データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書) [Kindle]

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  • 因果関係を見極めることは最適なビジネス戦略を見極めるために鍵となる。=データアナリシス。

    広告で売り上げが伸びるか。
    電力価格が上昇して節電が進んだか。
    海外留学をすると就職しやすくなる?

    他の要因の可能性、逆の因果関係の可能性
    相関関係と因果関係は違う。
    世の中は怪しいデータ分析であふれている。

    電力自由化を行っている国の電力価格は高い=別の要因が関係している可能性。そもそも価格が高いほど自由化に取り組んだ結果かも。

    電気をつけたまま子供を寝かせると金がんになる。ネイチャーに載った論文。

    データ観測数が増えてもバイアスが解消されないケース=ビッグデータが解決しない。=ノートパソコンを希望者に支給して、成績を比べた結果、成績が20%伸びた場合。ノートパソコンの無償支給は成績を20%上昇させる、とは限らない。


    ランダム化比較試験(その他に二重盲検比較試験)
    介入グループと比較グループ(介入を受けない)

    オバマ大統領のwebサイトは24通りの画面が用意された。

    適切なグループ分け、ランダム、十分なサンプル数

    自然実験(まるで実験が起こったかのような状況をうまく利用する)=70歳の境界線で医療費が変化するか。

    RCTが使えない場合の集積分析。階段状の規制を利用して行動を分析する。

    パネルデータ分析=複数期間のデータが手に入る場合。所得税と移民行動の因果関係分分析。

    税抜き価格を表示するRCT分析=税抜き価格を表示されたほうが売れた。
    ウーバーの料金設定はどれが最適か。

    外的妥当性と内的妥当性=調査した地域以外にも妥当な結論か。

    出版バイアス(出版しようとすると効果がない、では出版できない)、パートナーシップバイアス(希望者を募った場合、応募してきた層には特定のバイアスがある。)

  •  ウチの会社はどうすればよくなるか、どうすれば収益が伸びるか、どうすれば利益率が高くなるのか、何が弱いのか、どこを伸ばすべきなのか。

    ・・・なんてことを、オッサン平社員の私でも、たまには小アツく思っており、そんな折に手に取り購入に至りました。たまたま計数管理という職務に従事しており数字にまつわる業務が多いので、一人よがりでいいので何とか数字で自店のベクトルを良い方向へ持っていく絵が描けないものかと思い、ヒントを求めての購入です。

     さて感想ですが、読後(というか読中)早速悟りますが、私のような凡才には手に余るほどの手の込んだデータ分析の世界でありました。つまりフツーの社員がこれを参考に何かやってみよう、という手軽な世界ではなかったです。

     しかしながら、データ分析という豊かな世界を垣間見ることができました。これは収穫でした。RCT(Randomized Controlled Trial)、RD(Regression Discontinuity)デザイン、集積分析、パネルデータ分析、など、読んだ私がすでに内容を忘れかけている手法ですが、こうした手法でもって電気料金の値上げは電気使用の抑制になるか(RCT)、とか、70才以降の医療費自己負担1割化は医療サービスの過剰利用を助長しているのでは(RD)、とか、自動車の燃費規制により逆に一部自動車の重量化が起きているのではないか(集積分析)、とか、欧州某国での所得税減税が移民の増加を促したか(パネルデータ)、等が、鮮やかに説明されています。

     筆者が冒頭でも巻末でも、本作をして直観的に分かるようなものにしたいという旨が書かれており、まさにその通りの仕上がりとなっていると改めて感じました。それを補うべく、巻末に数式(ちんぷんかんぷん)や参考文献(是非読んでみたい)が充実していました。

     筆者の学問分野は計量経済学と呼ぶそうなのですが、こうした分野に興味のあるかた、データを使用して政策立案を行う公共政策まわりに興味のあるかた、ビックデータなどを取り扱う統計学に関連のあるかた、その他論理学やロジックに興味があるかたにもお勧めできると思います。

  • この本の内容がいまいち刺さらなかった。

    因果関係と相関関係は違う
    見誤ると大きな利益損出になる
    ビッグデータのようにデータ数増えても意味がない

    因果関係をデータ分析によって明らかにするのはRCTが最良
    介入グループと比較グループ

    RCTの鉄則
    ①適切なグループつくり
    ②グループわけはランダム
    ③各グループにサンプル数を振り分ける

    強み 因果関係を科学的に示せる
       分析方法と結果の透明性
    弱み 費用、労力、時間、各機関の協力

    RCTできないこと 自然実験

    RO鉄則デザイン
    強み 仮説が成立すれば、境界線付近でRCT起こっているかのような状況を利用できる
    透明性のある分析
    境界線はビジネスや政策の様々な場所に存在
    RCTできないときに有効

    弱み 成り立つ根拠が示せるが、立証できない
       境界線付近しか因果関係主張できない
    など分析方法が掲載。

    いまいち何が言いたいかわからない

  • 「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」

    中学生、高校生でもわかるようにとの記載のとおり、
    読みやすいです。

    わかりやすい日本語、章別まとめ、数式無しの展開です。

    参りました。

    いま、データ分析業務の方、これからの方にオススメです。

  • 統計のネタ集めの1つ。因果関係があるか否かは実験をする。実験計画を立てる場合はRCT(ランダム化比較実験)を。実験室実験ができない場合は自然実験を。データ分析の内的妥当性が高くても,外的妥当性に問題がある場合も言及。社会に影響する政策検討や実施に用いられる計量経済学だからこその視点か。

  • ☆ランダムに割り当て、効果を検証

  • 現代はビッグデータの時代といわれる。しかし、データがあってもそれを分析する力がなければ、宝の持ち腐れ。この本はそんなビックデータから「因果関係を見極める」力の手助けとなる統計学的手法について中高生でもわかるレベルで書かれたもの。著者は京都大学経済学部出身で2015年現在シカゴ大学助教授。ある事象(X)がある別の事象(Y)の原因であるかどうか(=因果関係)を探る統計学的手法としてランダム化比較試験、RDデザイン、集積分析、パネルデータ分析のエッセンスをほんとにわかりやすく説明している。そしてそれのみならず、そういった手法が現実の社会でどのように活かされているかの例も紹介している。またそれぞれの手法の限界も丁寧に説明されている。久々に本当に頭の良い人が書いた本を読んだという感じ。おもしろい。

  • 因果推論の考え方や応用の入門・概論的な本。政策評価寄りの話題が多いけど、偏ってるわけでもなく、気軽に読める。
    細部よりは基本的な考え方を知りたい人向け。

  • データ分析の入門書。レベルとしては「データ分析って何の役に立つの?」という人向け。著者が行った研究の説明を中心に、どのような手法を使うことで何が分かるか、そして何が分からないかを紹介していく。

    紹介される手法はランダム比較試験、RDデザイン、集積分析、パネル・データ分析である。これらについて、鉄則・強み・弱みを解説し、どのようなシチュエーションで使え、例として何が分かったかを紹介する。理論の解説についてはグラフを用いて素人にも直感的に分かりやすいようにしている。数式は本文中には登場させず、より詳しく知りたい人のために付録に載せている。また、更にデータ分析を学びたい人のための参考図書も紹介されているので、入門書としてあるべき姿だと言える。

    個人的に感心したのは、仮定の話がちゃんと説明されていること。以前読んだ『マンスキー データ分析と意思決定理論』で、データから見解を述べるには、仮定が必要だと学んだ。特に推定範囲を狭めるなら、より強い仮定が必要だと。本書ではその仮定の話もちゃんと述べている。それぞれの手法について、どのような前提の下に結論を出しているのか説明があるのだ。ただ単にデータ分析をしたら色々分かるとするのではなく、その限界も合わせて述べる。これが大事。

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著者プロフィール

シカゴ大学助教授

「2017年 『スマートグリッド・エコノミクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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