生涯投資家 (文春e-book) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • Kindle Primeにて読書。面白かった。

    村上氏の自伝である点に留意が必要だが、
    東京スタイル・ニッポン放送・ライブドアなど世の中で騒がれた事件の
    本人視点での解説がとても興味深い。

    「コーポレート・ガバナンスを浸透させたい」という主張は本著書内で一貫しており
    投資姿勢の中心には常にこれがあったことがわかる。

    また、口調が厳しくなってしまう・言い方に問題がある、といった点を
    本人も自覚していたこともわかった。

  • 村上ファンドで有名な村上世彰氏の著作。
    投資家としての考え方や投資方針などがたっぷり書いてある。
    気になるニッポン放送、フジテレビをめぐる買収合戦の裏側の事情も書いてあって、当時を知る者としては非常に面白く読めた。

    当時のメデイアの報道の仕方は「報道機関を金儲けだけを考えているハゲタカに渡す訳にはいかない」という路線で徹底的に村上ファンドを悪者として扱っていた。
    なんとか日本の放送機関を守るんだとメディア一丸となって叩いていたと思う。
    私自身も「村上ファンド=悪者」と思い込んでいて、インサイダーで逮捕された時はざまあみろと思っていたものだ。

    ただ、この本を読んで印象が一変した。
    あのニッポン放送の買収劇の前から、子会社のフジテレビの業績に比較して親会社の株価の低すぎるというのは問題視されてたらしい。村上氏は投資家の立場から何度もニッポン放送やフジテレビ、産経新聞に対して買収防衛策を提案していた。しかし、各企業の自己保身やグループ内のコミュニケーション不足により全く採用されず。そうこうしているうちにホリエモン率いるライブドアに買収を仕掛けられる事態となる。本当に企業のためを思って提案していた村上氏の思いは届かず、半ば対処療法的な決着となってしまった。

    村上氏の主張は一貫して「コーポレートガバナンスの徹底と資金の還流」だ。

    一つの企業が余剰すぎる資金を貯めすぎるのではなく、株主や市場に資金を還流すれば、あらたな投資家が別の投資活動へお金を使い、資金が還流し経済が好転的にまわりだすという考え方だ。

    そのためのコーポレートガバナンス(企業統治)が重要だと考えており、そんためには投資家として口を出していくというスタンスだ。

    当然ファンドビジネスであるからには利益を出す必要があるのは間違いないが、それよりも企業の成長や健全化を通じて自分も利益を出そうとしているように思える。

    村上氏の自伝なので美談的に記してあるとは思うが、自身でNPO法人を設立し、資金のなNPOへ出資したり、災害時準備用にテント資金を寄付したり、今で言うクラウドファンディングの基礎を作ったりと、知られていない活動を行なっている。
    書いてあることは、美談や誇張が含まれているかもしれないが、やっていることは素晴らしい。
    お金の使い方をきちんと分かっていると思う。

    今にして思えば、悪者は村上ファンドではなく、一方的な報道で印象操作を行っていたメディアの方ではないかと思う次第だ。

    そうまでして守ったフジテレビの今の凋落ぶりを見れば、あの時ホリエモンが目指した「ネットと放送の融合」がなされていれば、どうなっていただろう。

    ちょっと財務知識が必要だけど面白い本。

  • インサイダーで逮捕された村上氏。ことの経緯を自ら執筆したとのことで興味深く読了した。さすが経産省官僚を務めただけのことはある骨太の人物であった。本人の弁によれば特捜部の捜査も疑問が残る。M&Aに対する考え方もマスコミまたは被買収側の思惑でゆがんだ報道だったようだ。株主至上主義とは一線を画すようだ。いわゆるオーナー企業のまま上場してるケースも多い日本だが、コーポレートガバナンスの浸透こそ、株式の時価総額を上げていく最善の道と説く。一理ある。

  • 村上さんのことはメディアで叩かれている「なんか悪そうな人」のイメージしかなかったのだが、本書を読んで印象がガラリと変わった。コーポレートガバナンスを通して日本を良くしたかった想いなどが綴られている。
    村上さんの考える、コーポレートガバナンスのあり方や日本の企業の財務環境のあるべき姿についても学べるので、勉強になった。

  • 【目次】
    はじめに――なぜ私は投資家になったか
    第1章 何のための上場か
    ・・・官僚として見た上場企業の姿/コーポレート・ガバナンスの研究 ほか
    第2章 投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス
    ・・・私の投資術/累積投票制度を導入せよ――東芝の大きな過ち ほか
    第3章 東京スタイルでプロキシーファイトに挑む
    ・・・決戦の株主総会 ほか
    第4章 ニッポン放送とフジテレビ
    ・・・私が見たライブドア対フジテレビ ほか
    第5章 阪神鉄道大再編計画
    ・・・西武鉄道改革の夢――堤義明氏との対話/阪神タイガース上場プラン――星野仙一氏発言の衝撃
    第6章 IT企業への投資――ベンチャーの経営者たち
    ・・・楽天――三木谷浩史氏の積極的なM&A/ライブドア――既得権益に猛然と挑んだ堀江貴文氏 ほか
    第7章 日本の問題点――投資家の視点から
    ・・・日本の株式市場が陥った悪循環 ほか
    第8章 日本への提言
    ・・・コーポレート・ガバナンスの浸透に向けて/世界一の借金大国からの脱却 ほか
    第9章 失意からの十年
    ・・・東日本大震災について/フィンテックへの投資 ほか

  • 「村上ファンド事件」で有罪判決を受けた村上世彰さんが、自身の半生と投資家としての理念を語った本。

    コーポレート・ガバナンスを日本に浸透させることを第一に、投資家活動を続けた村上世彰さんの熱い信念が書かれています。

  • 久しぶりに読書。Amazonプライムで読めるもの。
    テレビ番組で見かけて気になったので。
    自ら語る形式なので気取らない雰囲気なのだがあまり読みやすくはない。ただ色々あった方なので内容は盛りだくさん。既存権力に逆らう形になってしまったんだなぁ。
    着地としてはよかったのかなとも。

  • ニッポン放送をめぐるインサイダー取引で大騒ぎになった村上さんの著書である。当時は濡れ手で粟で巨額の利益を得た汚い投資家という印象を持っていて、萩本欽一のような顔とのギャップに嫌悪を感じたものだが、実態はまるで違うものだった。出る杭は打たれるで、どこかからの圧力で潰された人なのかもしれないと思った。
    ファンドが手がけた案件を詳細に書いているが、儲けたという話は書かれていない。ただの自慢話になってしまうからかもしれない。内容は難しくてよくわからなかったが、この程度の内容がわからなくては投資をする資格はないんだろうなあ……。

  • プライムreadingにあって面白そうなんで読んでみましたシリーズ

    村上ファンドのことって正直あまりよく知らなかったが、この本を読んで、金融市場とはなにか、上場企業の果たすべき役割そして彼の哲学を知ることができてよかったです(小並感)

    なかなか面白かったし、株式投資に携わる人間として参考になりました。

    相変わらず適当なレビューである。

  • 先日ガイアの夜明けに出演されてたの観て、この本を手に取りました。自分も若い頃から投資しているので、この手の本を数多く読んだが、断然厚みのある体験に引き込まれた。村上さんの視点なので、どこまで信じるかは置いておいて、新聞・TV報道では分からないことが多々あるな。と感じた。

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著者プロフィール

村上 世彰(ムラカミ ヨシアキ)
投資家・N/S投資部特別顧問
1959年大阪府生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。日本経済の持続的な成長のためにはコーポレート・ガバナンスの普及が重要であることを実感し、40歳を目前にファンド会社を設立。現在はシンガポールに拠点を移して投資を行う。また、日本の社会的課題の解決に寄付を通じて貢献したいという想いが募り、村上財団を創設。働く女性の労働・生活環境のサポート、未来の日本を創る中高生の金融教育や社会支援に積極的に取り組んでいる。

「2021年 『読んだら一生お金に困らない N/S高投資部の教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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