ダゲレオタイプの女[Blu-ray]

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監督 : 黒沢清 
出演 : タハール・ラヒム  コンスタンス・ルソー  オリヴィエ・グルメ  マチュー・アマルリック 
  • バップ (2017年5月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988021715171

ダゲレオタイプの女[Blu-ray]の感想・レビュー・書評

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  • 言いたい事があり過ぎて、何をどう言ったらいいのかよくわかりません。

    ただ、何が恐ろしいって、フランスまでわざわざ出張ったにも関わらず、小津の階段落ちを平然と、しかも恐ろしい精度で撮ってしまう黒沢清の人を人とも思わぬ欲望の頑なさが、何よりも恐ろしい。一体これはどうなっているんだろうか。

    文字通り不在の恋人に向かって、話しかける主人公。いないもんはいないのだと言う厳然たる残酷さ。
    ただ、こういうエモーショナルなシークエンスは彼の映画で初めて湧き上がるもののような気がする。

    ほんとに、いい旅だったね。

  • 清がフランスで怪奇映画を! なんてトレビアーン!
    ファンとしてはミーハーに盛り上がってしまう。
    しかし清は決して浮足立たない。
    いつもの作風でいつもの哲学を披露するのだ。
    彼の恬淡さは憎々しいほど好もしい。

    フレディ・マーキュリーかキアヌ・リーブスをひ弱にした感じの青髭男がバイトで採用されたのは、写真家。
    しょぼくれたニコラス・ケイジのようなモーソーゲージツ家(怪奇映画でいえばマッドサイエンティスト)が父で、娘は骨皮筋子(取り引き先の人に似ているせいで集中できない)。
    まあ俳優はこんな感じ。

    拘束具を要するほど長い露光時間を要する芸術(しかも等身大!)と、再開発地域だから家を手放せば大金、という俗な出来事が、行ったり来たりしながら進行していく。
    ダゲレオタイプといえばポストモーテムフォトグラフィー、すなわち死後写真。
    廃墟趣味の清が惹かれないはずがないのだ。

    そんな中、唐突に階段落ち。文字通り。(「回路」の飛び降りと同じくカット割りなしで!)
    ここから急速に清節が激化していく。
    ビニールカーテン。ごみに突っ込む。触れることのできる幽霊。え、そんなところから出てくるの。え、そんなところになんで立ってるの。いかにも幽霊的な立ち居振る舞い。

    階段から落ちてぐにゃぐにゃになった筋子は、川沿いでいったん姿を消して、特に怪我はないと言う。
    もうここで彼女は……とわかるが。
    主人公とふたりきりのときにしか登場しないし。

    殺人。もう後戻りできない。
    「岸辺の旅」と同じく、死者とのセックス。
    思いついて教会で結婚式の真似事。
    時間外だよと神父に見つかって、すみません空いていたもので、と振り返ると、いない。消失。
    静かに車に戻って、いかにも「まだいる」かのように空虚に対して話しかけ、笑いかける。やや涙ぐみながら。
    ここの演技は素晴らしい。
    だって彼を翻弄した父娘はもう存在しないのだ。
    主観や妄想を演じる、のは役者にとっていかに難しいことか。
    本作はいわば清節オンリー、ファンとしてはすでに知っている映画だとも思えるほどに既視感たっぷりだが、このラストだけは、ぎらっと新鮮に輝いた。

  • ◆ 「固定」された愛 ◆







    黒沢 清監督作品ということで観てみた。
    世界最古と言われている撮影法であるダゲレオタイプ。それをいて妻を写し続けてきたステファン。
    だが妻はその撮影の過酷さ、ダゲレオタイプに対する夫の異様なまでもの執着心に疲れ果てのか自ら命を絶ったという設定。

    妻亡きあとステファンは美しき一人娘マリーの中に妻を見つつ、仕事でする撮影の合間にはマリーをダゲレオタイプで撮影し続けていたのだった。

    ある日ステファンの助手としてジャンという青年が働きだす。不慣れながらもジャンは懸命に補佐を務めていき、マリーとジャンはいつしか惹かれあうように。撮影に要する時間は1時間はざらで劇中で、「今日は2時間だった」という台詞もあり驚いた。その間、動かないようモデルになる者は専用の金具で身体を固定される。

    苦痛を伴うこの撮影法に人生を捧げている父エグレーに協力してきたマリーだったが。植物を愛する彼女は自身の道を往こうと決意するのだが。
    マリーが温室で丹精し育てていた植物が銀の排水による土壌汚染から枯れるシーン。娘が父を見限ったと受け取れた。


    妻の亡霊を度々見るステファン。筋弛緩剤をふたりに用い撮影に臨ませていたと、ステファンがジャンに吐露した場面に究極の愛の歪みを見た。


    「息子のマまなざし」等のオリヴィエ・グルメ、「潜水服は蝶の夢を見る」等のマチュー・アマルリック、このおふたりが出ていることによりこれはもうフランス映画のパフュームが漂っている。


    マリーを演じたコンスタンス・ルソーの美しい線の細さ、硝子細工のような繊細さが本作を支えていると言えよう。

  • 2016.10.15
    新宿シネマカリテで鑑賞(3.5点)

  • (2016年作品)

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