日経サイエンス2017年8月号

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  • 日本経済新聞出版社 (2017年6月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071150879

日経サイエンス2017年8月号の感想・レビュー・書評

  • 特集はブラックホールとアルツハイマー病の2本立て。

    ブラックホールの方は観測最前線を紹介する。ブラックホールは光を発しないため、直接観測することは困難である。観測チャンスは何かが呑み込まれるときだ。星やガスが吸い込まれていく際に、間接的に観測することになる。
    非常に広い範囲を観測する広域掃天観測の発展により、巨大なブラックホールに近づきすぎた恒星が破壊され、呑み込まれる様子が観測可能になってきた。潮汐破壊現象と呼ばれる現象を捉えたのである。潮汐力とは、物体に働く重力場が一定でなく、物体表面あるいは内部の場所ごとに異なっているために起こるもので、地球の海の潮の満ち引きに月が関与しているのも月の潮汐力による。2つの物体の距離がさらに近づくと、小さい方の物体が大きな方の物体の潮汐力によって破壊される。巨大ブラックホールと恒星の場合であれば、恒星は粉々に砕かれて、呑み込まれ、その物質の一部はジェットとして噴出される。華々しい天体ショーの始まりである。時間スケール的にも数ヶ月であり、始めから終わりまで観測可能というのも利点だ。
    こうした現象を詳しく調べていくことで、ブラックホールが天体を呑み込む過程、ジェット噴射のメカニズムについての研究が進み、さらにはブラックホール自体の成長や周囲に及ぼす影響がより詳しく解明されることが期待される。

    高齢化社会の到来で、大きな問題となる疾患の1つがアルツハイマー病だ。過去30年でおよそ200種類の薬剤が試されたが、決定的な特効薬は見つかっていない。
    だが、大規模な調査によって、生活習慣で認知力の低下を予防できる可能性が示されてきている。健康的な食事、適度な運動、社会的活動の継続により、認知力低下を予防し、場合によっては認知力を向上させることも可能であるようだ。
    これとは別に、健常者とアルツハイマー病患者の大規模な長期追跡調査によって、加齢によって起こる変化は、脳を「鍛える」ことによって跳ね返せる場合もあることが示されてきた。脳に損傷を受けていても、認知機能が低下する人と低下しない人がいる。身体にとっての筋トレと同じように、脳の「認知的予備力」を高めることは可能であるという。「学習する」という現象からもわかるように、脳は柔軟性・可塑性の高い臓器だ。認知力の「ため」を作っておくことで、認知症になりにくくなる傾向が生まれる。
    いずれにしても、近道はないし、「絶対」はない。日々、贅沢をしすぎず、地道に動き続けることが、アルツハイマー病になり「にくい」脳を作る「可能性」を高める。
    その結果は、いずれわかる。

    脳の健康を維持する10カ条があったので、挙げておく。
    1. いい両親を選ぶべし!(*いや、これは選べないが(^^;)。)いい遺伝子をもらって、十分な教育を受ける機会・外国語と音楽を学ぶ機会をしっかりもらおう。ネグレクトは回避しよう。
    2. 脳の認知機能や体をいつも使うよう心がけよう
    3. 社会とのつながりを保ち、さらに強めていこう。
    4. 外に出て新しいことに挑戦しよう。
    5. 落ち着いてリラックスし、幸せを感じよう。
    6. 会って気の滅入る人は避けよう。特に家族の場合は要注意!
    7. 誠実で勤勉であれ。
    8. 有意義で目的意識を持てる活動に参加しよう。
    9. 心臓の健康維持も心がけよう。心臓にいいことは脳にもいい。
    10. 新鮮な野菜と果物、魚が中心の食事をしよう。(一部改変)


    どなたさまもGood Luck!

  • ブラックホール特集。
    個人的には、次世代ガンマ線天文台(チリ・パラナル)の動向が気になる。

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