文庫版 書楼弔堂 破曉 (集英社文庫) [Kindle]

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  • 久々の京極夏彦の本。明治の古本屋を舞台にした作品だけれど表紙絵といい作品舞台といいおぼろな明るさの中に広がるペダンティックな世界に引き込まれてしまう。第1話には姑獲鳥の怪が出てくる。いやでも妖怪もの第1作の「姑獲鳥の夏」を思わせるじゃないか。
    本とはどのようなものか、生きる糧にするための本との接し方というものを考えさせてくれる連作集。

    「世に無駄はない。世を無駄にする人がいるだけだ」
    「読めば解る。わからなければ考える。考えて解るまで読む。それが読書というものじゃないか」
    「敵わぬ相手と対峙した時、身に危険を感じた時、獣は迷わず逃げる。逃げぬを美徳とするは人のみ。勝ち負けという下賎な価値判断でしかものを捉えることしかできなぬ愚劣なる者が、逃げることを蔑む」
    「その道は間違っていないか?」「道は外れさえしなければいいのです」
    「心は、ここにある。あるけれども、ない。心を取り出して示すことはできません。そこで心を伝えるために我々は言葉を紡ぐ」
    心に染み入ります。

    またまた読みたくなるシリーズを見つけてしまった。読みたい本が一向に減らず、積み上がるばかり。

  • ちょっと昔の有名人たちがぞろぞろ出てくる。
    しかも最初は誰か明言されず、少しずつ情報が出てくるので、あれ、もしかしてあの人か…?と推理できるのが自分の知識と戦ってるみたいで楽しい。
    泉鏡花のところでお化け話が多く出てきたので、井上円了かと思ったら違ったけど次の話で出てきたのでびっくりした。

    弔堂を訪れる人以外にも有名人の名前がどんどん出てきてテンションが上がる。

  • 弔堂の主が小僧のしほると一緒にその人の人生の一冊を選ぶ物語。

    江戸から明治に変わってすぐの話。

    主人と京極堂シリーズの京極堂との関係も最後に明らかになる。

    やっぱり好きだなこの世界観。

  • 明治に入ってしばらく経った日本が舞台。
    あらゆる本が手に入り、その人のための一冊と人を引き合わせるという書楼弔堂。後に著名な業績を残す人々・あるいは当時既にある分野の一線に立つような人々が訪れ、店主と語らい・・・というような話。主人公はなんかのらくらしている高等遊民的な冷やかし客。

    ときどき「この店主なにものだよwww」と引いてみてしまうときもあるけど(来訪者が学者だったりすると特に、なんでその学者より博覧っぷりを出してるんだとか)、それ以外はふんふん、ぐいぐいと読んでしまう。そしてhttp://booklog.jp/users/min2fly#本が色々読みたくなる。

著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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