ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 第1章信用のプロトコル
    従来の「情報のインターネット」に対して、ブロックチェーンは「価値とお金のインターネット」

    ブロックチェーンの核にあるのは、何かの所有権を確実に取引するという考え方
    分散型コンピューティングによって、信頼された第三者を介することなく、端末間でやりとりされるデータに嘘がないことを保証する

    本当のシェアリングエコノミーがやってくる

    途上国に流入する資金で最も多いのは、政府の援助でも、投資試験でもなく、外国に住む労働者から家族への個人送金
    モバイル送金サービスのアブラ社

    https://diamond.jp/articles/-/110919
    https://diamond.jp/articles/-/110920

    会社の形態が変化する
    20世紀的なヒエラルキー組織ではなく、フラットなネットワークに近い形になる(より多くの人に富が分配されやすくなる、再分配ではなく)
    分散自律型企業(インテリジェントなソフトウェアが自らリソース配分やマネジメントを実行する)

    役所での手続きがなくなることで小さな起業が増える

    第2章未来への果敢な挑戦
    未来をデザインする7つの原則
    1.信頼:嘘をつかないネットワーク
    2.権力:力の集中から分散へ
    3.インセンティブ:利己的な行動が全体の利益になる
    4.セキュリティ:不正のできないプラットフォーム
    5.プライバシー:個人情報のブラックボックス化
    6.権利:スマートコントラクトによる明確化と自動化
    7.インクルージョン:格差を解消するデザイン

    プライベートブロックチェーンとパブリックブロックチェーン

    現代の会計の問題点
    1.帳簿の管理が企業の経営者に任されている
    2.ヒューマンエラーを防げない
    3.抜け道が多すぎる
    4.時代遅れである(伝統的な会計手法は新しいビジネスモデルに対応しきれない)

    複式簿記→三式簿記


    第3章金融を再起動する
    ブロックチェーンは金融業界をどう変えるか
    1.本人認証・取引認証(確実で検証可能なアイデンティティ。セキュアな暗号による情報保護)
    2.価値の移動(仲介機関を通さず、少額決済から巨額の送金まで実行可能。決済コストの大幅な削減、決済スピードの劇的な高速化)
    3.価値の保存(安全で信頼性の高い価値保存手段の実現。銀行の預金口座は不要になる)
    4.価値の貸し借り(ブロックチェーン上で債券の発行・売買・決済が可能。手続きの効率化とシステミックリスクの軽減。ブロックチェーン上の評判を元に直接融資が受けられるので、貧しい地域の人や起業家への融資の幅が広がる)
    5.価値の交換(取引の効率化、決済にかかる時間の劇的な短縮。より幅広い層の資産形成が可能に)
    6.資金調達・投資(スマートコントラクトで配当などの支払い自動化。仲介業者を通さない資金調達が可能)
    7.リスクマネジメント(ネットワーク上の評判に基づく明確なリスク評価、保険市場の分散化、透明性の高いデリバティブ)
    8.会計(リアルタイムで透明性の高い会計監査と財務報告。コーポレート・ガバナンスの効率化と精度向上)

    第4章企業を再設計する

    コンセンシス社
    ホラクラシーの基本方針
    ・役職ではなく役割
    ・権限の委譲ではなく分散
    ・社内政治ではなく明確なルール
    ・大きな改編ではなく小さな改善の繰り返し

    会社が存在するのは取引コストを効率化するため
    検索コスト(人材や情報やリソースを見つけるためのコスト)
    契約コスト(報酬や仕事の条件、秘密保持などの契約を締結して実行するコスト)
    調整コスト(全員がスムーズに協業するためのコスト)

    会社が存在するのは対立や不一致の解決
    企業内のトラブルなら裁判沙汰になるのを避けられる

    ヒエラルキー組織は部下が忍耐強く従っていれば、調整コストは最小限に抑えられるし、契約違反でトラブルになる可能性も小さくなるため単純作業なら効率的。
    しかし、今の世の中は一人一人に創造的でイノベーティブな働き方が求められるようになった。

    ブロックチェーン検索の強み(インターネット検索にはない)
    1.プライバシー
    2.時系列データ
    3.堅牢性

    ブロックチェーン 契約の強み
    それ自体に強制力がある、紙の契約書は約束を記録する手段にすぎず、トラブルが起これば裁判沙汰になる。

    ブロックチェーン調整の強み
    今管理職がやっていることを代行する。今の管理職は現場の人間に比べ、給与をもらいすぎている

    第5章ビジネスモデルをハックする
    bAirbnbの良い点
    評価システム
    ID確認
    プライバシー保護
    リスク低減
    保険のDApp
    支払い
    スマートロックによるアクセス管理

    未来の企業を読み解く4つのモデル
    1.スマートコントラクト
    2.オープンネットワーク型企業
    3.自律エージェント
    4.自律分散型企業

    オープンネットワークがもたらす7つの革新
    1.ピアプロデューサー
    2.スマート著作権管理
    3.シェアリングエコノミー
    4.メータリングエコノミー
    5.プラットフォームビルダー
    6.ブロックチェーンメーカー
    7.エンタープライズコラボレーション



    第6章モノの世界が動き出す
    創造的破壊の12のエリア
    1.交通
    2.インフラ管理
    3.エネルギー・水・廃棄物
    4.農業
    5.環境モニタリングと災害予測
    6.医療・ヘルスケア
    7.金融・保険
    8.書類や記録の管理
    9ビル管理・不動産管理
    10.製造・メンテナンス
    11.スマートホーム
    12.小売業


    第7章豊かさのパラドックス

    第8章民主主義はまだ死んでいない
    21世紀型民主主義を実現するツール
    デジタルブレインストーミング
    賞金つきチャレンジ
    オンライン陪審
    審議型世論調査
    シナリオ・プランニング
    予測市場

    第9章僕らの音楽を取り戻せ
    新たな音楽エコシステムをデザインする
    バリューテンプレート
    公平な利益配分
    お金の流れを透明化する
    リアルタイムのマイクロペイメント
    データ連携のスムーズ化
    音楽利用データの活用
    デジタル著作権管理
    動的な価格管理
    利用者相互の評価システム

    ミュージシャンたちの新たな挑戦
    ブロックチェーン 上の著作権登録
    権利マネジメントのプラットフォーム
    新人をサポートするコミュニティの育成(この前の国安さんのサービスがまさにこれ)

    第10章革命に立ちはだかる高い壁
    課題1:未成熟な技術
    -大量アクセスに対するキャパシティ問題
    -洗練されたツールの必要性(今は一般ユーザーにとって使いづらい)
    -長期的な流動性に対する懸念
    -処理時間の問題
    -ユーザーの過失をどう防ぐか
    -社会との関わり(記録が永遠に消えないシステムはどうなのか)
    -法的トラブルの可能性
    課題2:エネルギーの過剰な消費
    安全な合意形成のための3つの判断基準
    -コンピュータの処理能力(プルーフオブワーク)
    -コインの保有量(プルーフオブステーク)
    -社会的な繋がり(ソーシャルネットワークによる承認制)
    課題3:政府による規制や妨害
    アメリカの国税庁はビットコインの定義を通貨ではなく資産として規定していて、ビットコインの価値が上がって利益が出ると株式のように課税される
    課題4:既存の業界からの圧力
    課題5:持続的なインセンティブの必要性
    課題6:ブロックチェーンが人間の雇用を奪う
    課題7:自由な分散型プロトコルをどう制御するか
    課題8:自律エージェントが人類を征服する
    課題9:監視社会の可能性
    課題10:犯罪や反社会的行為への利用

    今後量子コンピュータの計算能力によって、現在の暗号技術が使えなくなる可能性も




    第11章未来を創造するリーダーシップ
    ブロックチェーン・エコシステムのプレイヤーたち
    ベンチャーキャピタリスト
    金融機関
    ブロックチェーン開発者
    大学・研究機関
    国と中央銀行
    非政府組織

    ブロックチェーン時代のガバナンス・ネットワーク
    ナレッジ・ネットワーク
    オペレーション・ネットワーク
    政策・ネットワーク
    アドボカシー・ネットワーク
    監視・ネットワーク
    プラットフォーム
    標準化・ネットワーク
    ステークホルダー・ネットワーク
    移住者・ネットワーク
    ガバナンス・ネットワーク

  • とても勉強になりました。多少、専門的なところもありますが、通読する上で支障にはなりませんし、この本の価値を損ないません。翻訳もキビキビしていていいと思います。

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