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感想・レビュー・書評
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俳句甲子園に賭ける女子高生の物語。
勝負をする以上、まずは教科書通りの俳句を作ることが重要で極めてロジカル。
しかしたまにそれを超えて情緒に訴える作品が出るのが面白い。
俳句に前向きなもの、後ろ向きなもの、脇から支えるもの、一度離れたもの。色んな人がそれぞれの長所を生かして関わっているのがいいなと思いました。
結論ありきで後半バタバタした感はあった気がします。笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022/5/16
910||モリ (3階文庫)
小学生のころから父親の影響で俳句に慣れ親しんだ茜。現文の授業を楽しみにしていたのに、俳句の単元は飛ばされてしまう。「俳句は文学ではありません」と国語教師に否定されたことから、物語は始まる。
このことがきっかけとなり、仲間を集め俳句甲子園を目指す。
俳句甲子園は、ただ作句するだけではなく、ディベートも必要。わずか17音に込めた生徒たちの熱い思いを見届けよう。
続編『南風(みなみ)吹く』もお薦め! -
オリンピック選手と戦って勝てるとしたら、
100メートル走とマラソンどちらだろう?
どちらも勝てないのは当たり前。
時間差が少ないのは100メートル走。
世界のトップと、
10秒以内の差に収められる可能性がある。
たった10秒!10数える間だ。
走り終わった後、
しばらく喘ぐことになるけれど、
わずか20秒ほど頑張るだけだ。
同じく文学をやろうとしたら、
長文の小説と短かい言葉の詩歌で
詩歌の方がハードルが低い。
特に俳句はたった17文字。
詩や短歌よりもさらに短く、
3つ程度の言葉を組み合わせるだけだ。
100メートル走のわずか10秒、
トップとの差たった数秒が近いようでいて
絶対に埋まらないように、
少ない言葉だからこそ
その組み合わせに難しさがある。
でも100メートル走と違い、
俳句では奇跡が起きうることもある。
スポーツのように一方向の勝負ではなく、
様々な価値観や広がりを持つ文学では、
ふと詠んだ句が
多くの人の心を打つものになる可能性がある。
その人でしか詠めないというものが、
誰にしもあり得る。
高校生には高校生の、おじさんにはおじさんの、
迸る言葉があり想いがあり風景がある。