植物はなぜ薬を作るのか (文春新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 植物は動かない。動かないからこそ、独自の、自身の世界を持っている。
    人間が偉い、なんてとんでもない。
    人間が他の生物と違うのは、言葉を話し、文字を持って書物によって他のひと、後世のひとに伝えることができること、だと思っていた。が、植物だって他の動物だって、DNAという言葉・文字によって、芳香物質によって情報を伝えている。
    そして、そのスケールが違う。植物は動かない。そこなんですよね、きっと。今までは個で考えてたけれど、植物は集団・全体でひとつなのでしょう。森一つかもしれないし、山、国レベルの大きさかもしれない。生の期間も個の寿命ではなくて、数百年なのかもしれない。情報も億単位(DNAの長さ)で簡単に読める長さではない。
    遺伝情報は生物・植物の文献であって、その図書館となっているのは地球上のわずか2%を占める生物多様性に富む貧しい地域。その図書館を無償で利用し、対価を何も払わないばかりか、エゴによって貴重な本を亡くして(遺伝情報滅失=希少生物の絶滅)しまっているのは先進国。
    考えされられました。続けて読もうと思っている森林のお話につながっていると思うので、そちらも楽しみ。

  • 植物からは動物では得られないモノが得られる。

    昔から不思議でしょうがないです。
    例えば、ケシからは、アヘン、モルヒネ、ヘロインが作られたり。
    たばこの葉からたばこが作られたり。

  • 植物由来の薬は沢山あるが、なぜ植物は薬を作るのか?人間から見たら薬かもしれないが、植物から見たら人間のために薬を作っている訳ではないのは当然だ。植物から作られる薬はどうゆうものがあるのかから、なぜ植物は薬を作るのか、その物質はどうやって作られるのか。なかなか面白かった。ほとんどの薬が植物由来だそうだ。人間が植物とうまく共生していかないといけない。人類が生き残っていくためにも。

  • 教科書的で読み解くには時間がかかりそうです。しかし、ざっと読んだだけでも『植物も化学合成物を作る工場と同じなんだよ』と学べます。

    天然→無条件に良し 人工合成→ダメ! 信仰も、個人の嗜好の問題だと思います。

    しかし、医薬品等で生き長らえながらも異国の飢えに苦しむ人々が化学肥料等で食糧増産することには口をはさむ???

    未来なんて誰も完全に予測なんてできない。

    専門家も予測できない、無いかもしれないリスクに備え、目の前の問題を切り捨てる?

    共にリスクを分かち合う? それとも?

    なんてことを考える一助になりそうです。

  • 教科書的で理解するには時間がかかりそう。だけど、ざっと読み通すだけで、行き過ぎた『植物由来成分は体に優しい』信仰に冷水を浴びせる効果はありそう。動け(か)ない植物が動物に食べられ過ぎないように体内で化学合成する毒の数々。

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著者プロフィール

千葉大学大学院教授、理化学研究所環境資源科学研究センター副センター長、薬学博士。1977年 東京大学薬学部卒業。東京大学大学院薬学系研究科に進学。慶應義塾大学助手、千葉大学助手・講師・助教授などを経て現職。2018年 紫綬褒章受章。主な著書に『植物はなぜ薬を作るのか』(文春新書)、『天然医薬資源学[第6版]』(共編、廣川書店)、『植物の代謝コミュニケーション』(共編、共立出版)などがある。

「2019年 『植物メタボロミクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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