反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 長い。しかもだらだらと長い説明。
    反脆弱性という聞きなれない言葉であるが、漢字の通り「脆弱」ではない=ロバストということである。

    複雑なシステムは予期できない脆弱性、しかも複雑になればなるほどそのインパクトは大きくなるが(これを筆者はブラックスワンと呼んでいる)、頑張れば反脆弱性にある程度は移行することができるよ、という感じ。
    それを500ページも使ってだらだらと説明している。

    これと同じ説明が下巻にも続くのかと思うとぞっとする。

  • いまこのタイミングでこの本と出会えたことに感謝したい。数年前にはたぶんこの本の価値は半分もわからなかった。文章のはしばしに記憶を呼び覚まされ、それまで無関係だった点と点がつながり、シナプスが結合して「ああ、そういうことだったのか!」とあちこちで発火する、まったくレアで刺激的な読書体験だった。2017年は「反脆さ」と出会った年として、深く記憶されるだろう。
    それにしても「アンチフラジャイル(反脆さ)」という言葉の扱いにくさに、翻訳者も編集者も頭を抱えたのではないか。「ブラックスワン」に匹敵するシンボリックな例がないか、読みながらずっと考えてしまった。この本にも「黒鳥」がいれば、きっともっとずっと話題になったのではないかと思うと、それが残念でならない。

  • 「脆い」の反対の意味の言葉は?
    と聞かせると「頑丈」とかそういった言葉を考える。
    でも、脆いとは、変動性によってマイナスの影響を受けることで、頑健とは影響を受けないこと。
    脆いの反対の意味なら、変動性によってプラスの影響を受けることになるが、そんな言葉がない。
    なので、本書では、それを「反脆い」と定義して、
    反脆さの重要性を示していく。

    現代では、予測もしていなかった悪い事象(ブラックスワン)によって、経済が崩壊するということが多くある。
    リーマンショックや、最近であればコロナなどがそれにあたると思う。

    本書では、そういったブラックスワンを予測するのではなく、そもそも、予測不可能なのだから、予測せずとも問題のない反脆いシステムを作るべきだと主張する。

    現代において益々重要性を増している本だと思う

  • 最後の部分が自分の勉強法でランダムな読書をしてきて一生を暮らせる金を得たということである。そのためには、経営学などのビジネススクールは無駄であり、さらに国家の経済のためにも大学は無駄であるという話を持ってきている、
     これを読んで学生が大学に通わずに本を何百冊も読めるかどうかはわからない。つまり、予測があるものではない、という筆者の主張になる。
     筆者には自分の方法があったのであろうが、そう単純なものではあるまい。

  • 「反脆い」もしくは「反脆弱性」という新しくて分かりづらい概念を説明している書籍です。著者はブラックスワンで有名なタレブ氏で、上・下巻の二巻構成になっています。

    分かりづらい概念ではありますが、本書を読み進めるうちに自分の周りにも「反脆い」システムがありふれていることに気づきます。特に生態系は最も分かりやすい反脆弱なシステムと感じました。地球という生物にとっての生存環境が長い年月をかけて変化し続ける中で、多数の生物が存在することが全体として反脆弱なシステムになっています。一方で一つの種に視点を移すと、環境の変化に適応できずに絶滅する種はいつでも存在するので「脆い」と言えます。多種多様な「脆い」種が存在することが、全体として「反脆い」生態系というシステムを形成しているという考え方です。

    本書では他にもあらゆる事例や視点から反脆弱性について検証されており、世界を理解する新たな視点を得ることができ、視野が広がったと感じます。

  • 非常に面白い哲学書。物事の考え方を正すことに適している。脆弱の反対は「頑健」ではなく「反脆弱」この考え方や、実例の紹介はとても分かりやすかった。

  • 「脆弱」の対義語は「反脆弱」。
    一時的な強いストレスや環境の急激な変化に対して、むしろその影響をプラスにすることができる能力。
    ケリー・マクゴニガル博士の「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」にある「レジリエンス」に近い概念だと感じた。

    様々なエピソードはどれも面白かったが、中でも「大企業は安定しているが、そこで働く人は突然の倒産に対応できない」という話が面白かった。
    ちょうどインターン中にこの本を読んでいて、進路を考える上で示唆を与えてくれた。
    安定を求めて、安定している職場を一生懸命探すよりも、
    日常的に身銭を切る行動をとって「反脆い」存在になることの方が、
    不確実性の高いこれからの時代を生き抜くためには有利であるように思える。

  • コロナ危機を受けて再読した。本当に素晴らしい本だと思う。ブラックスワンの頃から読んでいないと分からない部分も多いと思うが、この本に書いてあることは類を見ないクォリティと革新性だ。タレブはかなり昔から物事のオプション性の危険性と対処の仕方を様々な形で話している。冗長である事や細かな間違いを全体に反映する事ができる事が非常に重要であること、合理的な手法や様々な仮定の上に成り立つエセ科学的な理論の危険性を繰り返し指摘し、脆弱ではない事とはどのような事かを説明する。その内容は圧倒的だと思う。パンデミック後の社会を考える上で非常に重要だと思う変わらないだろうと思いつつ、この本の偉大さに感じ入る。

  • やっと読み終えた。。
    やや冗長なんじゃないかな。途中で経済の本ってことを忘れて、なんで市場の話してんだろ?と思うぐらいには、散見してる。あと、学問への並ならぬ想いゆえに、学者への痛烈な批判やポエムも混じってる。

    まさに生命。

  • 評判を気にしていない人にしか、よい評判は立たないものなのだ。人間の魅力も同じだが、私たちはいちばん注目なんて求めない人に、いちばん注目する

    システム全体を強くするためには、システム内部に脆い部分が必要なこともある

    この七面鳥の話から、質の悪い間違いの根本原因がわかる。「(有害性の)証拠がないこと」を「(有害性が)ないこと」と勘違いしてしまうことだ。あとで説明するように、この種の間違いは知識人の間で蔓延していて、社会科学の分野にもすっかり根を下ろしている。

    変化なくして安定なし。それが人生の摂理のひとつなのだ。

    人間の立派さは、自分の意見を貫くためにどれだけ個人的リスクを冒したかに比例する。言い換えれば、その人の負ったダウンサイドの量に比例するわけだ。要するに、ネロは、博学、美意識、リスク・テイク以外、ほとんど何も信じていなかった。

    実際、心を”最悪”の状態にセットしておくという方法には、癒し以上のメリットがあった。最悪の状況がはっきりとしていて、ダウンサイドに一定の限度があるようなタイプのリスクが負えるようになるのだ。物事が順調なとき、常に最悪を想定しつづけるのは難しい。だが、自制がいちばん必要なのはそういうとき

    私は、現代の真のストア哲学者とは、恐怖を思慮深さに、苦しみを教訓に、過ちをきっかけに、そして欲望を実行に変えられる人だと考えている。

    「単純明快な発見ほど、複雑な手法では見つけにくい」というシンプルで実用的な経験則を思いついた。

    物事を理屈でとらえると失敗するという以外に、もうひとつ教訓がある。頭にまやかしの知識や複雑な手法をいっぱい詰め込んでいる連中ほど、ごくごく初歩的な物事を見落とすということ

    「ほかの人がもう知っていることの大部分は、学ぶ価値などない」。私は心を打たれた。私は今でも、ある職業で成功するために知っておくべきこと極意みたいなものは、必ず教科書以外にあると思っている。それも中心からなるべく離れたところに。だが、読む本を選ぶときに、自分の心の声に従うというやり方には、ひとつ重大な意味が潜んでいる。私は学校で勉強しろと言われたことはまったく覚えていない。でも、自分で決めて読んだものは、今でも覚えているのだ。

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