世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書) [Kindle]
- 光文社 (2017年7月20日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (228ページ)
感想・レビュー・書評
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哲学や美術が好きな自分を肯定してくれるようで嬉しくなった。美術については虚心坦懐に見て、それを誰かに伝えてみることで新しい見方ができる。哲学はその考え方自体というより、その時代背景でどう問を立てたかに思いを馳せることで、VUCAな時代の問いの立て方が身につくのかなと感じた。
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教養としてのドラッカー
カント
ー真:純粋理性批判
ー善:実践理性批判
ー美:判断力批判
選択と捨象
脳科学は何を変えるか
失敗の本質
科学と仮説
消費社会の神話と構造(人々はけっしてモノ自体を消費することはない。理想的な準拠として捉えられた自己の集団への所属を示すために、あるいわより高い地位の集団を目指して自己の集団を抜け出すために、人びとは自分を他者と区別する記号として(最も広い意味での)モノを常に操作している。ージャンボードリヤール)
ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る
デザイン思考を超えるデザイン思考
菊と刀
資本主義の中心で、資本主義を変える
人生を変える読書 人類三千年の叡智を力に変える
デザインのデザイン
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 -
期待を大きく超える面白さ。サブタイトルの方がしっくりくる。全体の流れ、時代のうねりを捉えようとする試みには共感する。確かにその通り、と思える言葉がたくさんあった。
■「分析」「論理」「理性」に軸を置いた経営、言わば
「サイエンス重視の意思決定」では今日のように複雑で
不安定な世界においてビジネスの舵取りはできない。
■正解のコモディティ化
■「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出する
構想力、創造力
■自己実現的消費 「アップル製品を使っているワタシ」
■実定法主義と自然法主義。システムの変化が早すぎる
現在、グレーゾーンでのビジネスは自然法主義で行う
べし。
■Google "Don't be Evil" 邪悪になるな
■人生を評価する、自分なりのモノサシを持ちなさい
■セルフ・アウェアネス 自分の状況認識、自分の強みや
弱み、自分の価値観や志向性など、自分の内側にある
ものに気づく力。
■システムを無批判に受け容れず、相対化する
■市場におもねる目線ではなく、自らの美意識で市場を
教育する目線 -
言語化が難しい美意識・センスの部分の重要性に再度気付かされた本。
感覚的なところが、理論的に記載があることで、頭にスッと入ってくる。山口周さん大好きです。 -
これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足を置いた経営、すなわち「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界において、ビジネスのかじとりをできないから。「直感」「感性」をもとにしたアートが求められる。
・以下具体的な理由
①論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある
・正解のコモディティ化=差別化の消失
・方法論としての限界=問題を構成する因子の増加、かつ動的に複雑に変化。
・要素還元主義の論理思考は機能せず、全体を直感的に捉える感性と、「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出する構想力や想像力が求められる
・太平洋戦争の諸々の作戦の失敗が「空気」をもとに決まったことのトラウマから、日本は「理性」「論理」に傾きすぎている。「アート」「サイエンス」双方のバランスが大切である。
②世界中の市場が「自己実現的消費」へ向かいつつある
・市場において、消費者が求める便益は、機能的便益→情緒的便益→自己実現的便益へとうつっていく
・全ての消費ビジネスがファッション化しつつある
・商品において、機能、デザインは簡単にコピーできるが、ストーリーはまねできない。
・日本はすぐれた世界観とストーリーをもっており、これを利用しない手はない
③システム変化にルールの制定が追いつかない
・エリートは達成動機の高さのために、しばしば法のグレーゾーンを踏み越えてしまうことがあるため、内在化された倫理や美意識をもつことが重要
・ソマティック・マーカー仮説:情報に接触したとき、前頭前野腹内側部に影響を与えて感情的に「ありえないオプション」を排除する
・「美しい」と感じたとき、内側眼窩前頭皮質が活性化する。またこの部位は意思中枢の決定にかかわっている
・ハンナ・アーレント:ナチスのアドルフ・アイヒマンについて書いた本の副題が「悪の陳腐さ」。悪とはシステムを無批判にうけいれること。そこには一種の「誠実さ」があり、「誠実さ」のために悪がおこるのだとすれば、我々は誰でも悪に手を染める可能性がある
・これの対策は「システムを相対化」することしかない=自分なりの「美意識」を持ち、その美意識に照らしてシステムを批判的にみる
・システムを修正できるのは、システムに適応しているひと=エリートしかいない
・美意識を鍛えるためにアートを。特に哲学。「コンテンツ」ではなく、「プロセス」や「モード」をまなぶ。他に詩。「レトリック=修辞」を学ぶ
・自分自身の行動指針とするために、「美意識」を鍛える必要がある -
筆者のニュータイプの時代と言う本が印象的でしたので、タイトルが目を引く本書を手に取ってみました。
要所要所で小さくまとめがはいるので、読み手としてはとてもわかりやすかったです。
内容では、経営におけるアート・サイエンス・クラフトのバランスと言う考え方は、経営だけでなく子どもたちの教育でも役に立ちそうです。
その他にもサイエンスとクラフトにあたるデータと経験に基づいた考え方の限界や、美しいものを目指すと必然的に良いものになると言う考え方など、色々と学べる事ができました。 -
物事の1つの、そして重要な判断基準が「美意識」。必ずしも言語化し切れない自分なりの軸、主観的な内部のモノサシが大事とのこと。
同じ組織に属し続けている自分には気付かずに主観的な内部のモノサシではなく、組織が求める客観的な外部のモノサシに頼って判断しているケースが有るのだろうな。
昨今、多くのグローバル企業などで実施されているというVTS(Visual Thinking Strategy)を意識して鑑賞力向上を意識し、哲学からその哲学者の思考のプロセスや世界や社会への姿勢(モード)も身に付けてみたい。 -
出版から時間が経っているから、前半は退屈に感じたけど、後半はコンプライアンスとの関係にも触れていて、興味深く読めた。他の本も読んでみたい。
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直感力。