1日外出録ハンチョウ(1) (ヤングマガジンコミックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • カイジは未読ながら、ハンチョウに手を出してしまった。食テロ漫画。班長の大槻の1日外出券を使った食事情がツボる。決してグルメではない大槻。グルメじゃないけど、限られた時間で目一杯食べることを楽しむ。食べるだけじゃなくて、シチュエーションや店選び。ともかく楽しむ。時にはせこさと紙一重だけど、楽しんだもの勝ち。切り替えの早さと瞬時に判断し、決断する速さは、その能力あれば地上でも…。とも思えるが、瞬発的な能力なのかもしれないな。オムレツライスはぐっとくるものがあった。

  • 利根川に続くカイジのスピンオフ第二弾ですね。
    カイジに詳しくない方に向けて
    簡単にこのマンガの背景を書きます。

    カイジの世界では巨大消費者金融グループ
    「帝愛」が世間で君臨しています。
    イメージ的には武富士が全盛の頃という感じでしょうか。
    で、主人公カイジは借金を返せずに、
    帝愛グループが運営する地下にある強制労働所(建設現場)で
    完済するまで強制労働させられます(もちろん泊まり込みでそこからは出れません)

    で、本筋のカイジのストーリーの中では
    その建設現場でカイジたち労働者から
    搾取して私服を肥やす小悪党な先輩労働者として
    このスピンオフの主人公大槻ハンチョウが登場します。

    このハンチョウというのがなんとも小賢しいというか
    小狡い小悪党なんですね。
    帝愛グループにうまく取り入って現場内にて
    酒や煙草を(マージン大幅に乗せて)販売する権利を
    得たり、イカサマ博打を開帳して大儲けをしたりする。
    まぁ、かなり嫌な奴、時代劇でいうと典型的な越後屋タイプ。
    だけれども、この大槻という男。
    妙に人の本質をついた含蓄のある言葉を語るんですね。
    名言の多いカイジですが、その中でも珠玉とも言えるこの言葉。

    明日からがんばるんじゃない…今日…今日だけがんばるんだっ…!
    今日をがんばった者…今日をがんばり始めた者にのみ…明日が来るんだよ…!
    http://xn--eqrx44dbjey6x.net/kaiji/ootsuki.html

    このまっとうすぎる超名言、実は小悪党大槻ハンチョウの言葉なんですね。
    だから一部に(私も含め)妙に愛された不思議な悪役だったわけです(笑)

    で、今回ご紹介するスピンオフ作品の話に戻りますと
    この強制労働所では一定額のお金を払えば
    一日(24時間)だけ、シャバつまり普通の世の中に
    出ていくことができるというシステムがあります。
    普通、そうした権利を行使する場合、誰でも時間いっぱい
    飲んだり食ったり遊んだり、となるわけですが
    この大槻ハンチョウの遊び方は一味も二味もちがうんですね。

    例えばある一日の動きを追うと
    まず向かうのは紳士服量販店。
    地味なビジネススーツを買う。
    どこかかしこまった店でも行くのかと思いきや
    入るのは、どこにでもある立ち食いそば店。

    時間は昼飯時ちょっと前。
    ハンチョウはそばをたのまず単品で天ぷらなどを頼み
    ついでのように生ビールを頼む。
    ゴクリと飲んでいるうちに、
    短いランチタイムのサラリーマンたちが
    店内にはうじゃうじゃと来店して
    そそくさと立ちながらそばを食い始める。

    そんなサラリーマンたちを尻目にハンチョウは
    生ビールをおかわりする。
    周りのサラリーマンたちからすれば
    自分たちと同じようにビジネススーツをきていながら
    昼間からグビグビとビールを飲んでいるこの男は何者?
    もしやそれほどの気ままなランチが許される
    すごいビジネスパーソンなのではないのか??
    と羨望と嫉妬の視線を浴びる。
    その視線に気が付かないようにハンチョウは
    またビールをなんともうまそうに飲み干す・・・・。

    冷静に考えれば立ち食いそばで生ビールを飲みながら
    天ぷらを食べてるだけなんですけどね(笑)
    ハンチョウのこの一日をいかに楽しむか?
    まさにゲスの悪知恵の極地ではありますが
    見事に人がいかにして気持ちよくなるのか?
    という一面を完全に理解している人の行動ではないでしょうか(笑)

    そしてもうひとつ言えるのは
    人の喜怒哀楽って
    実際に何をしているのか?何をしたのか?
    というよりも状況次第、
    受け取り方次第なんじゃないでしょうかね?

  • 『中間管理録トネガワ』に続く『賭博黙示録カイジ』のスピンオフシリーズ。

    正直、『中間管理録トネガワ』でお腹いっぱいという感じだったので、あまり期待していませんでしたが、細かすぎる心理描写と時事ネタが秀逸でクオリティかなり高いです。

著者プロフィール

1980年、『よろしく純情大将』でデビュー。代表作は『賭博黙示録カイジ』、『天』、『銀と金』、『最強伝説 黒沢』、『賭博覇王伝 零』など多数。現在、『賭博堕天録カイジ 和也編』、『アカギ』を連載中。

「2012年 『賭博覇王伝 零 ギャン鬼編(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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