湯を沸かすほどの熱い愛 通常版 [DVD]

監督 : 中野量太 
出演 : 宮沢りえ  杉咲花  松坂桃李  オダギリジョー 
  • TCエンタテインメント
4.04
  • (147)
  • (150)
  • (73)
  • (24)
  • (4)
本棚登録 : 748
感想 : 178
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474185417

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 湯を沸かすほどの熱い愛、のちょっとふざけたタイトルからゆるい気持ちで見たところから失敗だった。

    銭湯「幸の湯」は、父(一浩/オダギリジョー)が一年前に出奔し、閉店状態。母(双葉/宮沢りえ)は、娘の安澄(杉咲花)と二人で暮らしている。

    「湯気のごとく、店主が蒸発しました。」
    で、はじまり、見ているこっちの気持ちを更に弛めさせられる。

    ところが、物語はどんどん重たいテーマをほうり込んでくる。まず双葉自身には、余命宣告というタイムリミットが。でも彼女には、死ぬまでにするべきことがある。

    ここから双葉とその家族の四苦八苦ぶりが凄まじい。双葉を取り巻く家族の全員が思い通りにならなかった過去と現在を抱えており、尽きることのない苦しみの連続となる。

    ここでゆるい気持ちは、大きく落とされる。
    それを双葉は、聖母マリアのごとく(+肝っ玉かあちゃん)、人徳を持って苦しみを慈愛に変えてゆく。この繰り返しで、ゆるい気持ちは、荒波の船のごとく上下に揺さぶられ、えらいことになります。

    そして死を前に双葉も、人間としての一面を垣間見せるが‥

    物語で天国というキーワードが出てくる。しかし悩みのない天国は、双葉にとって幸せなのか?双葉は体と心をいっぱいに使って、家族を感じて、愛していたから。家族の出した「幸福」の答えとは‥(幸の湯もそこから?)

    出演者の演技がとてもよかった。そして物語の頭からお尻まで、さまざまな演出が盛り込まれていて、何度見返しても面白い作品だと思いました。

    ああ、銭湯にいこう。

  • 宮沢りえさんの演技を、きちんと見たのは初めてです。リハウスのCMで見たイメージしか私の中では残っていなかったのですが、色んな経験や年齢を重ねることで人間としての深みを増して来られたのだと思いました。愛の溢れたお母ちゃんを演じています。杉咲花さん、いい役者さんだなあ。オダギリジョーさん、優しいけど頼りない腰の座らない男を演じさせたら、ピカイチですねえ。松坂桃李さん駿河太郎さんも、いいです。

  • 評価がとても高い映画ですけど、私はダメでした。映画としてはそこそこ面白いと思うけど、描写されている内容が嫌い。
    外部サイトで批判している方のレビューを探すと、映画を沢山観てる方ほどダメだと思うことが多いのではないかと。映画秘宝のワースト賞であるはくさいアワードで10位になってたぐらいで、キネ旬もヨコハマ映画祭も高評価です。

    宮沢りえ演じる母親の行動がずっと嫌いです。暴行もしていますし、ラストシーンも違法です。他にも嫌いな描写は沢山。
    冒頭、杉咲花演じる娘が学校に行きたくないというシーンで「どうしたの?」もない。学校でいじめられているのに「その中で一番好きな色は?」とか言ってる場合じゃねえだろと思う。
    高校生でスポブラがそもそも遅いと思うけど、好きな色だけで買ってきたブラを押し付ける母親、、嫌いです。ちゃんとお店に一緒に行ってやって採寸しろよ!あとカニはしっかり食っといてビンタするのも嫌い。
    一番嫌いなのは、小さな女の子と女子高校生がいる前で「おばさんとラブホテル」の話を笑い話としてする殿(松坂桃李)、それを制止しない宮沢りえ、、たぶん、監督の考え方がだいぶ古いと思う。

    映画の作り方として、それら数々のシーンは観たらギョッとするんです。バイオレンス映画で人を殺すのと同じ。映画を面白くするテクニックです。だけどこの映画は、伏線などテクニックを駆使したあげく、他の大切なことを忘れているんじゃないかと思います。そしてそういうことを「愛」だって言っている。それは違うと思います。

  • 「僕らの7日間戦争」以来に、宮沢りえさんの映画を観ました。クライマックスのシーンは迫真の演技で、涙が止まりませんでした。

  • 題名からしてもうちょっとふざけた感じの映画と思ったら、意外にも内容はシリアス。
    夫の浮気と蒸発、イジメ、末期癌の余命宣告、血の繋がらない母娘。
    いい意味で裏切られたストーリー。
    慈愛に満ちた母親が、とりまく人達の歯車がズレた人生を愛の力で軌道修正していく。

    ”宮沢りえのための映画”という印象。
    だけど、私のこの母親のイメージは、小太りで、特に美人でもなくて、いつも笑顔で元気な”肝っ玉母ちゃん”であり、これが、華奢で綺麗で都会的な容貌の宮沢りえが演じてしまうことで、色々なものが、ちょっと違って見えてきてしまう。
    演技はとても上手なのだけど、宮沢りえの存在自体が、非現実的なのものへと変えてしまう。

    イジメの時の対処も、ブラジャーの対処も、なんか違和感を感じるのは、後になって分かる、「血の繋がらない母娘」という伏線なのか。
    ただ、宮沢りえ演じる双葉が、不幸でありながらも、とても幸せそうに見えてしまった。

  • 熱い愛の溢れる話

  •  湯を沸かすほど…と言うくらいだからどんな愛かと思っていたら,稼業が銭湯のおかみさんが主人公の話だったんですね。
     わたしの大好きな映画『僕たちの七日間戦争』の宮沢りえさんがお母さん役を演じていて,大女優ぶりをたっぷり見ることができます。一度は蒸発したはずの夫の存在もなかなか面白くて,家族愛の在り方も考えさせられました。

    《NHKプレミアムシネマの解説を転載》
     宮沢りえと杉咲花が強い絆で結ばれた母と娘を熱演し、日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞と助演女優賞を受賞したほか、多くの映画祭で高く評価された家族の愛の物語。一年前に夫が蒸発、それ以来、家業の銭湯を休業してパートで生活をささえる双葉。持ち前の明るさと強さで娘・安澄を育てていたが、ある日突然、余命わずかと宣告されてしまう。残酷な現実を受け入れた双葉は、死ぬまでにやるべきことを決め実行していくが・・・。

  • 何の予備知識もなく見ましたが、とても感動しました。変なタイトルだなぁと思っていましたが、見終わった今はとても納得しています。宮沢りえ、オダギリジョー、子役の子たち、みんなとても良かった。人を想うことの大切さ、強く生きることの大切さを学ばさせてもらいました。たくさんの場面で胸が締め付けられましたが、中でも娘が手話を知っていた理由と、置物を投げつけてガラスを割るシーンが強く印象に残りました。素晴らしかったです。まだ見ていない人は見るべきです。

  • 賛否分かれるラスト。
    初めて観たときはショッキングすぎて、ここまでやらなきゃダメなの?と思ったけど、むしろこれが監督のやりたかったことなのか、と思い直した。
    タイトルの意味を回収したわけだもんね。
    倫理的にどうかという観点はこの映画全般にわたって、持ち合わせない方がいいのだろう。

    結局双葉は誰のおかーちゃんでもないのに、みんなのおかーちゃんだった。
    あずみやあゆこはもちろん、
    たくみくんにハグしたり、まゆちゃんの口のまわりをきれいにしてあげたり、その双葉の包容力にみんなあったまれたわけだけど、その当の双葉が一番そういう愛を欲していた人だった。
    自分が持っていないのに、いや持っていないからこそ、なのか。
    「当たり前」にあぐらをかいている私には、双葉の「生きたい」「死にたくない」と涙する最後の方のシーン、胸に突き刺ささった。

  • 最初、杉咲花と宮沢りえが親子にしては似てないな、まあドラマじゃよくあることだけど、と思って見ていたら、ちゃんと理由があった。
    いいお話ではあったのだけど、娘が学校でいじめを受けているのに、立ち向かわせる必要はないんじゃないかな、と思ってしまった。あれは、学校の対応がなってないでしょ。自分が末期がんで余命僅かだったら、立ち向かわせず、学校に乗り込んで学校側といじめてる側を糾弾する。映画の娘は自分で立ち向かって克服したけど、そもそも克服する必要があるのか?高校生の女の子が男子もいるクラスで、ブラとパンツ姿になる必要が?そんなことしたらいじめはなくなっても別の意味でクラスで孤立すると思う。

    他は、まあ、良かったかなあ。
    主人公も娘たちも(松坂桃李も)みんな「親から捨てられた子ども」というのが、ちょっとワンパターンな気もするが。

全178件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1973年京都府育ち。京都産業大学卒業後、日本映画学校に入学。2000年卒業制作『バンザイ人生まっ赤っ赤。』が日本映画学校今村昌平賞、第1回TAMANEWWAVEグランプリなどを受賞。卒業後、助監督やテレビディレクターを経て、自主短編映画『ロケットパンチを君に!』で、ひろしま映像展2006グランプリ、第10回水戸短編映像祭準グランプリなど7つの賞に輝く。2008年文化庁若手映画作家育成プロジェクトに選出され、35mmフィルムで制作した短編映画『琥珀色のキラキラ』が高い評価を得る。自主長編映画『チチを撮りに』が、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012にて、日本人初の監督賞を受賞、第63回ベルリン国際映画祭を皮切りに各国の映画祭に招待され、国内外で14の賞に輝く。2016年商業デビュー作となる『湯を沸かすほどの熱い愛』が、第40回日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞など、国内映画賞で35冠。第90回米アカデミー賞外国語映画部門の日本代表に選ばれる。2019年初の原作モノとなる『長いお別れ』を5月に公開、ロングランヒットに。独自の感性と視点で、家族を描き続けている。

「2020年 『浅田家!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×