裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]
- 早川書房 (2017年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (266ページ)
感想・レビュー・書評
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ネットロアを題材にした怪奇SF百合小説。要素が多いがよくできたエンタメになってる。文章も軽妙だが崩しすぎずギリギリでライトノベルではない線に止まっている。
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ラノベ臭がきつい。「コミカルな会話」や登場人物の「少女」の造形、彼女たちが時折見せる「使命感」など。文章のうまさでカバーされてはいるが、それなりにきつい。たまにラノベ的な挿絵が挟まれるが、邪魔になっている。
都市伝説系の怖い話をよく研究しているのは素晴らしい。相当読み込んでいるんだろうなと推察される知識量。そして、知識量に裏付けられた大胆な解釈。何か、民俗学なり社会学なり、専門に勉強した人なのだろうか?
怖い存在の造形や仕組みは面白いものの、人間があまりにつまらないので星3つ。良いところと悪いところが極端。あときさらぎ駅の話はツギハギ感が強い。在日米軍の存在感はすごかったが。 -
シリアスと日常の絶妙なバランス
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ネットロア×女の子という異色な食い合わせなのに、不思議とグイグイ読ませてくる。
恐怖と記憶を媒介にした認識の話などは、設定的にもワクワクする。
主人公二人の関係性は百合的な描写にも見えるけど、ロマンシス的な色合いにも見えた。
これは続刊で変わってくるのかもしれない。
2000年代に洒落怖にどっぷり使った人間には魅力的すぎる本だった -
作者の印象は未だに幻蔵先生で固定されているので
幻蔵先生がこんなまともな小説を書けるなんて
という失礼な驚きに満ちているのが正直な感想
そういう意味でSNE方式は正しいと言わざるを得ない
(でも社外ゲストは名前出して良いと思うが)
もとい
民族学見地からの都市伝説を廃墟探索として
ホラー仕立ての冒険ものにまとめた一作
オカルトでありつつ理性的でSFマガジンらしい作品
主題である怖さについてはまったく感じ取れず
並行して読んでいた『小公女』の泥々のほうが
よほど「関わりたくない嫌な感じ」を受けるが
クトゥルフ神話TRPGのような
根拠が物見高い冒険ものというのでなく
登場人物たちに納得行く行動原理を
この題材にして描けているのは美点 -
ピクニック気分で行ける異世界の話と思ったら大違い!いきなり死にそうになったり、銃ブッ放したりの超アクションサバイバルな探検レベルです、これw
ネットロアに由来する怪奇が存在する裏側の世界に偶然入り込んでしまった空魚ちゃん、危険な場所と認識して生還したのにそれでもまた行くのだから肝が据わってるよな^^;鳥子との友情というか微妙なカンジの関係が、現実と裏世界での言動に所どころ現れてて面白い。吊り橋効果だよね…ニヤニヤ。
小桜さんと行った植物の町は、恒川光太郎さんの書いたトロンバス島を彷彿とさせました。列車の駅のその後も気になるところ。この先、どんな奥行きを見せるのか…楽しみな世界です。 -
ラノベっぽい軽いノリで、はじめはついていけるかなと思ったのだけど(しかもホラー系苦手だし)けっこうおもしろく読んでしまった。くねくね気持ち悪いな。
空魚が小桜に身の上を打ちあけるところが好き。すげー重い、特殊な過去なんだけど、それを自分ではどうってことないつまらない話だと思ってるの、いい。子どもって自分の家庭に閉じこめられているから、自分の家の特殊さってわからないんだよね。その感じはわかるしリアルだと思う。
読みながらどこか現代風遠野物語っぽいところがあるやんと思っていたら、ちゃんとネットロアという元ネタを拾っているんですね。おもしろいな。
空魚と鳥子の関係も少しずつ微妙に変化していくところがうまい。ちゃんとあとを引くようにできているのだった。 -
くねくねに八尺様という最近の怪談(とは言っても2000年代なのでそこそこ古い)をモチーフというかインスパイアというか主たる怪異として扱っていて、それだけでネット怪談好きとしてはわくわくする。
それからマンガから入ったので、脳内再生余裕である。楽しい。
2巻目以降のマンガになっていないところを読むのが楽しみ。