なめらかなお金がめぐる社会。 あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。 [Kindle]
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017年8月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (148ページ)
感想・レビュー・書評
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ブクログを立ち上げた家入一真さんの本は、本棚に置いておきたいと思っていた。過去に「我が逃走」(←タイトルが秀逸!)や「さよならインターネット」は読んだけど、最近読んだ「東大読書」に本書が紹介されてたので読んで本棚に置くことにした。
さっそく、勤務先の市と地元の市の図書館の所蔵をweb検索したけど、なんと所蔵がない!選書のセンスがないと思う。残念だ。仕方ないので電子書籍を購入。
資本主義の本質である大きな経済圏の中でしんどい思いをして「頑張れば、幸せになるって言ったけど、そんなことないじゃん!」と感じている人は少なくない。
家入さんは、「自分の人生」を生きるため、個人や地域レベルで小さなつながりを持ち支えあっているコミュニティ、すなわち「小さな経済圏」を作っていくべきという。そんな社会を実現するために、なめらかなお金が流通させるためクラウドファンディング(不特定多数からのインターネットによる資金調達)を運営している。
この国が多様な幸福を実現できる社会になっていけばいいと思う。そのために僕もなにか活動してみたい。そんな気分になった。お金はないけど(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者はcampfireという企業で個人がお金を出し合うクラウドファンディングでお金のコミュニケーションを仕掛けておられます。
著者は金融の世界での「居場所づくり」をされてます。
前の上司が「居場所」と「持ち場」をつくるとおっしゃってました。
自分の居場所がなくて持ち場を見つけられなくて生きづらさを感じてる人は多いです。
やることは役所も変わらなくて彼ら彼女らを繋ぐことができたら新たな価値を生み出せるんやと思います。
これからはそういった既存の経済圏からはみ出した人たちに居場所と持ち場を持ってもらって自己実現してもらうことが必要なんやと思います。
「小さな経済圏」
個人や地域レベルで小さなつながりを持ち、支え合っているコミュニティのことと書かれています。
これまでは企業を中心とした大きな経済圏で成長拡大を続けることが正義とされてきました。
大きな経済圏が行き詰まりを見せる中小さな経済圏が何かと生きづらくなった現代の新しい鍵を握っていると著者はおっしゃってます。
「大きいことはいいことだ」
戦後の高度成長期は良かったと思います。
バブル期は高校生やったんで恩恵はなかったですが右肩上がりの時代を生きてきたと思います。
90年代に入ってみんな何かおかしいと思いながらも成長神話を信じて豊かになることを究極目標にしてきました。
ただ今の若者には物欲を満たすことだけが個人の生き甲斐ではなくなってきています。
「各自が自由に、自分の幸せを追求できる社会」
自分の人生をどう生きたいか?
自分が満足するのは何か?
価値観がお金とか効率的とか経済的とか数字で測れるモノではなくなってきてます。
物質的な満足度から精神的な満足度にシフトチェンジする中で置いてかれる若者も多いと思います。
その層にいかにチャンスを提供できるかがこれからの役所の仕事になると思います。
クラウドソーシングによる収入の細分化。
選択肢をたくさん提供できる仕組みを作れるんじゃないかと考えています。
「経済的というよりも精神的に持続可能な社会」
コンピュータの進化のおかげで生産効率が飛躍的に上がって働くことに生き甲斐を持つことが誰にでもできる時代が来てるんやと思います。
これまでは「富むこと」「勝つこと」「権力を持つこと」が人生の生き甲斐に繋がってだと思います。
しかし今はある程度の生産性は機械化で効率的に確保できるようになったのであとはいかに付加価値というか社会的意義を増やしていくことができるかという時代に入ったと思います。
つまりこれまで負け組に入りがちやった「補助金」が必要やった福祉的に弱い立場の人たちにも社会に貢献するチャンスが生まれてきてるんやと思います。
「人生定額プラン」
著者は
「月3万円で住むところと洋服と食べるものとWi-Fi環境と仲間がいます」
という逆ベーシックインカムのような事業をされています。
月3万で最低限生活に必要なものが賄えたらあとは好きな仕事ができると思います。
ここで重要なのは仲間がいるということかなと思います。
「最低限あそこにいけばいい」
と思えるだけで人は勇気が持てるとおっしゃってます。
こういうのを西成につくれないかなと思います。
例えば発展形でシングルマザーの高等技能訓練促進費を使った特化型のシェアハウスも作れるんじゃないかなと思います。
あいりんには簡易宿泊所ベースの月極定額の賃貸住宅がたくさんあります。
集会スペースがあったり大浴場があったりコミュニティとしてはかなりポテンシャル高いと思います。 -
日本人の過大な預貯金に対する問題意識は完全に共感している。今まで企業を通さずに社会にお金を回すには寄付しかないと思っていたが、クラウドファンディングという手法でも出来ることが分かってよかった。
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本書を読んで、家入氏は的確な問題意識とその解決のための構想力と実行力、さらに伝道師としてのコミュニケーション能力をバランスよく兼ね備えている人だと思った。
クラウドファンディングがベースにあるプロジェクト(CAMPFIRE)を立ち上げた後も、状況を見ながらより良い形に調整していく目配り(CAMPFIRE X LOCAL)、小ロットのサンプル生産態勢でテストマーケティングを兼ねてリスクを最小限に抑える工夫(STARTed)、小さなサークルに特化したお試しクラウドファンディング(polca)、月3万円で衣食住と仲間(コミュニティ)という社会的ベーシックインカムが確保できるリバ邸の運営など、やりたいことはあってもお金がない人たちが何かを始められるきっかけづくりとしての敷居を低くし間口を広める活動を行っています。
一連の活動は、社会貢献活動に他なりません。もちろん、慈善事業ではないのですが、こうした新たな試みが第三者からの出資をベースにし持続可能な事業として成立させている手腕は見事です。
学歴で人を判断してはいけませんが、いじめで高校中退からひきこもりになった経験を経て、今まだ42歳という若さにも驚きです。
世の中にはまだまだすごい人がいるもんです。 -
小さな経済圏は地方経済のキーになるような気がして仕方がない。いや自分がそうしたいと思ってるだけかもしれない。家入さんにお会いしたくなりました。
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2023.08.16 書籍登録
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ひとつしかない勤め先がポシャったらあぶないから、小商いで小さな依存先をたくさん作って生きるのをおすすめする(そして、著者はそれが可能になる仕組みを作りたいぜという意思表示をする)本だと思いました。
それはそれとして商いのネタになるものを持っている人ってそんなにいないのではとも思います。いるのかな? 私はないんですが。 -
小さな経済圏で人生の幸福度を向上させる構想と実践
面白いけど、ハードルは高いか?でも世の中変化しているから! -
成長を追求する従来型の資本主義とは一線を画した「小さな経済圏」として、個人が身近な経済圏で活躍していける世界を提唱している。
2017年に発売された少し古めの本ではあるものの、正に時代の変化を的確に捉えた本であり、読み進める中で価値観を揺さぶられる素晴らしい本だった。
クラウドファンディングのCAMPFIREの宣伝?と感じてしまう部分は多々あるが、それ以上に家入氏が目指している「個人が活躍できる社会」の世界観に感銘を受けた。
非常に学びの多い良書。