メッセージ [Blu-ray]

監督 : ドゥニ・ヴィルヌーヴ 
出演 : エイミー・アダムス  ジェレミー・レナー  フォレスト・ウィテカー 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
3.62
  • (15)
  • (30)
  • (31)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 202
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4547462113474

感想・レビュー・書評

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  • 原作小説は読んで、大いに感動したものだが、排他的原作至上主義者ではない。この映画にも大いに感動させられた。
    まず、差し挟まれる母娘の映像が素敵なだけに、よけい感動度いや増す。ずるい。
    言語学者を演じるエイミー・アダムス(「魔法にかけられて」「ダウト~あるカトリック学校で~」「ザ・マスター」「her/世界でひとつの彼女」)の顔の演技も素晴らしい。

    言語理解が認識変容へという人類の進化が、宇宙戦争を食い止めるというスケールにもなり、個人の人生の物語にもなる、というこの極小と極大の一致。
    「地球幼年期の終わり」に似ている。
    また非線的時間感覚というのは「スローターハウス5」のトラルファマドール星人云々だ。
    やはり海外SFの「太さ」は堂々たるものだ。
    それにひきかえ「正解するカド」のヤハクイザシュニナは、ただのホモに堕して、いやげふんげふん。
    藤子F先生の「ノスタル爺」を思い出したりもする。

    脱線してしまった。
    小説も素晴らしいがそれを映像に仕立て直す手法も素晴らしかった。
    そもそも逆フラッシュバックというのは実に映画的な感覚だし。
    水墨画か前衛書道のような表義文字の独特さも、映像になってしっくりくる。
    だいいち墓標を思わせるばかうけが、ただ横になるだけでこんなに異様な雰囲気を放つとは。
    これはもちろんヨハン・ヨハンソンの音楽の盛り上がりも手伝っている。

    それにしても、十数年後に死ぬことがわかっている娘を、それでも産むという決断は、凄まじい。
    愛が増すほど苦しみも増すし、苦しみがあるからこそますます愛してしまうし、この感情の揺れに、果たして人類が耐えうるのか。
    自分に置き換えると……やはり夫のように逃げてしまうかもしれないな。
    しかし、愛の対象がなければ孤独しかないのに対し、愛があれば孤独は約束されてはいても喜びが生れる。
    人はどうせ死ぬのになんで生きているのという疑問にも、つながっていくのだ。

  • 言語学というよりは記号論に関心がある方にとってはだいぶアツい映画なんじゃないかと思われる。静かなSFではあるが着実に謎が解けていく展開が用意されているので退屈しないし、その辺の雰囲気重視のなんちゃってSFとは違って理論的な骨格もしっかり詰めてある印象なので、派手さはないがなかなかの骨太な作品である。普通に面白かったし楽しめた。
    ただやはり他の方のレビューでもあるように、この先の未来が見えていながら生きていくというのはなかなか辛い(しかも子供が死ぬという…)と思うのと、計画的に地球にやって来たのは向こうなんだから、人間側の努力に全任せするんじゃなくて(実際ギリ失敗しそうになってたし)、もう少し確実に意図が伝わるような安パイの方法を拵えて来てくれたらよかったんじゃないの?と思ってしまう。その辺は私がまだ十分に理解できていないせいなのかもしれませんが…。あと結局恋オチなのもうーん、と思ったけど仕方がないのかな。
    とはいえ総じてとても良くできた良質なSF作品で、一見の価値ありです。

  • 最初見たときは期待が大きすぎたためか、後半がちょっと拍子抜け?
    でもなんだか気になり、以下のメモを取りながら再見。
    評価としてはなんとも★3.5というかんじでむずかしい。再見したことで悪くはないと思うのだが、かといって4にはちょっときびしい……。

    --------

    記憶って不思議
    いろんな見え方をする
    人は時の流れに縛られているように見えるけど

    娘の誕生、難病、死?だろう
    この時すでに夫と別れひとりだったのか?

    でも時に流れがなかったら?
    私の人生観を変えたのは彼らの出現だ

    平和的な接触ならなぜ一度に12隻も?

    宇宙船が出現した時、彼女はひとり。これは娘が死んだあとだと思うよな。

    ファーストコンタクト。『未知との遭遇』、『コンタクト』、『幼年期の終わり』。

    『未知との遭遇』ではあんなにキラキラしていたマザーシップが、まさか黒い柿の種になるとは。
    大自然に浮かぶ巨大な異質の物体。異化作用抜群、こういうのが好きなのだ。

    ファーストコンタクトの瞬間、霧の向こうにあわわれる彼ら。SF的知的興奮が高まる。

    human
    文字は左から右
    円環

    BGMのまあ暗いこと!(笑)

    分析作業中に娘のイメージ。これは未来のこと。伏線。

    彼らは科学者か旅行客か? 科学者にしては質問が少ない

    彼らの文字は表意文字だ
    話す通りに書くだけの人間の言語は無駄だと思われているかも

    漢字ってすごい文字なのかも。表意文字、筆記が複雑、あとなんだろ?

    言語買得にはパキスタンも一役買った
    表語文字には時制がないのだ

    殻に方向性がないように、彼らの文字に時系列はない
    専門家は非線形の言語と呼ぶ
    では思考も同じだろうか?

    分析作業中に娘のイメージ。授業でテレビ番組を作った。「動物と話すパパとママ」「私たちは別れて」
    「うまく説明できない」と言っている
    なるほど、これら全部が未来の記憶なんだ

    娘と鼻でキスしている映像。青とオレンジ。オレンジは幼いころ。青は病床。ベッドでのオレンジとブルーのカットバック。

    なぜこの未来の記憶がルイーズだけに現れるようになった?

    外国語を学ぶと考え方が変わる
    サピア=ウォーフの仮説
    思考は話す言語で形成される
    物の見方にも影響してくる
    君は彼らの言語で夢を見る?
    何度か見た。でも仕事には影響ないわ
    部屋にヘプタポッド
    ↑このやり取りが夢の中のこと

    中国は麻雀を通して会話をしようとしている(?)
    チェスなどの対戦型のゲームを教えたら?
    会話の基盤は対立、勝利、敗北 問題でしょ?
    ハンマーしか持っていなかったら、全て釘に見える
    https://burnworks.com/news/article/159/

    タブレットを使って言葉を構成
    地球に来た目的は?
    武器を提供
    →人類どうしを戦わせて、交渉相手を絞ろうとしているのでは、との憶測
    それまで12のエリアは協力して解読作業をしていたが、これにより分断


    「壁に書けってこと?」
    ヘプタポッドとルイーズが壁越しに手を合わせる
    「両手じゃ無理」
    片手にした途端、娘が誕生した時のイメージ
    ルイーズの右手が円の右側、左側にも文字が描かれて円を成す その意味は?
    無数の小さな円 爆薬が爆発 その前にヘプタポッドにより吹き飛ばされ隔壁で助けられる

    娘からの質問、言葉について 競争だけど両方が満足できる
    メッセージは12分の1、各国が持っているメッセージを組み合わせる必要があるのでは 各国が情報を提供するメリットは?
    イアンの「非ゼロ和ゲーム」
    現在から未来の記憶に伝わり娘に答えることができた

    ルイーズひとり殻の中へ

    ルイーズには武器がある 武器を使え

    地球に来た目的は?
    人類を助ける
    3000年後に人類の助けが要る

    ルイーズの言葉に対して円文字を書いている 英語を聞いて理解している
    ルイーズも円文字を見るだけで理解している テレパシー会話みたいなもの?

    分からない この娘は誰? 男性と女性 カナリヤのかご 動物と話すママとパパ=ルイーズとイアン 粘土で作った黒いヘプタポッド

    ルイーズは未来を見る 武器は時を開く

    未来に起きることをママは知ってる
    それを言ったらパパがひどく怒った ママはひどいって

    なぜ私はハンナ? 特別な名前 前から読んでも後ろから読んでもハンナ

    未来の著書 ヘプタポッド言語の説明
    最後のメッセージを解読
    これは贈り物 武器は言語よ 彼らの言語 彼らと同じように時を理解することができるようになる  未来がわかる 彼らにとって時は流れるものではない

    祝賀パーティーでのシャン上将との会話 携帯の番号 今知った どう繋がるのかわからんがそれを今日知りたかったんだろう?
    私を説得した 妻の最後の言葉

    ハンナ あなたの物語は彼らが消えた日に始まった

    この先何が起きるかわかっていてもかまわない
    どの瞬間も大切にするわ


    この先の人生が見えたら、選択を変える?
    自分の気持ちをもっと相手に伝えるかも

    ずっと宇宙に憧れてきたけれど 大切なのは彼らじゃない きみだ

    子供を作ろうか
    ええ

    ARRIVAL 新生児

    --------------------------

    未来の娘がやがて死んでしまうことを知る
    それでも、どの瞬間も大切にする
    娘への愛の物語
    著書の献辞 To Hannah

    未来の娘の記憶が過去の出来事であるかのように描かれる 叙述トリックのように ミステリー仕立てでおもしろい

    ヘプタポッド タコ? 墨で文字を書く なるほど

    クライマックスはふたつ
    シャン上将との会話
    子供を作ろうかと言われて、ええと答える

    ファーストコンタクトを題にしたSFと見せかけて、実は未来の、死んでしまう娘を、それでも産んで愛そうとする母になる女性の物語

    どの瞬間も大切にするわ

    イアンの愛の告白と、未来に子供を作ろうかと尋ねられたときのことが同時に語られる。ええ、と答えるその言葉がイアンを受け入れる気持ちをはっきりとさせる。未来が現在に影響を与え、二人とハンナの物語が始まる。

    アマゾンレビューにあった、娘のカウガール姿、最初は馬のぬいぐるみにまたがっているのに、ラストではそれがない。これはたしかにちょっと気になった。それが未来は決定づけられているわけではないという解釈になっているのはおもしろい。そうなるとルイーズの悲壮とも取れる決意がちょっと意味が変わってくるけれども。

    ああそうか、イアンの自分の気持ちをもっと相手に伝えるかも、というのは、未来を知っているルイーズが、そうだとしたらもっと自分の気持ちをハンナに伝えればよい、というふうにも取れるな。こういうところは他の人のレビューを見て気付かされる面白さでもある。

  • 公開当時は、全然期待できず、
    後評価が高かったので、観て見たら、
    SFの新しい設定に驚き。

    前半は得体の知れないものに
    ただ恐怖。

    ラストはなぜかハートフル。
    ちょっと泣きそうにもなった。

    面白いってワケじゃなく、集中して観れる。

  • 言語を巡る静かな物語かと思いきや、
    途中から、あれ?あれ?
    なんのお話でしたっけ、と驚き、
    最後に不思議と泣いてしまった。
    すっごい哲学。

    人の思考は使用する言語に左右されるということが、
    重要な鍵だったのだな。

    予想以上に面白かった。
    ジェレミー・レナー格好いい。

  • これは面白かった!

    SFとしては結構しっかりしていて「インターステラー」のような濃厚さを堪能させていただきました。
    ミスリードにも完全に引っかかりましたし幕引きも綺麗にまとまっています。

    画像としての派手さはありませんが視聴後の満足感はかなりのものだと思います。
    ただ後半のある部分からイキナリ難解になりますのでちょっと覚悟が必要かも…

    何にしてもオススメです。

  • 時制のない言語を通して過去、現在、未来を同時に認識できるようになるという発想が SF の真骨頂って感じで好き。娘が若くして死ぬ未来を知っても、やはり娘を出産する道を選ぶプロットは響いた。

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