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感想・レビュー・書評
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久々の京極夏彦の本。明治の古本屋を舞台にした作品だけれど表紙絵といい作品舞台といいおぼろな明るさの中に広がるペダンティックな世界に引き込まれてしまう。第1話には姑獲鳥の怪が出てくる。いやでも妖怪もの第1作の「姑獲鳥の夏」を思わせるじゃないか。
本とはどのようなものか、生きる糧にするための本との接し方というものを考えさせてくれる連作集。
「世に無駄はない。世を無駄にする人がいるだけだ」
「読めば解る。わからなければ考える。考えて解るまで読む。それが読書というものじゃないか」
「敵わぬ相手と対峙した時、身に危険を感じた時、獣は迷わず逃げる。逃げぬを美徳とするは人のみ。勝ち負けという下賎な価値判断でしかものを捉えることしかできなぬ愚劣なる者が、逃げることを蔑む」
「その道は間違っていないか?」「道は外れさえしなければいいのです」
「心は、ここにある。あるけれども、ない。心を取り出して示すことはできません。そこで心を伝えるために我々は言葉を紡ぐ」
心に染み入ります。
またまた読みたくなるシリーズを見つけてしまった。読みたい本が一向に減らず、積み上がるばかり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
弔堂の主が小僧のしほると一緒にその人の人生の一冊を選ぶ物語。
江戸から明治に変わってすぐの話。
主人と京極堂シリーズの京極堂との関係も最後に明らかになる。
やっぱり好きだなこの世界観。