カラスのいとし京都めし(1)【電子限定特典付】 [Kindle]

著者 :
  • 祥伝社
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感想・レビュー・書評

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  • 絵はとても上手。キャラクターも魅力的。
    (魚田南さんの作画環境は知らないけれど)最近のデジタル作画環境マンガによくある画面の薄暗さがなく好みに合う。ベタや艶ベタで表現されることが多い部分もハッチング(カケアミ等)で表現されているところも好き。
    無生物の解像度が高い感じがする絵柄。でもどこにでも必ず背景を描きまくるわけじゃなくすっきりしててるし、バストアップや顔だけじゃなくほどよく全身像も入っててマンガも上手。好き。





    ここから先は個人的に感じたこと。魚田南先生大好き、マイナス点を挙げるなんて許さないって人は読まない方がいいです。



    絵が上手すぎて食べ物の絵が不気味の谷にはまってる。

    前作の「はらへりあらたの京都めし」の頃から感じていたけれど、魚田南さんって、めしマンガに向いている漫画家とはおもえない。

    上に書いた好き好きポイントを帳消しにする勢いで、食べ物の絵がおいしそうに見えない。正直な話不味そうに見える。
    魅力的なキャラクターがそれをおいしいって喜んで食べているから脳がバグる。
    もうすべてが吹っ飛ぶほど食べ物の絵が合わない。メシマンガとしては致命的。

    写実的で細かくてじょうずなのは間違いない。でも静物画や理系のスケッチを見ている気分。「そういう物体」を描いたものとしては写実的に細部までよく描けているんだろうけど、残念ながらおいしそうには見えない。
    艶の表現が乏しく(まったくないかも)湯気が描かれないからだろうか、油気もみずみずしさも温度も香りも感じない。
    でも物体の形としては凄くよく描けてて、こんなに絵が上手なのに不味そうで頭が混乱する。
    特に粒の表現が執拗で、お米やアップルクランブルなんて怖いくらい(私は集合体恐怖症ではないはずなのだが)。
    粒の一つ一つを実線で描くところ、凄く理系のスケッチっぽい。理系のスケッチとしてはやってはいけない表現も入ってることもあるけど。

    魚田南さんの飯のコマは写実的でドライで温度も湿気も感じない(湯気や香りが広がる時間の経過を感じにくい)。写真でもここまででのものはなかなかないってくらいにドライ。
    私の好みではないけど、ここまで徹底しているのはものすごい個性。
    これがエッセイの挿絵などのイラストならウエットみがない絵がとてもオシャレでいい感じになるのだろうけど(特に旅行記系とか向いてそうだ)、めしマンガは向いているだろうか。

    でもこの作者さんの飯マンガはそれなりに巻数重ねているので、こう感じる私は少数派なのかも。
    めしマンガで2作続いてしまったので今後も飯要素マシマシな作品の需要があるのだろうけれど、私はこの作者さんなら飯が出てこないマンガを読みたい。
    細かい器物の設定が出来るならファンタジー(この設定をつくるのが苦手な人もいる。どちらかというと苦手タイプの香りがする)、資料が揃うなら歴史物(洋の東西を問わず)なんか向いていそうな気がする。

    メシがなければ好みど真ん中なんだけど。でもこれからもメシ重視路線なんでしょうね。ご本人がメシマンガ好きならそれはそれでいいんだろうけど(それなりに売れてるし)。

    食べ物の絵以外は好きなんです。
    絵柄もキャラクターも雰囲気も画面の処理も好き。
    でも飯の絵だけがどうしても合わないんです(なのにメシマンガなので基本的に購入は避ける漫画家になってしまっている)。何作読んでも何回読んでも何年経ってもやっぱり合わないんです。


    他の作品と比べるのは良くないことだと思うけど、同じ頃に読み始めた「ワカコ酒」とどうしても比べてしまう。
    ワカコ酒の方が圧倒的に飯うまそうなんですよね。写実的ではなくとても漫画的な絵なんですけど、オイリーでジューシーで眼鏡が曇るほどの湯気と熱気を感じる(キンキンに冷えてるものも)。そしてワカコがうまそうに食べる。ワカコとメシの絵に温度差がないんです。
    もちろんどちらが好きかは読み手次第。でもメシマンガとしてお勧めするなら私はワカコの方です。

  • 京都版「みつめさんは今日も完食」。京都が舞台で、食の精霊じゃなく、妖方面。烏が人間界に降りてグルメを楽しむ。ほのぼの系。「他人より器用も苦労しますからうちは下手でもええですわ」カラスの居候先のおばあがほんわかいい味出してる。「ーそうか、卵とは包容力。包み込まれる幸せや」黄身焼き。豚と卵で想像がつかんが、卵の包容力は半端ないとわしも思う。「私は熟れすぎた柿は苦手やったんですけど…こう形を変えて一本開き直られると逆にハマってしもうてー」熟柿をシャーベットに。な、発想はなかった。これは美味しくないわけがない。

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