ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法 [Kindle]
- ダイヤモンド社 (2017年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (230ページ)
感想・レビュー・書評
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1on1に関して初心に戻ろうと思ったときに必ず手に取る本になるだろうと思った。
ありがたいことに(?)自分の場合は今所属している会社で1on1が当たり前に存在し、自分は部下として1on1に参加している。なのでこの本に書かれていることで初耳なことはほとんどなかったし、本書に出てくる「部下は一人で考えているような錯覚に陥る」というのにすごく共感した。
これから自分はマネージャーになり部下のために1on1をする立場になる。その場合に本書に書かれている基本に立ち戻って1on1を開催したいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
要点
・経験学習を促進する為には、経験するだけではなく、経験を学習に変換するアクション(振り返り)が必要=1on1
・1on1によって、【具体的経験⇒内省(振り返り)⇒持論化(教訓を引き出す)⇒新しい状況に適応(持論、教訓を活かす)】のサイクルを回す⇒成長に繋がる
・1on1のベースは信頼関係、まずは信頼関係を構築する事が大切
・上司の仕事は「部下が活躍する舞台をつくる」こと
読後のアクションプラン
・毎週一回部下に対して1on1面談を実施する
・毎週一回1on1面談のフィードバックを上司から行ってもらう -
1on1 をする側としての本書だが、される側としてどうあるべきか、という示唆にもなっていて勉強になった。
話すのもスキルだが、聞くのも然りだなと思わされた。1on1は、受ける側が「自分の声を聞く」ことで気づきを得るプロセスのような気がする。
1on1 で上司は自分を語らない。写し鏡、壁打ち役、相手の分身といったような、相手が自分を見つめ直すための装置であることを要求される。
ふとした時に、「人は救われない、その人自身が自分を救うだけ」という、人が聞くにはなんともこそばゆい感覚に襲われることがあるのだが、ヤフーの1on1の実際もそのような感じなのではないかと思った。(自分の感覚を正当化したいだけかもしれないけど) -
チームの経験学習を促進するための1on1
【1章まとめ:1on1の基本】
●1on1では、部下に十分に話をしてもらうことが大事である。きちんと部下と向かって話す。
●部下の言葉を先取りしたり、途中で遮って自分の考えをはなさない。それでは部下の学びは深まらない。
●1on1は部下の成長のために行うものであり、上司が状況把握をするためのものではない。
●否定は常にNGではないが、上手に否定しないと上司依存、つまり部下は上司の指示を待つようになる。それでは部下は考えなくなり、学びは深まらない。
●次の行動=問題への対処について、部下より先に上司が示してはならない。
【2章まとめ:1on1とは何か】
●1on1は、社員の経験学習を促進し、社員の才能と情熱を解き放つことで成長させることを目的とする、人材育成のツールである。
●1on1によって「具体的経験→内省(振り返る)→持論化(教訓を引き出す)→新しい状況への応用(持論・教訓を活かす)という「経験学習」のサイクルが周り、成長に寄与する。
●社員の「才能と情熱を解き放つ」ためには、①いろいろな仕事を経験して、②上司や職場の仲間から観察してもらい、③経験を振返りながら自分の職業観について考えることが大切である。
●ヤフーではコミュニケーションとは、「自分の意図が相手に伝わって、相手が意図に沿って動いてくれること」と定義とする。1on1は、定期的かつ対話に集中できる環境でコミュニケーションを行うため、部下にとっては相談や評価をタイムリーに受けることができ、上司は部下に付いて多くの情報をえることができる。
【3章まとめ:1on1における働きかけ】
●上司と部下の信頼関係が1on1のベースであり、まずは信頼関係を構築することから始める必要がある。
●アクティブリスニング=うなずいたり、相槌を打ったり、相手が発したキーワードを繰り返す。
●レコグニション=目の前にいる部下の存在を認め、部下のありのままを受け止める、それを相手がわかるように伝える。
●コーチングとは、部下が経験から学び、次の行動を促すための質問を主としたコミュニケーション手法。ティーチングとの使い分けが必要。
●具体的なフィードバックによって、改善ポイントも明確になる。上司・部下間での目標水準をすり合わせることもできる。
●「この学びを次にどこで活かす?」という問いは、経験学習サイクルの最後をまわすための働きかけになる。
【4章まとめ:1on1導入ガイド】
●1on1という新たな手法をスタートさせるに当たり、人事が伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、社員の疑問に答えた。
●まず社員に経験をしてもらう。また、経営層を巻き込む。そして1on1をせざる得ない仕組みをつくる。
●自分が活用するのではなく、「部下が活用する舞台をつくるのが上司の仕事」であり、それが出来ない社員は管理職からは外れてもらうというメッセージを示す。
●1on1の技術を磨くための仕組みとして、1on1チェック、シャドーコーチング、社内コーチの養成などがある。