潮 2017年 04月号 を読みました。著者の第2作目の小説ですね。
大変面白く読みました。皆さんにおすすめしたい作品です。
作者の処女作『火花』は、大変注目された作品なので、2作目の世間からの期待は大きかったと思います。
前作『火花』は、後半で非常に変化を伴う作品でとてもユニークに感じたのですが、今回の作品は
正統派の青春恋愛小説で、意外と思うのと同時に楽しく読みました。
今回の作品の主人公は、売れていない劇作家です。彼は、自分の意識の高さを誇示するために前衛的な作品ばかりを書く人間ですが、大成していません。また、金銭的にも自立しておらず、いわゆるヒモです。周囲から守られていることを自覚しながら相手を攻撃し、それでいて愛されたいと熱望している弱い人間ですが、私はこういった人間を愛おしく感じます。又吉さんもまた、人の弱さを肯定的にみられる目線を持った作家であると感じました。
> 田所の空返事は、もしかしたら自分の予期していないことが進行していて、その一端を自分が担ったのかもしれないという曖昧でいながら正確な感覚からのもので田所はそれには気づかないふりをして、あくまで自分はプレイヤーに徹することを気づかないふりをして、あくまでも自分はプレイヤーに徹することに決めたようだ。役者っぽいなと思った。
又吉さんは人の内面の精神性を深く言語化できる力量を感じます。言葉を重ねること、文章の骨太さを得たように見えます。
>青山が手際よく、その場にいる人たちを褒め、相手の自尊心を満たしながらうまく立ち回っているのを見ていると、自分ではない誰かの意思で洋服も思想も変えられてしまう着せ替え人形のように見えて恥ずかしくなった。
彼は、一通りの社会性を身に着けることが芸術家としての自分のアイデンティティに関わる問題と考えているようである。しかし、小峰という自分よりも高い才能をもった人間がいることを認め、自分の限界を知ったように見えます。主人公が現実と自分の差を実感した瞬間であろうと思います。
>問題があるとすれば、東京で暮らす男女というテーマが、同時代の別の作家によって、ある種の滑稽な悲劇として、あるいは神話のようなものの一部として、作品化されてしまったことだろう。この主題を僕は僕なりの温度で雑音を混ぜて取り返さなければならない。
最後に、彼は小峰の作品を受け入れ。自分の作品(人生)と向き合うことを受け入れたように感じます。また、一方で彼女との関係性をできることならば維持したいとう浅はかさも感じるやり取りをです。著者は彼のメンタリティの弱さを愛しているのでしょう。 -
もちろん「劇場」狙いで購入・読了。
あれだけのプレッシャーの元、書き上げた一篇。「東京百景」の頃からの匂いもして、「火花」より、私はこっちが好きだった。 -
又吉さんの「劇場」を読んだ。序盤が全然面白くなくて、学生時代のくだりは説明くさいし、いちいちめんどくさい突っかかりがあって、これ最後まで読み切れるかな…と思ったけど、最終的に面白かったので不思議。「火花」とは違う視点の話なんだけど同じ空気感。作者の持ち味なんだと思った。
儲からないアマチュア劇団を主宰している主人公と、優しさの塊みたいな彼女の話。ストーリーに新鮮さというか意外性はなくて、ラストもそうするしかないだろうなという展開だった(別れて彼女が地元に帰る)けど、これこそ作中で触れられていた「のんきな奴等がふざけ合いながら何気ない日常を過ごし、でもその心には深刻な苦悩を抱え、それが表出されるのは必ず決まったように後半で、最後は無理やり泣かそうとするようなもの」だった。作中ではこれを、頭ひとつ抜きん出た別の劇団がやって主人公は嫉妬しながらもうっかり感動してしまうんだけど、この小説はそれをやろうとしているのかなと、そういうことを考えた。
作中で何度も出て来る演劇論は、作者の持っている芸術論なんだろう。創作とは何かと繰り返し問うている姿勢が作品の中にあった。面白かったと思う。 -
又吉直樹の「劇場」を読む。 ちょうど、ララランドを観ていたので世界観が全く真逆だなと感じた。
上京して都会で済む男女の話だけど、ありがちなんだけど少し違和感があった。恋愛小説なのに性的な描写が皆無だったこと。著者本人が意図的にそうしたのかわからないけど、想像がすごく広がるというか、主人公と彼女には性的な想像が浮かばなかったけど、彼女とバイト先の店長、という言葉にはすごく何だか、何かあるんじゃないかと想像してしまった。
主人公は本当にクズなんだけど、でも主人公と彼女の痛々しさがリアルに、でもキラキラしてるように見えた。 -
文芸誌を読むのは初めてだが、又吉直樹さんの新作『劇場』を読みたいと思い、購入。『劇場』は、著者の前作である『火花』とは違うテイストで楽しめた作品。恋愛ものがメインであるが、いかにも恋愛感が詰め込まれている作品でなく、恋愛要素が薄かったという印象。純文学の要素の方が強いかなと思う。作中の小説に関して、読者目線での俯瞰的な目で厳しく評価されていて、文章表現に関することで少し驚く所もあったが、ズバッと切り込んでいたのがまた良い味だと感じた。作家は読者からこのような目線で見られているのかなと感じる。