とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話 [Kindle]

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  • 飛鳥新社
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感想・レビュー・書評

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  • お仕事漫画に分類されるものだろうけど、ブラック企業に勤める心理や精神状態を思わせて怖い。社会人として、まっとうな対応を考えているうちに、自覚なく徐々に追い詰められていく心理を思い知らされる。
    鬱状態だからこそであったかもしれないが、声をあげて状況を読者、業界に知らしめた作者の行動は、将来的には業界への大きな貢献になるのではないか。
    ここまで極端な例がどれだけあるのかわからないが、業界改善のための建設的な施策検討に思考が向かっているのが素晴らしい。
    表現手段や行動の指針に、「自分らしさ」を据え直すことは簡単に思えて、できないことだと思う。
    どんなに日が浅くても、〇〇(この場合は「漫画」)を好きだと思う気持ちは間違いなく自分のもの、人に間違いと言われる筋合いはない(うろ覚え)という言葉は、これから新しいことを始めようという時に、必ず意識したいと思った。

    本筋から外れるが、編集者ボーノはADHDなのだろうか…?
    あまりにも自分のことしか考えておらず、人の痛みに鈍感なあたりは、さすがに常人離れしている。正直、こんな人とは絶対に仕事をしたくない、、、。
    ただ、この編集者レベルまでは行かないが、近い人とは仕事をしたことがある。ボーノ氏もだが、自分が叱られたり、面倒な仕事が増える可能性は敏感に察知するあたり、論理的な判断ができないわけではない。
    しかし、人の負担や痛みにはとことん鈍い。
    加えてボーノ氏は、チェック漏れなども多く、これらの点がADHDと読者から指摘を受けた所以だろう。実際に、診断を受けたらADHDなのかもしれない。
    だけど、実際の発達障害者には、自分が「不思議と」人と上手くやれないことに関して悩んでいる人も多いと聞く。ADHD=無神経で忘れっぽく、人への配慮がない人と認識されてしまうのは少し悲しい。

  • 2018/11/23読了。
    著者を苦しめたKADOKAWAのボーノ氏という編集者は何らかの精神疾患が疑われると思うのだが、こういう人は出版業界に限らず今の世の中にはたくさん存在していて(昔から存在はしていたのだが今の世の中では生き延びやすく可視化もされやすくなって)、僕もこれまでに何度か、何人かに苦しめられてきた。だからこれは漫画業界の問題ではなく、精神医療やそれに関わる政策のレベルで考えるべき問題かもしれない。
    この手の人は利害関係や共働関係のない遊び友達や昼飯仲間として付き合う分には毒にも薬にもならず、知能に問題があるわけでも会話ができないわけでもないので、割と会社やコミュニティの中に普通に溶け込んでいるのだ。
    厄介なのは、他者への共感能力を欠いた利己的な振る舞いが、むしろビジネスの多くの局面では好ましい適性として評価されがちなことである。そういうことを罪悪感なしでやってのける人材が評価される風土を持つ企業が多くある。役所も同様だろう。従ってこの手の人が編集長クラスの小役人ポストについているケースは何ら珍しいことではない。もっと上のポストでも、政治家でも総理大臣でも驚くに値しない。
    この風土の対極にあるメンタリティと感性が、創作やクリエイションには必要だ。本来ならば編集という仕事にも必要(最低でもそうした感性が存在するという概念は必要)なので、ボーノ氏のような人は編集者としてはやっていけないはずなのだが、これはKADOKAWAの社員編集者が今や編集者ではなく管理者もしくは中間搾取者にすぎない傾向にあることを示している(もちろん全員がそうだとまで言うつもりはない)。電子コミックの普及に伴ってITなどの他業種や他国企業の参入が進んでいるから、この傾向は今後も加速度的に進んでいくに違いない。
    著者がボーノ氏以外のまっとうな編集者に出会って活動を継続できているのは、著者にとって誠に幸いな、今の業界では僥倖に等しいことであったと思う。

  • 以前にTwitterにて、一部紹介されているのを見た。

    「ひどい編集者・編集部」の話は、ちょくちょく色々な作家さん(雷句誠、福満しげゆき、佐藤秀峰、カラスヤサトシ…)から語られることがあるけれど、これだけのボリュームかつ、これだけひどいのは初めて。
    作者さんからすればたまったものではないと思うが、その分読み物として引き込まれてしまった。

    KADOKAWA編集者・編集部の行状に、怒ったり、あきれたり、思わず失笑したりする一方、「じゃあ俺は、俺の仕事に関わる人たちに同じことをしていないか?同じ思いをさせていないか?」という自問が自然とわいてきて、襟を正す気持ちになる。

    「The 反面教師」な本。

  • 漫画家・小説家という業種があまりにも「買い手市場」であることに、出版社があぐらをかきすぎている。

  • 過去に SNS でみて興味を持った騒動の顛末が描かれており、話のまとめ方がうまく、最後まで面白く読んだ。

    ところどころの小話で、作者は話の引き出しをたくさん持っていそうなと感じを受けた。

  • 作者さん漫画うまいなあ
    胃が痛くなる内容なのに読者側としては冷静に読むことができて、問題定義も感じることができたし、考えさせられる内容だった。純粋に漫画として面白かったのは凄いと思う。
    絵もとても可愛かったので、他作品を読んでみたくなった。

    該当の会社の社風、企業としては機能が回ってないのかな…下の被害が大きくなっているのに、上流では全く認識されていない状況というのは、割と良くある構図だと思っていて、わ、わかる〜〜〜〜!ってなりますね…
    報連相できない人の下につくとあるある。

    画像見たけど1600枚の色紙を無償で、あのクオリティで描かせるのはかなり怖かったです。

  • 2017.6了読。面白かった。作者さんが最後希望がある状態で終わってて良かった。暴露本出してくれて良かった。1700枚を超える手描き色紙を描きあげた根性はほんと凄いと思った。

  • 何よりも、このエッセイを書き上げられた作者様の勇気と覚悟には脱帽です。

    善良のふりをした悪人。
    無自覚なクズ行動。

    できれば今後、こういう人達と関わることのないような人生を送りたいと思いました。

    他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来。

  •  ひどい編集者の話はよくツイッター等に上がっている。
     そうして実際にひどい目に遭った漫画家さんのお話。怖い。
     最後に、この話を書くことができたこと、創作するところに戻れたことがあると思う。

  • 前にどこかで良い評判を聞いたので、読んでみました。

    こういう会社や人って、いるよね〜と思ってしまいました。
    新人漫画家でなくても、起こることはあるんだろうなと。

    契約などはきっちりしたい派なので、口約束だけで、仕事するのは私の中ではありえない…けど、昔ながらのやり方でやっている会社はこういう風に言うこともありますよね、しかも結構頻繁に…変わって欲しいなと思いました。

    そして、ストーカー被害にあったことのあったり、ブラック企業に勤ていたなどの経験があるとの著者。我慢する環境になれている人は限界まで我慢しやすい(限界のところに鈍くなっている)。。という状況が描かれていて、私も気をつけなければ、いけないと思いました。
    友人・知人からその感覚が普通なのか確認したり、客観的な意見を聞くということを忘れてはならないなと思いました。

  • KindlePrimeReadingにて無料。
    まあね・・・
    こういう会社って結構あると思うのよ。
    しかもかなりね。
    そこで流されちゃうのもよくないと思うのよね。
    色んなしがらみができる前の新人のうちにこんなクソ野郎は切り捨てるべきだったとも思うのよ。
    そうすればここまで悪化することもなかったんじゃないかなあ。

  • ツイッターのRTや諸々のまとめを見て騒動は知っていたけど。

    思うところは色々あるけど、良い編集さんに出会ってリスタート切れたようで良かったですね。

  • 人がどうしてやる気をそがれ消耗し、鬱に追いやられるのかが如実にわかる。出版業界において編集者と作家は一対一、相対で仕事をしていく。その相手がこれでは…KADOKAWAのレベルが知れる。「うつぬけ」にも詳しいがうつ病を抜け出すきっかけが「やはり漫画を描きたかった」というのが救い。

  • 無能な善人は他人を壊していくって話です。出版業界に限らず、ああいう人はどこにもいるよね。僕の実体験からでも、地獄への道は善意でできてるって本当だと思います。

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