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- / ISBN・EAN: 4988003848743
感想・レビュー・書評
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村上春樹のデビュー作の映画化(1981年)。監督は大森一樹。
公開当時、角川のいまはなき映画雑誌『バラエティ』で、何ページかを割いてこの映画が紹介されていたのを思い出す。原作は好きだった私だが、映画館に行ってまで観る気はしなかった。30年近くを経て初見。
ストーリーはほぼ原作どおりだが、ところどころヘンに凝った作りになっていて、原作とはかなりテイストが違う。原作は日本文学らしからぬおしゃれな都市小説なのに、この映画版はいかにもATG映画という趣の、湿っぽさと青臭さ満々の青春映画なのだ。あくまで「村上春樹を素材とした大森一樹の映画」で、それ以上でも以下でもないという印象。
傑作とは言い難いが、たんなる駄作でもない。妙に「あとを引く」というか、心のどこかに引っかかりを残す映画である。
小林薫が主役なのは違和感があるが(当時から大人っぽい落ち着きがありすぎて、とても大学生に見えない)、「鼠」役の巻上公一(「20世紀の終りに」で知られるヒカシューのフロントマン)、「ジェイ」役の坂田明、ヒロインの真行寺君枝の3人は、それぞれ絶妙のキャスティングだと感じた。
とりわけ、若き日の真行寺君枝が素晴らしい。彼女の一生でいちばん美しい時期を刻みつけた、という趣。芸能人らしからぬ清楚な透明感と、薄幸そうで体温低そう(笑)なたたずまいがたまらない。
この時期の真行寺君枝をたっぷり見られるというだけでも、十分観る価値のある映画。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この世はまったく理不尽なところなんだ
しゃっくりの止まらないラジオDJがいきなり電話してくるなんてのは
まだマシなハプニングで
女に呼び出され、ウキウキ出かけていったら
暴走族に殺されてしまった、そんなおっさんもいる
当たり屋に目をつけられて、言いがかりでなにもかも奪われたり
生まれつき小指が欠けてたり、不治の病にかかったり
親兄弟と不仲だったり
そんな話は珍しくもない、それが世間ってやつなんだ
ぜんぶ運命と思ってあきらめると楽になる
世界はピンボール台のプレイフィールドみたいなもので
人は死んだらバックランプの星になるんです
まあ、そんな風に決め込んですました顔してるのがこの話の主人公
ふいに気づいたら
廃墟の未来を幻視してたりするやつだ
まるでテンポ正しく自分の墓を掘り進めるだけの人生…
しかしこれが傷を抱えた女の子には妙にうけるらしいんだな
原作村上春樹
監督大森一樹
室井滋が商業デビューでおっぱいを出している