- Amazon.co.jp ・電子書籍 (174ページ)
感想・レビュー・書評
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ほぼ最後まで「ふたりのしるし」がタイトルだと勘違いして読んでいたから、それはいつ、どこで分かるんだろう。。。という変な期待をしながら読み進めてたかも。
タイトルは、「ふたつのしるし」でした。
裏表紙に、出会うべき人と出会う奇跡を描いた、心ふるえる愛の物語。
とあるのですが、まさにそんな感じでした!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分を消し他人と同化させることで生き抜いてきた“ハル”と自分のままに他人を意識することなく生きてきた“ハル”。そんな二人の“これまで”が語られやがて運命の日の出会いを迎える。一切の雑音を感じさせない言葉はまるで無声映画を観ているかのよう。静かな静かな物語。
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決して主人公気質でない二人、目立たず、人生を変えるほどの大きな不幸もなく、一冊の小説として成立するのか、とも思える。せわしない毎日だが、この一冊を読んでいる間は自然と二人のハルの人生と向き合うことができる。震災が絡み、それを中心に登場人物の思考が見え隠れする。働かない蟻は、なんのためにいるのか。これほど登場人物に寄り添った小説は多くない。
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私も名前にハルがつく。震災の時は大学生で東京にいた。
あの日、世界的に失ったものは多いけど、確かにこういう出会いもあったよなぁと。私もここまでドラマ的ではないけど震災をきっかけに選んだ縁があった。
震災を肯定は出来ないけれど、こういった救いもあったのだろうなと、実話じゃなくても救われた。しるしちゃん、素敵な名前。 -
112冊目(11-9)
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美しい顔を眼鏡で隠し、田舎町で息をひそめるように生きる優等生の遙名。早くに母を亡くし周囲に貶されてばかりの落ちこぼれの温之。遠く離れた場所で所在なく日々を過ごしてきた二人の“ハル”が、あの3月11日、東京が出会った―。何度もすれ違った二人を結びつけた「しるし」とは?出会うべき人と出会う奇跡を描いた、心ふるえる愛の物語。
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優等生の遥名と変わり者のハル。正反対に見えて、すごく似ている。世界に星の数ほどある「当たり前」を当たり前にできない、けど、そんな世界に背を向けることはできない。この世界に65億人いる「わたし」のうちの誰か2人の物語なんだな、と思った。遥名もハルも、ドラクエのヒーローにはなれないんだよね。でも、確かにそこには物語がある。東日本大震災大震災の時、確かビートたけしさんだったと思うんだけど、「1000人が死んだ事件じゃなくて、1人が死んだ事件が1000件」って言ってたのを覚えてる。2011年3月の話は、震災にあって、東京の2人が困った話じゃないですか。たくさんの人が帰れなくなった、じゃなくて、遥名と後輩が帰れなくなって、家まで歩く。帰宅難民って言葉で一括りにするんじゃなくて、彼女達の小さな苦難、もしくは冒険の物語。そして遥名はハルに出会う、正確には出会ってるんだけど、個人を認識したという意味で「出会う」なんだけど……。ハルの「しるしがついていた」は、すごく運命的で、ロマンティックな言葉にも聞こえると思う。しかも3.11で帰りあぐねてたところで!正直惚れるやろ!って思ったんだけど、第6話を読んで、あ、これは、人生の轍、歩き方や姿勢や考え方や、そんな、本人からしたらわからないような些細な部分に現れる、その人の生き方のことなんだろうなって腑に落ちた。「何を書いたってしるしにつながる」どんな生き方をしても、それがその人の「しるし」になる。わーー!生の全面的な肯定だ!!!って一回本を閉じました……笑 FFならNPCかもしれない2人を地球の真ん中にすえた、人間讃歌だ。宮下先生の本はあまり読んでなかったんだけど、機会があったらもう少し触れてみたいと思いました。
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一つ一つのエピソードが描き切られず、重要なところだけぽつりぽつりと記されている感じが、人生のスクラップブックみたいだった。独立していた2つの要素が絡み合って、小さなピースも繋がるのが、読んでいて良かった。
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読み始めから、なんだかよくわからない。この二人がどう繋がるのかが、まったく見えない。
二人が巡り合っても、なんとなく唐突な感じでした。
最後はほっこりと終りましたね。 -
おもしろかった。読んでよかった。
二人ともがそれぞれに生きづらさみたいなものを感じながら、心のどこかで折り合いをつけて成長してきた後に、運命的に出会って結ばれる…しるしはよかった。
二人に共感できるかというと、全てがそうでもない。それでも、よかったと思えたのは、なぜかしら…?
持ってるものをきちんと見つけてくれる人に出会った運は大きい。
さらに、二人の出会いも、遥名がハルの温度(思い)に一気に近づくのが、なんかいい。
読んだ後に、よかったなと思える、理想の本。 -
ふたりの「ハル」のお話。
宮下奈都さんの話、好きだなぁ。